大逃亡


和田 慎二

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2001/10/22

多分これも別冊マーガレット連載作品だったと思います。典型的逃亡&復讐物。

おじの財産を相続したまだ10代だった万里亜は、後見人として乗り込んできた叔母一家にいじめられる毎日でした。BFの圭一の存在だけが彼女の支えでした。しかし、万里亜の財産を狙う叔母たちは策略を巡らします。自分を襲おうとした従兄を思わず刺してしまったことから万里亜は少年院に送られることに。そこで、日々を過ごすうち、彼女は誰にも負けない肉体的、精神的強さを身につけます。そして、脱走。保護司の沼重三は、彼女の行方を必死に追います。山中にある教会にかくまわれた万里亜は、神父のタルボットやティム、そしてマリアという名前から聖母マリアを連想して自分を慕う教会にいる孤児たちとふれあううちに、いつしか温かい心を取り戻していきます。万里亜は、教会で落ち着いた日々を過ごすようになりますが、財産を狙う叔母一家、そして沼保護司は彼女をそっとして置いてはくれなかったのでした・・・。


これまた当時流行っていた、陰謀&復讐物の典型でした。でも、少し違っていたのは、ヒロインが復讐の具体策を練る前から、教会という癒しの中に巻き込まれ、自分でも知らない間にそこに浸ってしまうことでした。心優しい神父たちと、親のいない子供たち、そこで自分がいかに必要とされているかを知った万里亜は、復讐よりも彼らと共に生きる道を選びます。彼女の名前が「マリア」であったことも子供たちに受け入れられた原因ではありましたが、人々の優しい純粋な心が彼女の中に眠る本来の優しい心を呼び起こしたのですね。

「法律による刑罰はある人によっては長すぎ、ある人にとっては短すぎる。罰の本質はその人が罪を悔いることにある。心から悔いた時が罰の終わりなのだ。その人の悔いる心の芽生えを踏みにじるほどに刑期が長ければ、その人は罪を犯したとき以上に心に亀裂を作り一生を暮らさねばならぬ。また刑期が悔いる心を探るまでに至らぬほど短い時間ならば、その罰は意味がない」
というタルボット神父の言葉が心に残りました。
このタルボット神父という人、サンタクロースのような髭を生やしたおじいさんですが、実に見事なキャラクターです。立派な聖職者でありながら、平気で狸に化けることも出来る(笑)。かと思えば、一喝で沼保護司を追いやることも出来る迫力。どういう理由で山奥で教会&孤児院を開くに至ったのかは知りませんが、人生を悟っていて、でもお説教くさいことは言わないで万里亜に自分で気づかせるその見事な癒しの手に、彼女も見失っていた自分を発見することが出来たのでしょう。

ちなみにこの表紙の絵を見て頂ければわかりますが、この万里亜の黒装束、どこかで見たような?そう、どうやらこの作品は「スケバン刑事」の原型といえる作品のようです。沼保護士も出てきますしね。

財産を狙う叔母一族はあまりステレオタイプな悪人で、わかりやすくて良いです(笑)。昔恋人=今裏切り者のパターンも。

信仰は持っていなかったかもしれないけれど、明らかに神父たちに影響を受けた万里亜が最後に取った道は泣かせます。
とても懐かしい作品です。


☆いくら財産を奪うためとはいえ、息子に命がけの芝居をさせる母親って・・・。



大都社より刊行
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