点子ちゃんとアントン

PUNKTCHEN UND ANTON

エーリヒ・ケストナー
Erich Kastner

岩波少年文庫他
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2003/8/31

ベルリンに住む点子ちゃんの家はお金持ちでした。お父さんのポッゲ氏は散歩用ステッキ製造所の支配人でお金儲けが良く、点子ちゃんの家は部屋が10もある豪邸でした。お母さんのポッゲ夫人は、毎日のようにお芝居や夜会や映画に出かける忙しい毎日で、あまり家にいることがなく点子にもかまってくれません。家にはお手伝いさんのベルタと家庭教師のアンダハト嬢がいました。そして点子の仲良しの犬のピーフケも。点子は自分でお芝居をしてみたり、想像力に富んだちょっと変わった女の子。そんな点子の仲良しのアントン少年は病気のお母さんの代わりに働いてご飯をつくって毎日忙しい日々を送っているのでした・・・。


点子ちゃんの本当の名前はルイーゼといいます。2、3歳の頃まで大きくなりそうもなかったので点子というあだ名をつけられたのでした。点子ちゃんの家はとても恵まれています。お手伝いさんや家庭教師がいるし、自動車もあって運転手もいるのです。でも、お父さんとお母さんは家にいることが少なく、点子ちゃんは必然的に一人で楽しむ癖がついていました。天性の想像力が点子ちゃんの友達で、自分が双子であることを想像したりするのでした。でも、点子ちゃんはお金持ちのお嬢さんでもとても友達思いの子です。大の親友のアントンが、お母さんの病気で大変なことを知って手を差し伸べようとします。また、アンダハト嬢との奇妙な行動も楽しんでしまう好奇心の強いところがあり、ちょっとした秘密の行動も見逃さない鋭い観察力もあるのです。

アントン少年はとてもとてもお母さん思い。ひたすらお母さんの病気を心配して、家事もお金を稼ぐことも一手に引き受けて頑張り抜く子供の鏡のような少年です。そんなアントンもお母さんを悲しませてしまうようなことをしてしまい、自分を責めます。これは正直言ってアントンが可哀想でした。お母さんも自分たちの状況をもうちょっと理解して、アントンが毎日どんなに大変かをわかった上で譲歩してあげるべきと思ってしまうのですが・・・。

点子ちゃんのお父さんのポッゲ氏はお金を稼ぐのにとても忙しい日々です。点子ちゃんのことをとても可愛がっているのですが、点子ちゃんのために時間を作ってあげることが出来ません。家庭教師やお手伝いさんに全て任せてそれで大丈夫と安心してしまっているのです。ポッゲ夫人の方はほとんど自分のことしか考えていません。しかし、ある事件をきっかけにお父さんは自分たちの生活を正面切って見つめることになるのです。

今の時代から考えるとちょっと引っかかる点もあるのは確かですが、基本を流れるのは親と子の愛。親からの愛だけではなく、アントンが示すように子供からの愛もテーマです。「エミールと探偵たち」でも示されているように、ケストナーの生い立ちの影響を受けた彼にとって普遍のテーマと言えるでしょう。書かれたのは1920年代。表現や道徳的な面は別にして、生活に古さがほとんど見られないのにはびっくりです。それは点子ちゃんの家がお金持ちだから?20年代らしさがもうちょっと見られるとそれなりに楽しかったのに、と思う気持ちもあります。まあそれがないから、時代を超えて読み継がれることが出来るという見方も出来るかもしれませんね。


☆ポッゲ夫人は偏頭痛で寝込むことがたびたびあります。「偏頭痛とは頭痛とも言えない頭痛なのですが」と書かれていますが、この頃はきっとただの贅沢病と思われていたのでしょうね・・・。悲しいことですが。

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