いまは泣かない!!



柴田あや子
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2001/12/3

昭和47年に週刊マーガレットに掲載された作品です。

中学2年生の野川玲子は、優しい両親と弟に囲まれて幸せな生活を送っていました。母の咲子は、義妹のブティックの一角を借りて、手作りの小物を売っていました。玲子は時々そんな母を訪ねて一緒に帰るのが楽しみのちょっと甘えたところもある普通の女の子でした。しかし、突然母の咲子が頭の痛みを訴えて倒れます。検査の結果、咲子が脳腫瘍であることがわかり早速手術が行われますが、腫瘍が悪性であることがわかり、余命が短いことを医師に告げられます。大変なショックを受ける玲子たちですが、母の望みで自宅療養が行われます。母とのあとどれだけ過ごせるかわからない一時一時を大事にする玲子。でも、確実に母の体は病魔に蝕まれていました・・・。


初めて読んだ時泣いて、もう一度読んだ時も泣いて、それから何度読んでも泣けて仕方がなかった思い出の作品です。
小学校一年生にして自称小説なるものを書いていた私の得意分野は「不治の病」でしたから、その王道をいくこの作品はとても親しみを覚えた(こんな風に言って良いのかな?)ものです。

ごく普通の幸せな家庭を襲った母の病気。誰が病気にかかっても大変ですが、一家の中心であり太陽である母親だったという点が、家事の負担などのこともあり、リアルに迫ります。

「時の経つのが早い。1分、1秒でも遅ければそれだけママの命も長いのだろうに・・・ああ、いっそこのまま時間が止まってくれたら」。
玲子の心の叫びが胸を打ちます。楽しい時が続く時に、このまま時間が止まってくれたら、と思ったことはあったものですが、こんな風に時間のことを考えたことがなかった幼かった私にはショックな言葉でした。

家庭療養に切り替えて家に戻った母と玲子がアルバムを見て、昔を懐かしむシーンは思わずジーンと来ます。告知はされていないものの、自分の体は自分が一番良くわかっていたのでしょう。母咲子は娘に言います。「一人で大空に向かって羽ばたいていって」。ここでまた涙。

そして咲子の最期。夫がそっと息絶えた彼女にささやく言葉。「よく頑張った。もう、いいんだよ。もう、ゆっくりおやすみ咲子」。
もうここまで来ると号泣です。

明るく元気な中学生だった玲子は、母の病気で一気に大人になることを要求されます。もし私にこんなことがあったらどうしよう、と子供心に恐怖を抱いた事も覚えています。

私の「不治の病」ものにはないリアルさに、これが大人の作品なんだ、と妙な感動も味わいました。
今でも思い出すだけで涙が出そう。



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