ギャラクシー・クエスト

GALAXY QUEST


1999年アメリカ映画 ドリームワークス
カラー  102分  

監督 ディーン・パリソット

出演 ティム・アレン シガーニー・ウィーバー 
  アラン・リックマン トニー・シャローブ
  サム・ロックウェル ダリル・ミッチェル
おすすめ映画
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2002/1/27

20年前にテレビで放映されたドラマ「ギャラクシー・クエスト」は熱狂的なファンを持つ人気番組だった。宇宙船プロテクター号の乗組員たちが宇宙で様々な冒険をするというSFアドベンチャーだ。レギュラーを演じていた俳優たちは20年後の今も、熱狂的なファンが集うコンベンション会場でサイン攻めにあう日々だった。この会場にやってきた4人のサーミアン星人たちが、翌日タガート艦長を演じていたジェイソンの元を訪れる。彼らは自分たちの星でも受信出来た「ギャラクシー・クエスト」を歴史的ドキュメンタリーと信じて、ヒーローであるジェイソンに、侵略者たちに苦しめられる自分たちを助けて欲しいというのだ。「ギャラクシー・クエスト」で描かれたことをすべて真実と信じるサーミアン星人たちは、実物のプロテクター号を用意して乗組員たちを熱狂的歓迎で迎える。最初はヒーロー気分で乗り込んだジェイソンたちだったが、戦いがフィクションでなく本物であることを知り、パニックに陥る・・・。


とにかくとにかく面白い!我が家では久々の大ヒットになりました。こんなに笑ったのは映画の「ゆかいなブレディー家」を見た時以来ではないでしょうか。

SFドラマの金字塔「スター・トレック」のパロディです。「スター・トレック」を知っていると20倍は楽しめます。でも、知らなくても十分面白いでしょう。SFオタクたちの生態の描き方も見事ですから。

20年前に放映終了したドラマの人気だけでその後ずっと食いつないでいる出演者たち、という設定が何だかリアルで笑えます。人気者にはなったけれど、あまりに「ギャラクシー・クエスト」のイメージが強すぎてそれ以外の何者にも多分なれなかったのであろう俳優たち。一番顕著にそれを現しているのが、アラン・リックマン演じるエイリアンのドクター・ラザラス。「トカゲ頭に誓って・・・」が決まり文句で、元来はシェークスピア役者だったという設定で、コンベンションでも嫌でたまらない様子がありあり。それなのに、家でも何故かトカゲ頭のかつらを脱がない何とも不思議な人。そんな人に背筋が寒くなるような一睨みで悪役を演じることの多いアラン・リックマンが扮しているのですから笑えます。このドクター・ラザラスは「スター・トレック」のスポックとドクター・マッコイを掛け合わせたようなキャラクターでしょうか。皮肉屋のマッコイと理論ばかりを繰り返すスポックの丁々発止を1人で演じている感じ。

番組の紅一点のマディソン中尉役のグエンは、指示を繰り返すだけが仕事というセクシーさが売りのキャラクター。これを演じるのは、それこそ20年前エイリアンと戦って強ーい女性の代表格であったシガーニー・ウィーバー。配役の妙です。

そしてタガート艦長役のジェイソンを演じるのはティム・アレン。映画「サンタクロース」で有名になったアメリカでは有名なコメディ俳優です。彼がまさしく「スター・トレック」のカーク艦長を彷彿とさせる役回りで笑わせてくれます。無意味に前転してからアクションを起こす様とか(でも、これが最後で決まるんですよね!)、やっぱり無意味に沸々している熱血漢的なところとか。砂漠の星で、1人で未知の怪物と戦っているところなんて、まさしくカークの独壇場だったものです。

他にプロテクターの技術主任のチェン。彼は食べることが大好きらしくいつも食べていて、突然現れた宇宙船にも何故かすぐに適合してしまう希有な才能の持ち主。勿論お約束の転送場面もしっかりと用意されています。

少年時代から操縦桿を握っていた操縦士のラレド。「ネクストジェネレーション」のウィル・ウィートンを彷彿とさせる役回りですね。

そして何故かついてきてしまったただ1人レギュラーではなく、エキストラ専門だったガイ。このガイの台詞の数々がまた大爆笑です。「番組開始後、5分で死ぬ保安要員だった」「苗字もない乗組員その6だった」エトセトラ。でも、レギュラーたちはうんざりしていても、ガイのようにエキストラでしか出番のなかった俳優には、レギュラーは夢だったでしょうね。厳しきショービジネス界の現実を、笑いの中にもしっかり見せてくれています。

