赤毛のアン/完全版

ANNE OF GREEN GABLES: SPECIAL EDITION

1986年カナダ映画
カラー  195分

監督 ケヴィン・サリバン
出演 ミーガン・フォローズ コリーン・デューハースト
 リチャード・ファンズワース
   パトリシア・ハミルトン マリリン・ライトストーン
  シュイラー・グラント ジョナサン・クロンビー
 ジャッキー・バロウズ
おすすめ映画
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2003/10/26

お馴染みルーシー・モード・モンゴメリーの「赤毛のアン」の映画化です。孤児のアン・シャーリーは、アボンリーのカスバート兄妹のところに引き取られることになります。ところが行ってみてびっくり。兄妹が欲しかったのは農作業などを手伝ってくれる男の子だったのです。悲嘆にくれるアン。可哀想に思ったマシュウ&マリラのカスバート兄妹はしばらく試験期間としてアンを家に置くことにしますが・・・。


最初の方のシーンは原作にないし、ちょっと違和感を感じる方もいるでしょう。画面も暗いし、これはアンの暗い生活を示しているのではないでしょうか。変わってアボンリーに着いた途端、場面は咲き乱れる花々や緑の草に彩られて華やかになります。アンの境遇に一気に光が差したことへの暗示でしょう。しかし、喜んでやってきたアンを「男の子が欲しかったのに手違いで女の子がやってきた」という衝撃的な真実が襲います・・・。あまりにお馴染みのストーリーですので、これ以上の解説は無用でしょう。アメリカや日本ではダイジェスト版で公開されましたが、これは50分以上加えた完全版。原作のエピソードを楽しむためには俄然こちらがお勧めです。

アン・シャーリーという常に光に包まれた愛すべき、また溢れる才能の持ち主であるヒロインを演じられる女優はいるのか?というのは、私の小さい時からの謎でした。しかし、この映画のヒロイン、ミーガン・フォローズは見事にアンを演じています。原作のイメージ通りとまでは言いません。アンを愛する人々は、皆それぞれの心の中に自分のアン像を描いていることと思いますから。例えばもうちょっとスリムだったら良かったかも?とか、もうちょっと上背が欲しいとか・・・それでも、そういった点をのぞけばミーガン・フォローズのアンは確かに映画史上に残るアンであります。しかし、何より素晴らしいのはマシュウを演じるリチャード・ファンズワースとマリラを演じるコリーン・デューハースト。ベテラン俳優の彼と彼女は、見事に違和感なくマシュウとマリラに成りきっています。一見ちょっと冷たい感じさえするマリラ。何事にも厳しく、華美を嫌い、しっかり者で、でも心の底は温かくて・・・。コリーン・デューハーストの毅然としたマリラはまさしく原作通りのイメージです。そして、マシュウ。とにかく無口の恥ずかしがり屋。アンを駅まで迎えに来て馬車に乗せて走るシーンで一人しゃべりまくるアンの話をじっと聞き入る聞き上手ぶり。そして、何と言ってもアンのドレスを買いに行って、ドレスが欲しいと言い出せなくて熊手を買ったり、黒砂糖を買ったりするはにかみぶり。全てがマシュウの朴訥なイメージそのもので、それでいてにじみ出るような温かさを感じずにはいられません。マシュウは多くを語る必要はないのです。そこにいるだけで味がある。その存在そのものが心に温かいものをもたらしてくれる、リチャード・ファンズワースはまさにそんなマシュウを作り出してくれました。これで、字幕で「そうさの〜」と言ってくれれば完璧かも。

ダイアナ役のシュイラー・グラントは、大女優キャサリン・ヘプバーンの親戚というサラブレッドの血筋。ちょっと太め?という気もして、少々イメージに合わない気もしていましたが見ているうちにさほど気にならなくなってきます。ギルバートも同じ。いえ、正直ギルバートはダイアナ以上にイメージとは違ったんですが(どうしてもギルバートには王子様像を夢見てしまうから)誠実さは十分に伝わってきました。それからミス・ステイシー。温かそうで物わかりが良さそうで、夢見ることを知っているアンの同類としては言うことなしなんですが、私の描いていたミス・ステイシー像はもうちょっと若くて綺麗でファッショナブル。このあたりもちょっとイメージと違ったなあ。

まあ、配役に関するちょっとした違和感は残るものの、この映画は全編で原作の素敵な点を追求しています。アンのリンド夫人に対する癇癪に始まって、ギルバートの頭に降る石版。緑の髪のアン。屋根を歩くエピソードに、エレーン姫になって川を流されるシーン。そして、極めつけのマシュウと膨らんだ袖のエピソード。アンに映えるのは茶色のドレスじゃなかったっけ?とか、やっぱりここはマシュウがどうしてもドレスを買えず、リンド夫人が「よござんす」と言ってドレスを引き受けてくれなければ、とか言い出したらキリがないのですが、やっぱり泣けます。

この作品には続編の他に、テレビシリーズの「アボンリーへの道」というドラマが作られて、パトリシア・ハミルトンやマリリン・ライトストーンやジャッキー・バロウズなどが大挙して出演しているのもファンには嬉しいところです。

美しいアボンリー。いつも想像するグリーン・ゲイブルス。アンシリーズのファンなら、一度は見たい映画です。


☆クイーン学院のシーンがとても短いのが残念。ステラとプリシラが登場しなかったから・・・。

ビデオ ○  LD ○  DVD ○

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