冬のライオン
THE LION IN WINTER

1968年イギリス映画
カラー  135分
 
監督 アンソニー・ハーヴェイ
出演 ピーター・オトゥール キャサリン・ヘプバーン
  アンソニー・ホプキンス ジョン・キャッスル
 ナイジェル・テリー ティモシー・ダルトン
 ジェーン・メロウ ナイジェル・ストック
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2004/11/16

イギリス、プランタジネット朝を築いたヘンリー2世は、クリスマスの祝いにバラバラだった家族を集める。后のエレナーは、ヘンリー2世自らの手で10年にわたって塔に幽閉されていた。そして3人の息子たち。一番上のリチャードは母親エレナーのお気に入りで、武勇に長けている。次のジェフリーは奸計が得意。末っ子のジョンはまだ10代で、父親ヘンリー2世のお気に入りだった。ヘンリーはジョンを跡継ぎに望み、エレナーはリチャードを跡継ぎに望む。そこに、王の愛人のアレースや、フランス王のフィリップ2世も関わって、王位継承と領地を巡る権謀術数が繰り広げられる・・・。


東西を問わず権力の継承には様々な陰謀、思惑が絡まりドロドロのドラマを展開するものです。だから、ドラマ性が高く面白いというわけです。この映画もまさしく権力を巡るドラマ。それもイギリスの王座というのですから、半端ではありません。我が世の春を謳歌したとも言えるヘンリー2世も50の齢を迎え、後継者のことを考える時に来ています。ヘンリーのお気に入りは末っ子のジョン。まだ10代と若く、やや能天気の一歩間違えば馬鹿殿一直線になりそうなこの末っ子を何故かヘンリーは次の王座につけようとします。妻のエレナーは、元はフランス国王の后だったのですが、ヘンリーがさらっていったという曰くつきの愛妻・・・だったはずなのに、このエレナーも一筋縄ではいかない人で後継者を巡って何かと策略をめぐらしたかどで、今は塔に幽閉される身です。そんなエレナーがクリスマスの祝いに招かれ、久しぶりに塔から出て夫に会うことからドラマは始まるのです。エレナーは次男(希望の星だった長男は亡くなっている)のリチャードを後継者にしたいと思っています。リチャードが兄弟中で最も出来が良いとは認めながらも、後継者にはしたくないヘンリーと、腹のさぐり合い、狐と狸の化かし合いが始まるのです。そこに、それぞれ王位を望む3人の王子と、クリスマスに招かれたフランス王フィリップ2世と、その姉で長く人質としてヘンリーの元に置かれ今は愛人となっているアレースが絡んで、ドロドロでややこしい人間関係が繰り広げられるというわけです。もう聞いただけで話がややこしそうですね(苦笑)。

しかし、人間描写が実に優れたドラマですから見ていてグイグイ引き込まれる面白さです。ヘンリー2世役のピーター・オトゥールは王の貫禄を示しながらも王妃と愛人の間で微妙に揺れる心を隠せませんし、王妃エレナーはポーカーフェイスで次から次へと企む、企む(笑)。でも、演じるのがキャサリン・ヘプバーンですから妙にさらりとしていて、いやらしさを全然感じない、寧ろ好感の持てる王妃、と思ってしまうのはやはり私がキャサリンびいきだからでしょうか。3人の息子たちは3者3様です。一番上のリチャードはどちらかと言えばストレートな人で、武勇に長けていることもありいつも自信満々。やや、マザコンの気あり?父王に愛されないことで傷ついている面もあり。演じるのがまだ若いアンソニー・ホプキンスで、将来レクター博士になるなんて思いもしなかった頃(笑)。次のジェフリーが一番くせ者で、兄か弟か王になりそうな方につく、という日和見主義。でも、本当は自分が隙をついて王座を狙っていたりして。父親からも母親からも、その存在さえ忘れられている(本人の弁)という気の毒さも持ち合わせています。末っ子のジョンは、若気の至りを突き抜けて軽薄そのもの。この息子を王にしたいヘンリーの気持ちは正直言って計りかねます。馬鹿王一直線になりそうな人。この兄弟3人が実在したのかどうかは調べてありませんが、多分2人は実在。だから、3人とも実在?リチャードは実はその後の有名人、獅子心王リチャードと呼ばれたその人なので(ネタバレというより歴史的事実として取ってください)、それを知りながら見るのも面白いかもしれません。ちなみに、フランス王フィリップを演じるのは、これまた若き日のティモシー・ダルトン。007はショーン・コネリーの代名詞だときっと彼自身が思っていた頃でしょう。

キャサリン・ヘプバーンもややお年を重ねてきましたが、天性の気品はさすがです。王妃役はまさしく彼女にうってつけ。ちょっと能天気なくらい気持ちを隠して楽しげに振る舞う様子や、王と傷つけ合って小さな震えを起こす様子や、そういった演技の妙が堪えられません。この映画でキャサリンは再びアカデミー主演女優賞を受賞しました。頭から首筋を隠すようにかぶっているスカーフの襞に何故か情感を感じてしまうのはやはり私だけでしょうか?

ジョン・バリー作曲のテーマ曲がまた勇壮で素敵であります。しかし、コーラス部分が今聞くと「オーメン」に似ている気がしてしまう・・・。ある意味、魑魅魍魎が暗躍するちょっとしたホラーと言えるかもしれませんね。良く出来たドラマ、よく練られた脚本を演技達者な人たちが演じるとこんなに面白くなるという見本のようなドラマです。


☆父親役のピーター・オトゥールと、息子役のアンソニー・ホプキンス。実はそんなに年が離れていないんですよね。オトゥールさんて何故か老け役が多いのよね。


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