奇跡の人

THE MIRACLE WORKER


  1962年アメリカ映画
   白黒 106分

監督 アーサー・ペン
出演 アン・バンクロフト パティ・デューク
ヴィクター・ジョリイ
  インガー・スヴェンソン
  アンドリュー・プライン
おすすめ映画
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2003/3/9

ケラー家の長女ヘレンは幼い時の病気が元で、目が見えず耳も聞こえず口もきけない三重苦の中で生活していた。当然しつけの方法もなく、甘やかして好き放題にさせてきたケラー夫妻だったが、ヘレンの成長を見るにつけ何とかしなくてはという焦燥感にさいなまれていた。そこで、盲学校からアニー・サリバンという女教師を家に招きヘレンの教育を委ねる。着任早々、ヘレンから手痛い歓迎を受けるアニー。あまりに厳しいアニーの教育方法にケラー夫妻は批判的になるが、アニーは手をゆるめない。ヘレンに人間としての生活を取り戻して欲しい。そのためにアニーとヘレンとの壮絶なぶつかりあいは続く・・・。


ウィリアム・ギブソンが原作、脚本を書いて舞台で大ヒットしたこの作品。舞台での緊迫感をそのまま映画にした迫力がみなぎっています。何が凄いって、やはりこれは主演2人の体当たりの演技に尽きるでしょう。アン・バンクロフトのサリバン先生、パティ・デュークのヘレン・ケラー。撮影にあたっては生傷の絶え間はなかったのでは?と同情したくなるような壮絶な体当たりの演技で、アカデミー賞の主演、助演両賞に輝いたのも当然と言えるでしょう。パティ・デュークの受賞は、史上最年少でした(その後「ペーパー・ムーン」のテイタム・オニールに記録を破られることになりますが)。

あまりに有名な話ですので、ストーリーの説明はほとんど必要ないでしょう。人間というものは弱いもので、どこか一つ痛かっただけでくじけてしまうものなのですが、目が見えず耳が聞こえず口も利けないヘレンについては、私などはとても何か言う資格がないと思ってしまいます。それらの機能を失ったのが幼少時だったがために、「物にはそれぞれ名前がある」ということさえも理解出来ない悲劇。しつけをしようにも何の方法も見いだせなかったヘレンに、物には名前があることを教え、食事や生活のマナーを教え、アニーはあくまでも可愛がるだけがヘレンのためではないことを身をもって示していきます。当然のように、両親との間に確執が起こりますが、それでも断固として意見を変えないアニーの中に強い強い信念が見えました。

アン・バンクロフトは本当に見事です。孤児として苦労して掴んだ教師の職。しかし、弟との思い出がトラウマとなっている実は繊細な心の持ち主。雇われている立場だという弱みなどは微塵も見せずにいつも凛とした態度を決して崩さない孤高の人です。あのガミガミ屋タイプのケラー氏が相手では、ひるんで当然と思うのですが、そのケラー氏さえも黙らせてしまうあの風格はどこから出てくるのでしょうね。

パティ・デュークも実に見事です。あの手を前に挙げながら探り歩きをする姿は、その後舞台でもマンガでも何の世界でも、ヘレン・ケラーと言えば一番に思い浮かべるシーンとなったことでしょう。演技派アン・バンクロフト相手に一歩も引かない迫力。彼女の中にマンガの「ガラスの仮面」のマヤを思い浮かべてしまうのは私だけ?このヘレン役で名子役としての揺るぎない地位を築いた彼女は、その後も女優として活躍していますが、正直なところこの役以上の物には巡り会えませんでした。それも無理ないと思います。それぐらいこのヘレン役は凄い。長じて、メリッサ・ギルバートがヘレンを演じたテレビムービー(日本では劇場公開された)「奇跡の人」でサリバン先生役に回った時は大変な話題を呼びました。パティ・デュークのヘレンを知る人なら大いなる感慨を感じずにはいられなかったのではないでしょうか。

女優2人の演技に圧倒される中、ちょっと皮肉屋でただ一人ユーモアとスパイスを振りまいているケラー家の息子役のアンドリュー・プラインの若かったこと!

有名なクライマックスに向かって感動するのは勿論なのですが、泣けるとか、心を打たれるとか言う前に、この映画を見るとやはりほとんど口をあんぐり開けた状態で「凄い・・・」と思ってしまう私なのでした。


☆パティ・デュークは以前はパティ・デューク・アスティンと名乗っていました。今や息子は大出世。息子の名はショーン・アスティン。「グーニーズ」のあの子、というより、今は「ロード・オブ・ザ・リング」でフロドと一緒に旅をするホビットのサムというべきでしょうね。


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