キリマンジャロの雪

THE SNOWS OF KILLIMANJARO

 1952年アメリカ映画 20世紀フォックス
 カラー  114分

監督 ヘンリー・キング
出演 グレゴリー・ペック スーザン・ヘイワード
  エヴァ・ガードナー ヒルデガード・ネフ
   レオ・G・キャロル
おすすめ映画
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2003/6/15

アフリカ、キリマンジャロの麓で病気のために死に直面している作家のハリーは、今までの人生を回顧する。若い頃、伯父の反対で別れた初恋の人。年を重ねて世界を放浪するようになってから、パリで出逢った運命の女性シンシア。ゴージャスでわがままな伯爵令嬢のリズ。シンシアの面影を求めたヘレン・・・。熱に浮かされながらハリーは自分の今までの過ぎし日々を夢の中で思い出していた・・・。


2003年6月12日、グレゴリー・ペック氏が逝去されました。私の一番好きな俳優さんでした。この映画に出逢ったのは、中学生の頃。この映画を見て私はペック氏の虜になったのです。どこが良かったのか、何に惹かれたのか、今となっては覚えてはいません。ペック氏のことは小学生の頃から知っていたし、映画も見たことがあったと思いますが、彼のファンとなるきっかけとなったのはこの映画。ペック氏にはあまたの名作出演作があるわけですが、彼を好きになった映画としてこの作品は私には特別な意味を持つものなのです。

原作はアーネスト・ヘミングウェイ。「雪を頂いたキリマンジャロの頂上には豹の死体がある」という言葉で有名な作品ですね。原作は短編ですが、これは映画としてストーリーをいかにもヘミングウェイテイストで膨らませてあります。

この作品のペック氏は他の作品のイメージから比べると必ずしも正義漢ではありません。何せ時代は狂乱の20年代から始まるのです。ロストジェネレーションを自負する作家には正義も節操さえも必要はない。ただ楽しく毎日を生きるのみです。そしてその中で運良く自分を探求出来れば良し。そんな作家ハリーが出逢った女性達は、しかしながら皆ゴージャスな美女ばかり。特にパリの馴染みの店で出逢ったシンシアとは一目で惹かれ合います。酒場の片隅で一本の煙草で火をつけ合うペック氏とエヴァさんのシーンはそのロマンティックさで有名ですね。ちょっと原稿代が入ると、アフリカに飛び狩りに熱中するハリー。狩りが終われば今度はマドリードで遊び暮らすと言い出します。ごく普通の落ち着ける家庭を築きたいシンシアは、そのお金でもっと広いアパートに移って・・・と希望しますが、二人の心はすれ違っていきます。結婚=安定を望む女性と、いつまでも冒険と探求こそ生き甲斐と思う男性。これは人類の永遠のテーマかもしれません。

ペック氏とエヴァさんは何度も共演した息の合ったコンビです。美男美女。私はこの映画の中でやっぱりこのシンシアとのエピソードが一番好き。特にスペイン内戦に参戦したエピソードでは、もう涙、涙。ハリーにとってシンシアは文字通り運命の女性だったのにハリーはそのシンシアを守れなかった。失ってわかる愛の重さよ。

ヒルデガード・ネフは、この中ではちょっと異質な感じでお金持ちだけれどかなりわがままな女性。彼女と一緒にハリーは、上流階級のゴージャスな生活を体験しますが、それでも彼の心は満たされない。登場シーンは短いけれど、ヒルデガード・ネフの堂々とした存在感も良いですね。

そして、スーザン・ヘイワード。病気のハリーを献身的に看病する愛情深い女性。それでいて、食料がないと言って自分で狩りに行く(!)たくましさも持った女性であります。出逢いの時からシンシアと間違われて、女性としてはプライドがかなり傷ついたことでしょう。それでも彼女はハリーを選びました。
女性たちそれぞれが全くタイプが違っていてもとても魅力的。これはある意味では女優さんたちの魅力を堪能する映画かもしれません。

アフリカ、サファリ、パリでの楽しい日々、スペインでの飽食、闘牛、そしてスペイン内戦。ヘミングウェイの小説のエキスがほとんど詰め込まれているところが楽しいです。

帰る港を持たない男を演じても、それでもどこかそのルックスに潜む誠実さ、ナイーブさに惹かれてしまうペック様(かなり贔屓目か?)。勿論スーツ姿も、サファリルックも、何を着ても格好良いです。でも一番泣けたのはスペイン内戦のシーン。車の下の彼女とのあのシーンで、私は貴方にノックアウトされたのかもしれませんね。貴方は間違いなくハリウッドに君臨した巨星でした。どうぞお安らかに。


☆エヴァさんの黒いドレスや、スカーフをまとったローウエストのドレス、とっても素敵です。


ビデオ ○(絶版?)

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