スターシップ・トゥルーパーズ

Starship Troopers


1997年アメリカ カラー 128分

監督 ポール・バーホーベン

出演 キャスパー・ヴァン・ディーン ディナ・メイヤー
デニース・リチャーズ ジェイク・ビジー
ニール・パトリック・ハリス クランシー・ブラウン
パトリック・マルドゥーン マイケル・アイアンサイド
おすすめ(できないかもしれない)映画
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2001/9/30

ぱおー。悪趣味No.1監督のポール・バーホーベン入魂の一作です。

「インビジブル」でも悪趣味ぶりを発揮しまくったバーホーベンですが、この映画でも徹底的に悪趣味に突っ走っています。節度も何もありません。やりたい放題の撮りたい放題。

SF戦争アクション映画で、派手な宇宙船のシーンがでてきますが、お子さまは絶対に見てはいけません。とにかく首や腕や脚や肉片や血が飛び散るは、ぐちゃぐちゃの死体が大量にころがってるはで、ものすごく気持ち悪いです。さすがバーホーベン。節度や限度というものは彼にはありません。そこがまた逆にすがすがしいとボクは思ったりもするのですが。ではなぜそんな気持ち悪い映画を取り上げるのか? 理由は後で書きます。

未来のある時代、民主主義は崩壊し、世の中は軍事政権に支配されています。人間は「市民(シティズン)」と「一般民(シビリアン)」に二分され、一般民には参政権がありません。市民になるには、軍隊に入隊して、最低2年は兵士として働かなければならないのです。

ジョニー・リコは成績は悪いがスポーツマンの高校生。恋人のカルメンは軍のパイロットを目指しており、ジョニーはそれに引きずられるようにして、親の反対を押し切って入隊します。成績の悪いジョニーは機動歩兵隊に配属され、過酷な訓練の日々がはじまります。友だちのカールは成績もよく超能力もあるのでどんどん昇進し、カルメンは順調にパイロットへの道を歩んでいきますが、ジョニーの軍隊生活は最低の状況。それでも訓練でいい成績をだし、分隊長に任命されます。

ところがその矢先、実弾訓練で死者を出してしまい、彼は処罰を受けます。やはり軍隊生活が自分にはあわなかったのかと思った彼は除隊しようとするのですが、ちょうどそのとき故郷のブエノスアイレスが敵の昆虫型生物バグズの放った隕石爆弾で壊滅し、ふたたび戦うことを決意します。そしてジョニーたち機動歩兵隊は宇宙船でバグズの母星クレンダスに降下していくのでした。

原作はロバート・A・ハインラインの「宇宙の戦士」。でもこの映画は原作とはまったく別の立場から描かれています。原作がどちらかといえば戦争肯定的なタカ派な思想のもとに書かれているのに対し、映画は徹底して戦争とそれに専心する社会を茶化しています。のっけからあらわれる戦意高揚放送では軍事社会を徹底的に戯画化し、敵の昆虫たちが異様にリアルに描かれているのに対し、地球人の登場人物は見事なステロタイプ。人間はまるで単なる物体のように簡単に死んでいき(本来なら重要なキャラクターであるはずのジョニーの戦友たちも、そのほとんどが最初の戦闘であっさりと死んでしまいます)、かたやバグズは高度な社会を築く高等生物として描かれています。

実はここのところが、ボクがこの映画をこのコーナーで取り上げた理由であります。たとえば、タイトルは伏せますが最近のある超大作戦争映画がシリアスな反戦映画のふりをした悪趣味映画であったのと正反対に、この映画は悪趣味映画の衣をまとった社会批判映画であるとボクは見ています。戦争をせざるをえない人間社会を徹底的に茶化し、笑いものにして、愚かな行動を隠すがために倫理でもって自らを粉飾する人間たちをコケにしまくっているのです。それはバーホーベン監督の生い立ちとどうやら関係がありそうです。

残酷な戦闘シーンや死体、昆虫型生物バグズのリアルさに比べ、この映画そのものはまったくリアルではありません。もうむちゃくちゃです。ストーリーもむちゃくちゃなら、SFとしても、また科学的にもむちゃくちゃです。いちいちあげていたらきりがないので一つだけ紹介すると、太陽系から見て銀河系の反対側にあるはずのクレンダス星から、バグズはなんと隕石を飛ばして地球を攻撃し、地球からクレンダス星に向かっている宇宙船とものすごくゆっくりすれ違ったりするのです。でも、それが逆に戦争社会を茶化しているこの映画に妙にマッチして、思わず笑ってしまうのであります。

映像的にはさすがに一流スタッフがかかわっただけのことはあります。バグズを担当したフィル・ティペットは「ジュラシック・パーク2」を断ってまでこの映画に参加したとか。そのおかげで「ジュラシック・パーク2」の恐竜たちの動きにリアリティがなくなったとまで言われました。宇宙のシーンも、とてもよくできています。それに、飛び散る肉片や血や、原形をとどめない大量の死体も・・・

SFとしてはむちゃくちゃな話なのに、SFファンのあいだでもけっこう評判がよかったようです。あからさまな反戦映画のウソっぽさに辟易している方なら、一見の価値はあるでしょう。気持ち悪ささえガマンできるなら・・・

☆原作にでてくるパワード・スーツ(「ガンダム」のもとになったとも言われるものです)は、映画にはでてきません。原作が好きだったボクにはそれだけが残念でした。DVDで何度も見て、べべちゃんに苦笑される毎日であります。
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