「スター・トレック」から抜け出たあの人この人をつぎはぎにしたプロテクター号の乗組員たちは、それぞれ散々笑わせてくれましたが、この映画の中で最高のキャラクターは、サーミアン星人たちであります!とにかくいつも笑顔、拷問されていても笑顔を忘れない(!)温厚を絵に描いたような人々です。自分たちの星でキャッチしていた「ギャラクシー・クエスト」を偉大な「歴史的ドキュメンタリー」と信じて疑わず、プロテクター号の乗組員をヒーローとしてあがめる純真無垢な人たち。サリスという敵に遭遇するまでは、「嘘」という概念を持ち合わせていなかったというあまりにまっさらな心を持つ彼らは、最初は笑わせてくれましたがそのうちに何ともしんみりさせてくれました。どんなことにも怒ることがないけれど、「嘘」をつかれたと知った時の悲しみに苛まれる表情を見てしまったらもう彼らに嘘なんかつけませんよね。彼らは人間嘘発見器になれそうです。ぎくしゃくとした歩きや、上下に打ち付ける拍手の仕方や、貼り付けたような笑顔や、翻訳装置が壊れた時の意味不明の高音波や、笑える要素満載なのですが、見ていくうちにものすごく親近感を感じてしまうから不思議です。映画史上、数々のエイリアンが登場しましたが、私は文句なくサーミアンたちを最高のエイリアンとして推薦します!彼らとなら友達になりたい。但し、大変申し訳ないが必ず変身していて頂かないと・・・。

もう一つの見物は、SFオタクたちの生態です。「トレッキー」と呼ばれる世界中に散らばる熱狂的な「スター・トレック」ファンをもじっていることは明らか。コンベンションにコスプレをして駆けつける。サインをしてもらう時には必ず「トカゲ頭に誓って」と決まり文句を言う。番組の第○○話はこういう話、と内容に詳しい。そして、極めつけ。番組出演者たちなんかより百倍は、宇宙船の内部に詳しい(何と自分のコンピューターの中に宇宙船の設計図を入れてある)。・・・よくぞここまで、と思う反面、絶対こういうディープなファンっている!と確信させてくれるリアルさでツボを押さえます。

最初から最後まで笑えて笑えて、笑い死にしそうなくらい笑わせてくれて、ホロリとさせてくれる最高の映画です。SFファンでも、そうじゃなくても(ちなみに私はそんなにSFファンではありません)、堪能出来る人には堪能出来る映画です。102分という時間がこんなに短く感じる映画も珍しい。CGをいっぱい使っているのに、どこか往年のテレビシリーズを感じさせるべくチープな雰囲気が漂っているところも楽しいです。こんなに笑い飛ばしているのに、見終わって爽快感があるのは根底にSFやSFファンや「スタトレ」への愛情が満ちあふれているからでしょうね。

トカゲ頭に誓って・・・SF史上最高に楽しい一本です!レンタルビデオには必ず置いてあると思います。見つけるまで、「ネバー・ギブアップ!ネバー・サレンダー!」。


☆技術主任チェンと恋に落ちちゃうサーミアンの美女ラリアリちゃん。映画化の際に一緒に出演を果たしているのだけれど、役者名がJane Doe・・・(笑)。


ビデオ ○  DVD ○
SF大会に行ったときに、「新スタートレック」の乗員のコスチュームを着ている人がうろついていました。ほかにも巨大ロボットの格好をした人がいて、取材だったので写真を撮らせてくださいというと、すかさず決めのポーズを取ってくれるのです。申し訳ないけど笑いそうになってしまった。彼らはドラマやアニメの中のキャラクターになりきってしまっているのです。

この映画では、そうしたディープなファンの心理がよく描かれていて、爆笑ものです。たぶん、トレッキーたちもこの映画が気に入ったのではないでしょうか。自虐的に喜んだりして。その証拠に、この映画はSFファンによって選ばれるヒューゴー賞というのを受賞しています。

サーミアン星人たちが無意味にいつも笑顔だったり、手と足を同時に出すヘンな歩き方をしているだけで宇宙人に仕立て上げているところがおかしい。CGもばりばりに使った映画なのに、わざとそうしたチープな演出をしているところがとてもいいです。

これほどトレッキーやSFファンの心理をくすぐる映画も珍しいでしょう。もちろん、「スタートレック」を知らなくても、SFファンでなくても楽しめる映画ではあります。

でも、ちょっと怖いのよなあ。この映画を観てしまうと「スタートレック」を観ると絶対に笑ってしまうような気がする。
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