風と木の詩



竹宮恵子
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2002/6/2

フランス、サン・クライザールにある名門寄宿学校ラコンブラード学院に転入してきたセルジュ・バトールはジプシーだった母の血を受けて鳶色の肌をした美少年だった。彼は学院の問題児、ジルベール・コクトーと同室になる。素直でまっすぐな心を持った礼儀正しく優等生のセルジュは、学院でも人気者になるが、同室のジルベールとの仲はすっきりいかない。ジルベールは大変な美少年だったが、授業にもほとんど出ないで退廃的な毎日を送っていた・・・。しかし、セルジュとジルベールのこの出逢いは運命的なものだった・・・。


初めてこれを読んだ時は多分中学1年ぐらいだったでしょうか。読み進みに従って、さすがに当時の私にはちょっと刺激が強くて途中で脱落した思い出があります。

今読んでも、確かに刺激が強いですね(笑)。
セルジュもジルベールも本当に美少年。でも、2人とも生い立ちがあまりに悲しいですね。セルジュは子爵家の跡継ぎなのですが、早くに両親を亡くして孤独な子供時代を送ることになりました。ジルベールは、ひたすら愛を求め、愛を与えてくれない叔父(一応)のオーギュストのサディスティックな行動に身を焦がす・・・。オーギュスト・ボウの行為は立派な児童虐待ですな。

ジルベールは美少年だけれど好きにはなれなかったんですが、段々読み進みうちに何とも彼が可哀想になってきました。何とも切ない姿ですよね。彼はこの俗世に生きるにはあまりにはかない存在だったかもしれない。美しいことがこれほど悲しい結果をもたらすこともそうはないでしょう。美しいというのも本当に大変です。
そのジルベールに結局は振り回される形になってしまうセルジュ。思いこんだら一途なところはお父さんそっくり。頭は良いけれど、ちょっと単細胞かもしれない(笑)。

私はジルベールが段々心を開いてきて、セルジュや級友たちとささやかながら交流を持つようになった頃が一番好きでしたね。笑うジルベール、歌うジルベール。こんなジルベールをもっと見ていたかった。

さて、天の邪鬼な私のお気入りは何と言ってもパスカルですね。セルジュたちのクラスメートで、何とも人生を悟った人で機転が利く人。ベタベタした友情ではなくて、いつもさりげない思いやりを見せるところが好きですね。パスカルが進学試験で学年一位になった時、友人たちが一人ポツンとしていたパスカルの元に駆けつけたところではホロリ。「パスカル〜1位だよ〜」って。だって、パスカルは1位で進学出来ないなら留年するって言ってましたものね。

それから、パスカルの妹、パトリシア。強くて、はっきりしていて、自分の足で大地を歩いていく人。それでいて、セルジュに一途。彼女は女性の理想ですね。新聞記者になりたい、なんてあの当時主張するのも良い。さすが、パスカルの妹。

この2人に最後まで見守られていたセルジュは幸せでしたよ。それに比べてジルベールの哀しさは・・・。

それから、舎監のワッツ先生も好きでしたね。戦争で足が不自由になって母校で舎監をしている人。愛する人もあきらめて。そして、彼はセルジュの父親アスランの大の親友でもありました。彼らの若き日の話も好きです。でも、愛を貫くためにアスランが犠牲にした物は大きかった。その血はしっかりセルジュに受け継がれてしまいました。

ついでに相当濃いめで、最初はその美に惹かれてジルベールに近づいたボナールも良い人でしたね。ジルベールのことを良くわかっていた。さすがというべきか。

オーギュはどうしても好きになれない。何だか塗り壁のような顔をしてるし。

最後まで読んだのは最近で、はまりこむには年を取りすぎたと感じてしまいました。中1の最初じゃなくて、せめてもうちょっとだけ後に読んでいたら、結構はまっていたかもしれないと思われるだけに残念です。


☆セルジュのピアノはそれからどうなったんだろう。


小学館コミックス、愛蔵版、白泉社コミックスにて刊行




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