日高 ヌビナイ川右股直登沢〜ソエマツ岳



日高 ヌビナイ川右股〜ソエマツ岳  2003年10月4日〜5日 笹平



 羅臼からクワウンナイ川へ向かった。旭岳ロープウェイに行くと、駐車場ではみぞれが降っていてTVモニタを見ると山の上は吹雪いている。今年のクワウンナイ川は諦めるしかない。次はヌビナイ川へ行こう。中札内からさらに南下し大樹町へ向かう。

 夜の9時ごろヌビナイ川の林道に着いた。以前、営林署に問い合わせたら、この林道も大雨の影響で途中から通れなくなっているらしい。9月の下旬には復旧する予定と言っていたので、今は通れるだろう。

 どんどん林道を進んで行くと、大雨の影響で枝沢の水が林道の上を流れている。段差が大きいからこの車じゃ無理だな。でもここに車を置くとしても、現在どの辺りまで来ているのかまったく検討もつかない。地形図を見ると、この先で林道が右岸と左岸に分かれる所があるので、なんとかしてそこまで行ってみよう。ゆっくり進むと途中で動けなくなりそうなので、思い切って行くとフロント部分と車の底にガツンと衝撃があったが、なんとか通り抜けた。
 この先では砂利がえぐれ始め、縫うようにハンドルを切る。このまま進むと戻れなくなりそうでとても不安だが、Uターンする場所が無いので強制的に進んで行く。すると少し広くなり林道が分かれている所に着いた。ここに立て看板があり、この先はまだ完全に復旧していない事が分かった。これで現在地がはっきりしたが、まだ先に進めそうだ。少し行った所で泥道に変わったので諦める。車は安全な場所に置きたいので、道のしっかりした所まで戻った。




 10月4日 結局、林道が分かれる所から1km戻った所に車を止めたので、林道終点まで6kmも歩かなければならない。今年の日高周辺はこんな状況がほとんどだ。本来なら車で行ける所を歩かされるのは疲れるが、仕方がないので歩く。

 途中には林道が跡形もなく流されていた所もある。林道終点からは支流の沢を横断し、ヌビナイ川左岸にある古い林道を歩く。30分も行くと林道が切れて無くなったが、林道はこの先も続いているようだ。ヌビナイ川の中州にはテープが下がっていたので、ここから沢に入った。獣道はあまりないので、河原を歩いて行く。ここの河原の岩は不思議とまぶしいくらい白く反射している。

 507mの二俣から先はゴルジュ帯に変わり、すぐ先では左岸から右岸に渡渉する難所がある。ここは川幅が狭くて流れが速く、30センチも増水すれば渡れなくなる所だ。この先はゴルジュの一段上がった緩斜面に踏み跡が続いているので、滝や釜はすべて巻いて行ける。途中には、泥や砂利で滑りやすい急なスラブのトラバースがあり緊張させられる場所がある。655mの滝では、右岸から流れ落ちる滑滝に向かって高巻いて行く。高巻いた所からは、滑滝とエメラルドグリーンの釜が連続して続いている七つ釜が目の前に広がり、思わず声を上げてしまう。さすが日高で一番美しい沢だけあるなぁ。ここから沢に降り、何ヶ所か小さく巻きながら滑を歩く。やがて河原に変わり790mの広い二俣に到着する。右岸には良いテン場があり、ここにツェルトを張った。この後、ヌビナイ川右股沢からソエマツ岳に上る二俣を確認するために偵察に出掛けた。テン場に戻り、焚き火とビールで贅沢に日高の沢を満喫する。




 10月5日 余計な荷物は置いて出発。ヌビナイ川右股沢を登り、950mの二俣でソエマツ岳に上る左側の沢に入る。大きな滑滝が二段続き、小枝を掴んで越えると傾斜が緩くなりほっとする。しばらく進むと、沢は1250mから急なチムニー状の滝に変わり難しくなる。1300mの二俣で右側から流れ落ちている滑滝を行く。ここが今回の核心で、急な滝の岩場が50mほど続いている。やがて水も無くなり沢床は藪の中を一直線に上へと向かっているので楽に登れる。上部では草原に変わり、周りは熊の掘り返しで階段状になっていて登りやすい。最後は3mくらいのハイマツ漕ぎをすると頂上直下の稜線に抜けられた。稜線上の踏み跡を辿るとソエマツ岳頂上はすぐだ。

 頂上からは遠くの海まで見渡せ、カムエク周辺はすでに雪で白くなっていた。帰りは来た道を戻り、核心の1300m上部の急な滝でロープを出すのがめんどうなので、途中からヤブ漕ぎをして隣の沢筋を降り1300mの二俣から少し下がった所に出た。この後、急なチムニー状の滝や大きな二段の滑滝を慎重にクライムダウンで降りる。テン場へ戻るとツェルトをたたみ、すぐに下山開始。

 今日の午後から天気が悪くなるという天気予報は当たったようだ。七つ釜を過ぎた所で急にヒョウがパラパラ降りだし、激しい雷雨になった。マジかよ、増水する前にこの先の難所である渡渉をしないと、ゴルジュ帯でもう一泊になってしまう。雨は小降りになったが、また激しくなるかもしれないので急いで下る。ただでさえ滑りやすいトラバースなのに、この雨で濡れてさらに難しくなった。急いでもまったくスピードは上がらない。そして、増水する前に難所をなんとかクリアーできたので良かった。507mの二俣までくれば、多少増水しても帰れるので安心できる。この先、長い河原歩きが続いて林道終点に着くと、さらに長い林道歩きが待っている。車を駐車した近くまで来ると雨が激しく降りだし、全身びしょ濡れで車に乗り込んだ。




10/4 車(7:30)-林道終点(8:30)-507m二俣(10:50)-七つ釜(12:00)-790mテン場(13:10)
10/5 テン場(5:40)-950m二俣(6:00)-1300m二俣(7:00)-ソエマツ岳頂上(8:10)-テン場(10:40)-507m二俣(13:00)-林道終点(14:40)