断崖

SUSPICION


1941年アメリカ映画  RKO
白黒  99分  

監督 アルフレッド・ヒッチコック

出演 ケーリー・グラント ジョーン・フォンテーン 
セドリック・ハードウィック
    レオ・G・キャロル デイム・メイ・ホイッティ
おすすめ映画
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2002/3/10

世間知らずの深窓の令嬢として育ったリナは、悪名高いプレーボーイのジョニーと恋に落ちる。リナの両親の反対をよそに2人は駆け落ちするように結婚。ジョニーはリナに豪華な家やメイドを用意して幸せな生活が始まる。しかし、実はジョニーは賭博師で真面目に働くことの出来ない男だった。リナの知らないうちにかさむ借金。リナの財産を当てにしていたのに、父親が思ったほど遺産をリナに残してくれなかったことへの落胆。そしてリナに賭けられた保険金。夫が推理作家に熱心に毒薬について聞く様子・・・。やがて、リナは夫が自分を殺そうとしているのではないかと疑い始める。


ヒッチコックの渡米第4作です。「レベッカ」のジョーン・フォンテーンを再びヒロインに起用して、夫に殺されるのではないかという恐怖に脅える妻の様子をジワジワとサスペンスいっぱいに描きます。
あの有名な「光るミルク」のシーン。ケーリー・グラントが妻のジョーンにミルクを入れたコップを持って行こうと階段を上がっていくのですが、薄暗い中でミルクだけが異様に光っていて、そこが怖さを引き立たせます。このミルクには毒が入っているのではないか?と、まあたいていの人が考えてしまうでしょう。このシーンは、コップの中に豆電球を入れてミルクを光らせたそうで、そういった細かい演出はさすがヒッチコックですね。今の派手なCG映画を見慣れてしまうと、特殊効果など使わなくても豆電球一個でスリルを倍増させることが可能だという映画作りの原点に気付かされます。

ジョーン・フォンテーンは我が家ではハリウッド3大美人の1人として奉られている人です(あとの2人はグレイス・ケリーとイングリッド・バーグマン)。特にババちゃんが崇めています(笑)。確かに、この映画でも美しさが光っています。眼鏡を取るとハッとするほど美しいという記述を読んだことがありますが、美人は眼鏡ごときで美を損ねられたりはしないのだと思います。まあ、でもケーリー・グラントがハッと息を飲む馬上で微笑むジョーンは実に美しかったですね。彼女の場合は、繊細な美という表現が似合うでしょうか。それだけに、夫に殺されるのではないかという恐怖に震える妻というのはなかなかの適役です。この演技で、アカデミー主演女優賞を受賞しました。彼女は実は東京生まれの大スター。父親が東京帝国大学教授で、日本で生まれてしばらく育ってこちらの学校に通ったこともある人です。お姉さんは、オリビア・デ・ハビランド。「風と共に去りぬ」のメラニーですね。まあ、姉妹仲については妹が先にオスカーを穫ったことで色々とありましたが・・・。

ヒッチコックビューティーズという言葉があります。ヒッチコックのお気に入りの美女たちを総称してこう言います。知的で洗練された金髪美人というのがその骨子です。ジョーン・フォンテーンもまさしくこのヒッチコックビューティーズの1人で、立て続けにヒッチコック映画に出てスターになりました。その後のヒッチコックビューティーズは、イングリッド・バーグマン、グレイス・ケリー等々と来れば、まさしく我が家の3大美女と同じであります(笑)。きっとヒッチコックとは気が合いそう。

プレーボーイ役を演じさせたら、この人の右に出る人はいないのではないか思われるケーリー・グラント。色男、金と力はなかりけり、を地で行く役です。それなのに経済観念がなくて贅沢はし放題だし、明らかに奥さんの財産を当てにしているふしあり。ハンサムだけど、本当にただの脳天気で考えなしなのか(失礼!)、それとも陰謀を抱いているのか、どっちとも取れかねない役を、のらりくらりと楽しそうに演じています。確かに、妙な点が多すぎて奥さんがノイローゼ状態になるのも当たり前ですよね。
ケーリー・グラントもヒッチコックにとても愛された俳優で、「泥棒成金」「北北西に進路を取れ」など何本も出ています。この映画はヒッチコック好みの男優、女優を組み合わせた元祖とも言えるでしょうか。

実はこの映画では、ヒッチコックは別のエンディングを考えていたそうです。でも、プロデューサーに却下されたとか。そちらのエンディングもなかなか面白そうでした。ここで(本編のエンディングも書けないのだから)、書けないのが残念です。


☆ジョーン・フォンテーンって、眼に涙をためてささやかに泣くシーンが美しいと思う。特に霞がかかったような画面で。


ビデオ ○   DVD ○





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