テリーの恋

Julie and Me... and Michael Owen Makes Three

アラン・ギボンズ
Alan Gibbons

主婦と生活社
おすすめ本
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2004/11/16

時は2000年、リバプールに住む15歳のサッカー少年テリーはプレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッドの熱狂的なサポーター。同じくマンUのサポーターである父親と共に勝った、負けた、と一喜一憂する日々。そんなテリーが転校生の美少女ジュリーに一目惚れした。ところが、彼女ジュリーはマンUの宿敵であるリバプール、特にマイケル・オーウェンのサポーターだった。おまけにサッカーチームのキャプテンで学校一の人気者フィッツがジュリーに近づく・・・。彼女はリバプールのサポーター・・・それでも彼女は僕が待ち望んだ夢の女の子なんだ。恋に悩み、サッカーに怒り、おまけに平穏無事だと思っていた父親と母親の間に何と亀裂が!悩み多きテリーの青春を楽しく甘酸っぱく描く青春&サッカー小説。


時は2000年の6月。ユーロ2000の真っ最中に話が幕を開けます。サッカー少年テリーは勿論ユーロのイングランド戦を見るのに必死。そんな時にやってきた美少女転校生ジュリー。一目惚れとはこのことなんでしょう。テリーは彼女のことしか考えられなくなってしまいます(勿論サッカーは別にして)。でも、何と彼女はテリーが大好きなマンチェスター・ユナイテッドのライバル中のライバルであるリバプールのサポーター。おまけに大好きなのがマイケル・オーウェン!最初から、大きな溝を感じながらそれでもジュリーに惹かれずにはいられないテリー。ところが、親友ボビーの忠告にもかかわらずテリーは、ジュリーをデートに誘うことも出来ないまま、気がついたら彼女は学校一の人気者で同じリバプールサポーターのフィッツのガールフレンドになってしまっていたというわけです。テリーとフィッツは何かと犬猿の仲。マンUが勝った、リバプールが勝った、と言っては毎日贔屓のチームを賛美し相手チームをこきおろすことに大忙しの関係であります。おまけに学校のサッカーチームでは、フィッツはキャプテン、テリーは補欠。そしてフィッツはマイケル・オーウェンに似たハンサムというおまけつき。青春の真っ只中で悩みに悩むテリーに追い打ちをかけるように、父親が突然家を出て別居を始めます。母親に対する愛が冷めたと言って。学校生活でも家庭生活でも試練続きのテリーの毎日。おまけに彼の唯一の元気の素である筈のマンチェスター・ユナイテッドの調子の悪いことったら!さあ、テリーとマンUの運命や如何に!?

何とも明るく楽しいサッカー小説です。とにかくテリーのサッカー熱は半端じゃなくて、試合に生活を合わせています。良くわかるなあ、これ。サッカー好きは父親からの遺伝で、試合となると二人で狂喜乱舞。家を出ていった父さんのアパートを訪ねては試合を見る週末も続きます。これが女性には理解出来ないようで、新しく出来たガールフレンドのクロエは試合中に遊びにやってくるし、電話をかけてくるし、「負けた」と言って悔しがるテリーに「たかが試合じゃないの」と言う始末。サッカー好きでかつ女性である身としては、一応どちらの気持ちもわかってしまうのでした。

ユーロ2000に始まって、プレミアリーグやチャンピオンズリーグの試合の様子がこと細かに描写されているところも嬉しいところ。選手の名前もボロボロ出てきます。マンUのファーガソン監督は勿論、ロイ・キーン、ギグス、ベッカム、ネビル兄弟、スコールズに、今期加入したファビアン・バルテズ。テリーがキーパーをしながら、「ファビアン・バルテズだ!」と叫ぶところも嬉しくなってしまいます。勿論、プレミアの他の選手の名前もいっぱい出てきて、ライバルのオーウェン初めシアラーやビエラやシーマンや、果てはカンナバーロやテュラムも出てくる。そして、まだマンU移籍前のローラン・ブランの名前も!この名前を追っていくだけで、サッカーファンとしてはとにかく嬉しいのです。例えマンUファンじゃなくても。どこどこのチームは嫌いだけれど、マンUが上に行くためにここで勝っておいて欲しい、と新聞の星取表に記入しながら計算している様もわかるなあ。

テリーの若い恋と平行して描かれる、テリーの父親と母親の長い間共に過ごした夫婦の危機話もかなり切ないですね。お腹に蝶がいなくなった、とつまり妻にときめきを感じなくなったとする父親と、そんなものはかなり前になくなっているけれど、結婚生活ってそれだけじゃないはずと思う母親。もうこれは母親にどうしても荷担してしまうわけですが。

サッカー小説としても思いっきり楽しめるし、青春小説としても楽しめる。そしてほろ苦い大人の人生についても考えさせられる。一冊でいろいろな味が楽しめるかなりお得な小説であります。でも、やっぱりサッカー好きに一番に読んでもらいたい!

☆最初から始まるユーロ2000のイングランド対ルーマニア戦。見ていただけに、シーンがはっきり脳裏に蘇ってきました。そうそう、あの試合ではああだったのよねえ。



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