パトリオット

THE PATRIOT


   2000年アメリカ映画  
    カラー  164分


監督 ローランド・エメリッヒ
  出演 メル・ギブソン  ヒース・レジャー 
ジョエリー・リチャードソン 
     ジェイソン・アイザックス  クリス・クーパー
      チェッキー・カリョ  ルネ・オーベルジョノワ
リサ・ブレナー トム・ウィルキンソン
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2002/5/5

かつて勇猛果敢な戦いで名を馳せた英雄ベンジャミン・マーティンは今は大きな農場を経営して、亡き妻の分まで7人の子供の父親として奮闘する日々を送っていた。しかし、植民地アメリカと本国イギリスの対立が激しさを増し、大陸軍として独立を目指して戦おうという気風がアメリカ人の間に高まっていた。かつて戦争で辛酸をなめたベンジャミンは、戦争には反対の立場を取るが、長男のガブリエルが出征。さらに次男が英軍の大佐に殺されたことから、ベンジャミンの封印したはずの過去の闘志に火がつく。ベンジャミンは、ガブリエルを伴い付近の街から民兵を集めて隊を組織し、英軍にゲリラ戦を仕掛ける・・・。


時は独立戦争。自由を手にするため、また愛する家族を守るために、男は立ち上がる・・・というアメリカ人が大好きなパターンの映画です。優しき家庭人だった筈の父は、実は戦争の猛者で、最初は戦争反対を唱えていたくせに自ら民兵組織を作り上げて、イギリス軍にその神出鬼没さから「幽霊」と恐れられる指揮官をメル・ギブソンが体当たりで熱演しています。ちょっと熱すぎるかな?と思うほど(笑)。

平和な農場のすぐ目の前でいきなり展開される戦争。飛行機も爆弾投下もない時代ですから、文字通り目の前で白兵戦の修羅場を見せられるわけです。これはたまらないですね。そこにやってきたのがイギリス軍の極悪非道の大佐だったのが運の尽き。ベンジャミン・マーティンの敵となるこの大佐の残虐ぶりには憤りを感じます。家を見れば焼いてしまえ、子供でも女性でも関係なく殺してしまえ。戦争に兵士と民間人の区別をつけないこのやり方。とても紳士の国のお方とは思えません。

次男を失ったことから、突然「ランボー」も真っ青の凄腕兵士に変身するベンジャミン。それもその筈で彼は、かつて名を馳せた戦争の英雄。今は凡人を装いながら、しっかり過去ありのパターンもハリウッド映画の最近の流行を踏襲しております。しかし、長男を助けるために走るはいいが、まだ小さな子供に銃を持たせ将校を撃て!って命令するのには参りましたね。また、この子供が大した銃の腕を持っているんですね。アメリカはやっぱり小さな頃から自分の身を自分で守ることを子供に教えて来たんだな、ととても複雑な気分になりました。

長男ガブリエル役のヒース・レジャーはこの映画でブレイクしましたが、私の心にもぴったりフィットしました。正統派ハンサムっていうわけでもないんですが、ちょっとワイルドなようで、ちょっとシャイで、ちょっと純情で、当たり前だけれど若くて活きが良い。父のどっちつかずの態度を歯がゆく思い、戦場に赴くのも若者特有の正義感の表れで「若いの〜」と納得。でも、彼がそこで見た戦争の現実に打ちのめされながらもさらに進んでいく姿に、不屈のアメリカを見た思いです。でも、恋のときめきも忘れない。インクで真っ黒に染まった歯(お歯黒?)でニッコリ笑う姿は可愛かったですね。

それにしても戦争の仕方。両軍が向かい合って、「せーの」とばかりに銃が火を噴いて、何せ連発銃の時代じゃないから弾を込めているうちに撃たれて・・・。一体あれは何なんでしょう。戦争というより集団自殺としか思えない。でも、スミソニアン博物館の人が、あれがあの時代の戦争だったのだと語っていました。いわゆるイギリス軍の言う「紳士の戦争」。紳士だったら、戦争なんてやめたら、と言いたくなるけれど。数で圧倒的劣勢にあったアメリカ軍がそこで考えたのがゲリラ戦法なわけで、メル・ギブソンが仕掛けた戦争がそれですね。このあたりは史実に忠実なようです。

脇役も良かったですね。癖のある役をやらしたら、最近では最高の1人ではないかと思えるクリス・クーパーが今度は全うな指揮官。そして、フランス人軍人で自国の軍が到着するのを待つ間大陸軍に戦い方を教えるチェッキー・カリョ。今までよれよれだったのに、最後の戦いの前にパリッとした軍服を着て出てきて「おしゃれして死にたい」と言うあたり、とってもフランス人的!彼の役は何とラ・ファイエット将軍をモデルにしたというから半端じゃない。「ベルサイユのばら」を読んでしっかりアメリカ独立戦争に介入したフランス軍の指揮を執ったラ・ファイエット将軍の事は頭にインプットされてましたからね。それに銃をとって戦いに行ってしまう牧師さん役のルネ・オーベルジョノワ。みんな結構見せ場があって良い味を出してました。

とは言ってもこれはやっぱり大スター、メル・ギブソンの映画でした。やっぱり彼の活躍の独壇場。仕方ないか。ヒース・レジャーの若々しい魅力は、その中では光っていた方でしょう。他の子供たちも可愛かったしね。

何だか戦争の仕方を見ていると、あまりの時代の違いにのけぞりそうになるのですが、当時の人々は真剣だったし、彼らの大きな、大きすぎるくらいの犠牲があってこそ、今のアメリカ合衆国があるのですね。建国の父はワシントンと言われるけれど、自ら銃を取って戦った名もない全ての兵士。そして銃を取りはしなかったけれど自らの信念に基づいて行動した結果残酷な死に追い込まれた全ての市民。彼ら彼女たちの全員が建国の礎であったことを再認識させてくれました。

ちょっと大味な印象は否めないかもしれないけれど、一見の価値あり。特に家族、夫婦、恋人たちの愛に弱い人は。


☆ジョエリー・リチャードソン(子供たちの叔母さん役)はトニー・リチャードソン監督とバネッサ・レッドグレーブの次女です。姉のナターシャ・リチャードソンも女優さんで、こちらはリアム・ニーソン夫人でもあります。


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