日高 サッシビチャリ川本流〜1839峰〜ペテガリ岳




日高 サッシビチャリ川本流〜1839峰〜ペテガリ岳
 2005年7月2日〜6日  笹平



 1839峰を知ったのは、2年前の秋に日高のカムエクへ行った時だった。札内ヒュッテで出会った地元山岳会の人達が1839峰へ登る予定でいたので、その山の事をいろいろと教えてもらった。1839峰(イッパサンキューホウ)は標高から付けられた山名で、現在の標高は1842メートルに訂正されている。



 フェリーで7月1日の昼過ぎに苫小牧港に着き、夕方には神威山荘に到着した。本来ならペテガリ山荘へ行ければ良いのだが、静内の林道は土砂崩れのため、現在通行止めになっている。別ルートの三石経由の林道は、電話で確認したら一般者の通行は無理。しかし裏情報だと、関係者に知り合いがいれば、合い鍵を使って車でペテガリ山荘へ行ける。(※定期的に鍵の番号が変わる)





・7月2日:神威山荘(6:00)−ペテガリ山荘(9:20〜10:40)−サッシビチャリ川(11:15)−上部二俣(16:20)
 神威山荘から林道を少し戻り、沢沿いの林道を行く。途中から道が無くなると、沢登りになる。滑りやすい急斜面を登り反対側の沢筋へ下ると、ペテガリ山荘へ続く林道に出た。この林道歩きが結構長い。ペテガリ山荘は2階建て作りの立派な小屋で、中には大きな薪ストーブがある。ここに食料やビールをデポして出発。


神威山荘からペテガリ山荘へ ペテガリ山荘


 サッシビチャリ沢には林道があり、少し歩くと川原へ降りられた。ここでまだ新しい熊の足跡を発見する。沢を歩くとすぐに函の連続が始まり、入渓後10分で早くも腰まで水に浸かっていた。しかたなく函の入り口で断念し、林道の所まで戻る。今回、サッシビチャリ沢の記録とか遡行図が手に入らず、地形図しか持って来てないので、この沢の情報は全く分からなかった。

 林道から樹林帯の中を進み、函の連続を大きく巻いて沢に降りた。沢はすぐにでも函が現れそうな感じが続き、不安になりながら進むと、やはり函が現れた。右岸を登るとテープを見つけたので一安心する。あまり人が入ってない沢なのかマーキングが少なく、この沢でテープを見たのはこれだけだった。滝を過ぎると谷は開けて明るい沢に変わる。やがてペテガリ岳へ続く沢との二俣を過ぎ、沢の半分の距離を歩いた事になるが、なかなか高度は上がらない。そして左側から1839峰へ続く沢が現れ、水量もだいぶ減ってくる。


新鮮なヒグマの糞 ヒグマの足跡
はじめは函が多い 滝を高巻く


 まもなく雪渓が現れ始め、薄い所もあるので慎重に歩く。川幅が狭まったゴルジュが現れ、その手前には悪い雪渓があり行き詰った。左岸の草付を偵察しながら登り、ゴルジュを高巻いて沢に降りた。ここを過ぎた所がヤオロマップ岳から流れる沢の二俣になり、今日のキャンプ地とした。川原の石を整地してツェルトを張り、焚き火で温まる。釣りをやったが何も釣れなかった。



サッシビチャリ沢(1839峰へ続く沢との二俣) 雪渓の隣にツェルトを張る


・7月3日:上部二俣(5:30)−1599峰(10:20〜11:10)−ヤオロマップ岳(15:20)
 この先から雪渓がさらに多くなり、沢を埋め尽くしている所もたまに出てくる。沢はゴルジュ状に変わり、高巻きをしたりへつりをしたりでなかなか進まない。ゴルジュ状を過ぎると沢は開け、ナメ滝が続き高度を上げ始める。この先は沢が雪渓で埋まっている所が続き歩きやすくなった。雪渓を登り詰めると、しばらくは急なガレ沢が続く。山の斜面には崩れた跡があちこちにあり、大雨で山が崩れ、沢に岩が堆積した事がよく分かる。

 やがて急なナメ滝に突き当たり、潅木を頼りに木登りで登る。稜線付近まで急なナメ滝の連続で、ここの谷の深さを体感しながら登って行く。ナメ滝の登りは2時間近く続き、途中で水を7リットル汲んだ。水が枯れると稜線はすぐ上に見える。1599峰(1600m)にはテントスペースがあり、ここに沢装備や水4リットルをデポする。


雪渓が沢を覆う 急なナメ滝が稜線近くまで続く
1599峰頂上に沢装備をデポ 1599峰から見るヤオロマップ岳方面


 1599峰からヤオロマップ岳へ向けて出発。登山道はあるがハイマツに覆われていてとても疲れる道だ。途中、登山道が消えている所もある。ヤオロマップ岳の登りになると、やっと歩き易い登山道になった。体力的にも精神的にも疲れ果てた1599峰−ヤオロマップ間の、4時間もかかった長いヤブ道歩きを、帰りにまた歩くと思うとゾッとする。

 ヤオロマップ岳にはテントスペースが数ヶ所あり、頂上に近い岩陰にツェルトを張った。落ち着くと右足にダニが2匹食らい付いていたので引き剥がす。薄暗くなった頃に足音が聞こえ始め、とうとう出たかなと思っていたら単独の人がやって来た。ペテガリ岳東尾根経由で登り、今日はルベツネ山から来たそうだ。






