村のクリスマス物語

Village Christmas&The Christmas Mouse

ミス・リード
Miss Read

日向房
おすすめ本
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2003/12/7

フェアウェーカー村にクリスマスがやってくる・・・。マーガレットとメアリの姉妹が慎ましく暮らすコテージの向かいに引っ越してきた若い夫婦と子供たち。村の基準からは相当外れた妻の様子に引っかき回される姉妹の様子を温かく綴る「村のクリスマス」。村はずれに住むミセス・ベリーの家にイブの夜突然現れた一匹のネズミと一人の少年。ねずみ嫌いのミセス・ベリーが取った行動とは・・・。短編二本が収録されるほんわり温かいクリスマス物語。


おなじみフェアウェーカー村に住む普段はお馴染みではない人々の一年で特別な日であるクリスマスをめぐる短編集です。長い年月を二人でひっそりと暮らしてきたマーガレットとメアリー姉妹が、突然越してきたお向かいさんにキリキリ舞させられる様を面白おかしく温かく描く「村のクリスマス」。姉妹の献身に幸あれ、と祈りたくなります。

夫を亡くし、やはり夫を亡くした娘と孫娘たちと暮らすミセス・ベリーのクリスマスをめぐる騒動を描く「クリスマス・マウス」。一年でたった一日のクリスマスに費やすカードやプレゼントや料理やケーキ作りへの労力が痛いほどわかる話でもあります。必死に節約して一年を過ごし、この一日のためにちょっと散財する楽しみ。古くなった家のあちらこちらに傷みを発見するたびに男手があったら・・・とため息をつく女所帯の淋しさ。夫と過ごした幸せな日々への愛おしみなど、胸の奥にしみ通るような人生の甘さと悲しさが散りばめられた話でもあります。ミセス・ベリーはたくましく勇気ある女性なのに、ネズミが大嫌いでネズミを見ると凍り付くという弱点が逆にとても微笑ましく思えてくるのです。そしてクリスマスに侵入してきたのはネズミだけではなく、どこかのみすぼらしい一人の少年。ミセス・ベリーお手製のケーキを盗み食いしようとしていた現場を見つけたミセス・ベリーの取った行動とは?

クリスマスがささやかな生活を営む村の人々にとっていかに特別なものなのか、をしみじみ感じさせてくれます。クリスマスのために出かけるカクスリーへのショッピングの楽しさと義務感の重さ。カード書きの大変さ。一つ一つプレゼントを包む大変さとそれを開けたときの顔を想像する喜び。それだけの労力を費やしているだけに、いざ迎えたクリスマスの日の相当の疲労など決して笑い事ではありません。それでも、彼女たちは物質的にだけでなく心の方もクリスマスモードにしようとして四苦八苦するのです。

夢というよりはどちらかと言うと、現実的な家事を背負う女性の迎えるクリスマス物語。大人の女性に共感出来る部分が多い話だと思います。それでいて、やっぱりただ一日が与える奇跡の大きさよ。


☆ネズミがいるから自分の寝室には戻らずに下で眠るというミセス・ベリーの気持ちがよーくわかる。


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