レディーミツコ



大和 和紀
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2002/1/6

文明開化間もない日本の東京で骨董屋を営む青山家に三女が誕生した。手のひらにほくろがあったことから、星をつかんで生まれてきたと称されたミツコの誕生だった。年頃になったミツコは、偶然の出来事からオーストリア=ハンガリー帝国の代理大使として単身日本に渡っていたハインリッヒ・クーデンホーフ・カレルギー伯爵と知り合う。ハインリッヒのいる大使館で手伝いをすることになったミツコは、外人への偏見ばかりの日本で、いつしか孤独な伯爵と愛し合うようになる。しかし、二人の愛は双方の家族に認められはしなかった。それでも愛に包まれた幸せな生活を送っていたミツコだったが、伯爵が父親の急死で故国に帰らなければならなくなる。日本にいる間だけの縁と思い身を引こうとするミツコを、ハインリッヒは親族に帰国する条件として正式な妻と認めさせ一緒に故国に連れて行く。ミツコのオーストリアでの慣れない苦悩に満ちた生活の幕開けだった。


小学生ぐらいの時に読んで大変感動した本です。今でもお気に入りの一冊。
一庶民として生まれながら、日本人として初めてヨーロッパ貴族となったミツコの愛と苦悩に彩られた実話です。

時は明治時代。いくら文明開化とは言っても、異人さんというだけで日本人たちは避ける時代です。そんな時代にミツコが愛したのは外国人のしかも伯爵。自分の両親にも認められなかった結婚でしたが、ミツコはハインリッヒと幸せな時を過ごします。でも、突然二人はヨーロッパへ帰ることに。全く知らない土地、知らない人々、さっぱりわからない生活習慣や言葉の壁に阻まれる中で、ミツコは苦悩の毎日を過ごすことになるのです。親族たちは東洋人のミツコを妻とは認めない。でも、ハインリッヒの強い愛と時には厳しさに支えられて、ミツコは自ら伯爵夫人修行をこなすようになります。天性の美貌と当時の日本女性としては珍しい高身長に恵まれたミツコの美しさは、社交界でも目を引くようになり、彼女の知性と勇気は遂に親族たちに彼女の存在を認めさせるに至ります。そして晴れて、ミツコはオーストリア社交界にミツコ・クーデンホーフ・カレルギー伯爵夫人として認められるようになります。

ミツコは日本にいても、異端でした。進歩的な考えやその身長だけでも当時の封鎖的な日本で認められることは難しかったでしょうに、まして愛したのが外国の伯爵。二人の愛の巣は築いていたとはいうものの、一歩外に出ればやはり後ろ指を指されるような世界だったのではないでしょうか。
そして、渡ったオーストリアではもう異端等というものではすみませんでした。周りは彼女に反感を持つ者ばかり。味方は夫ただ一人。彼女の心中を考えるとよくノイローゼにならなかったものだとひたすら感心します。
そんな彼女の前に現れたのが子どもたちの家庭教師フランツ・エルンスト。彼だけはミツコの味方になって彼女を陰になり日向になり支えてくれます。
ハインリッヒの急逝のあとはまさしく彼あってのミツコでした。心の中ではミツコを愛していながら、そっと去っていく彼。燃えるような愛もあれば、静かに相手を思いやる愛もある。このエルンストは素敵でした。ルックスが「はいからさんが通る」の黒い狼さんでしたし(笑)。

夫を亡くした後のミツコの頑張りは目を見張るばかりです。広大な領地を守り、子どもたちの父となり母となり、社交界での役割も怠らず。まさしくスーパーウーマンになります。頑張りすぎの感もあって、どうしても子どもたちとの亀裂が深まっていくのは辛いことだったでしょう。

この時代の外国と日本という組み合わせは「はいからさん」大好き族の私にはゾクゾクする話です。まして実話。クーデンホーフ伯爵夫人はとても関心のある存在になりました。ゲランの香水の名にもなったミツコ。美しいだけでなく、聡明で確固とした意志と強さを持った素晴らしい女性でした。


☆昔、信州に旅行した時に買った小さなキーホルダー付きの携帯用香水。「ミツコタイプ」と書いてあっただけで、即買ってしまったものでした。安かったけれど結構匂いが良くて、旅行の時には重宝したものでした。


講談社コミックスにて刊行



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