「再婚狂騒曲」他 エルドンシリーズ


坂田 靖子
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2001/4/9

 坂田靖子を初めて知ったのは「花とゆめ」に載ったこのエルドンのシリーズでした。独自のユーモアあふれる世界で人気が高い坂田靖子の初期の作品です。「エルドンの夜」と記憶していたのですが、その表題の作品はないようです。記憶違いなのかしら。どなたか、記憶している方がいらしたら御一報下さい!

おませな美少年エルドンと若くて美しい母シャルメイン、その再婚相手ノッテンガムさんの物語です。

素敵な母に首ったけのエルドンは、母の再婚話を壊そうとあの手この手を使います。ノッテンガムさんも年相応の機知で応戦。二人のシャルメインを挟んでの攻防がシリーズの軸になっています。とは言っても、決して深刻な話ではなく、コメディです。それも坂田靖子特有のおしゃれで、ユーモアとエスプリにあふれた素敵なコメディなのです。

登場人物も魅力にあふれています。エルドンはおませでプレーボーイで、寂しがりやで、悪知恵に長けているけれど憎めない。シャルメインはふわふわとした雲みたいな女性で、無垢でロマンティックで一緒にいたら心が和むだろうなと思わせる女性。ノッテンガムさんはお髭の素敵なおじさまで、子供相手といっても決して手を抜かないで対等なライバルとして接しているところが素敵。

次々に出てくるゲストたちも、美しき少年を愛でる男性や、間抜けな泥棒たち(このエピソードは「ホーム・アローン」の元ネタか?と思うような展開です)、おもしろおかしい使用人たち、冒険心に富んだ・・・はずの飛行機乗りなどバラエティ豊かです。少年を愛でる男性にエルドンが「ベニスで死ね!」と叫ぶところなどは大爆笑。

ちょっと昔の上流社会を描かせたらピカ一なのも彼女の特徴です。執事さんや、メイドさんたちをこんなに個性豊かに面白く、ちょっと弾けて描く漫画家さんもそうはいないでしょう。エルドンシリーズは、後年の彼女の真骨頂の兆しを発見できる貴重な作品でもあります。

☆昔「花とゆめ」増刊号に載っていた漫画家達の映画エッセイで、坂田靖子が「まぼろしの市街戦」が好きと書いていました。この作品名は私の頭の中にインプットされて、後年見る機会が訪れましたが、いやもうブラックユーモアの傑作です。この映画が好きって言う彼女をますます好きになりました。


白泉社 坂田靖子初期傑作集「エルドンとジムと」に収録 (Jets Comics)
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