・7月4日:1839峰ピストン(4:20〜8:40)−ヤオロマップ岳(10:30)−1599峰(14:00)−
                          ルベツネ山(18:00)−ペテガリCカール(19:20)

 朝から天気が良く快晴だ。最低限の荷物を持ち、1839峰へ向かう。少し進んだ所では、稜線上に雪渓が少し残っていた。北海道は例年よりも1ヶ月くらい雪解けが遅れているらしい。登山道はハイマツや熊笹に覆われ歩き難い。1839峰までは大きくアップダウンを繰り返すので、見た目よりも歩く距離が長い。足元にはハイマツの幹が多く疲れる。最後は急斜面の登りになり岩場も出てくるので、ハイマツを掴んで慎重に行く。1839峰の頂上は赤テープがあるだけで何も無いが、展望は最高にいい。コイカクからカムエクまでの稜線が見渡せ、奥の方には幌尻岳が見た。


稜線上に雪渓が残っていた 1839峰
1839峰頂上 1839峰から日高連峰を見渡す


 ヤオロマップ岳に戻りツェルトの撤収を始める。昨日の単独の人はここで写真を撮っていて、これから札内ヒュッテに下るそうだ。しばらく山の話で盛り上がる。下山したら中札内で会うことを約束し、ペテガリ岳へ向けて出発した。

 1599峰までの長いヤブ道で、昨日落としたストックを探しながら行くと、奇跡的に発見する事ができた。1599峰でデポした荷物をザックに押し込みルベツネ山を目指す。徐々に高度を下げ、ハイマツ帯から潅木帯に変わる。硬い枝がザックに引っ掛かり苦労する。この辺りの稜線はアップダウンが多く、ピークを登っては下りを繰り返していると足元にクロユリが咲いていて、疲れ果てた体を癒してくれた。

 とにかくルベツネ山まではとても長く感じた。頂上のテン場は風が強いので諦め、さらに進む事にする。登山道はハイマツ帯に覆われ、相変わらず歩き難い。なんだかんだで、ペテガリCカールのコルまで来てしまう。水は十分にあるので、稜線上で横になれるスペースを探しに少し先まで見に行ったが、岩が多く良い場所が無かった。仕方なくCカールに降りて雪渓のわきにツェルトを張る。深夜から小雨が降り始め、風も強くなった。


クロユリ
ルベツネ山 ペテガリCカール


・7月5日:ペテガリCカール(8:00)−ペテガリ岳(10:00)−ペテガリ山荘(14:30)
 冷たい雨と風の中、ツェルトを撤収するとすぐに手の感覚が無くなって痛くなる。稜線に登り返し、コルから10分くらいの所で一ヶ所テントスペースがあった。雨は止んだが、辺りはガスで視界が悪く風が強い。やがて稜線上にペテガリ岳頂上の標識が見えた。長かった縦走も最終目的地のペテガリ岳に到着し、ハイマツに覆われ歩き難かった道もこれで終る。後は下るだけだと思うと心の底から嬉しかった。

 頂上から下り道がしばらく続き一気に高度を下げると、山頂付近の雲から抜け出し、周りの山が見渡せるようになった。コルまで降りると、今度は尾根を登り始める。途中、300名山をやってる単独の人が登って来た。現在299登っていて、ペテガリ岳ですべて登り終わるそうだ。

 なかなか高度を下げないまま、しばらくの間はアップダウンを繰り返すので、下山しているとはまったく思えない登山道だ。歩いても歩いても辿り着かないといった感覚になる。やがて急な下り道になり、沢沿いを進むとペテガリ山荘に到着した。

 ペテガリ山荘の中にある大きな薪ストーブに火を点け、荷物を広げて乾かす。疲れていたがまだ時間が早いので、近くの川へ魚を釣りに出かける。思っていたほど魚は多くないようだ。ヤマメが釣れたので今日のおかずにしよう。

 小屋へ戻るといつの間にか300名山の人が下山していた。この人は神威山荘からペテガリ岳そして神威山荘を日帰りする予定だったが、今日はペテガリ山荘に泊まるそうだ。今日のコースタイムを聞くと、300名山をすべて登っただけあってそのスピードは半端じゃなく早い。夕方、お祝いにビールをプレゼントして、お互いの完登を一緒に祝杯した。やがて夜から雨が降り始める。


ペテガリ岳頂上 長い登山道を降りる


・7月6日:ペテガリ山荘(7:20)−神威山荘(10:30)
朝起きると強い雨が降っていて、神威山荘までの沢登りよりも神威山荘からの林道が通行止めになってないか心配だ。やがて雨が小振りになったのでペテガリ山荘を出発した。沢の増水も無く、神威山荘から来た二人組みと会ったので、林道の通行止めは無いようだ。

 途中でいいサイズのアメマスを3匹釣り上げ、神威山荘に戻った。まだ早い時間だけど雨も降っているから、今日は小屋に泊まる事にしてのんびりする。小屋の中にある薪ストーブで魚を焼き、刺身をつまみにビールを飲んだ。特に刺身はトロのような感じで、なまらうまかった。


アメマス 神威山荘でもう一泊