それからのハイジ

HEIDI GROWS UP/A sequel to Heidi

シャルル・トリッテン
Charls Tritten

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2004/2/9

ハイジは14歳。それまで故郷の村ドルフリで、大好きなおじいさんやドクター、ペーターたちに囲まれて幸せな日々を過ごしてきました。ドルフリの学校でハイジは勉強を積み、ドクターにフランス語を習い、バイオリンの練習も始めて音楽の素養があることを見せ始めていました。おじいさんとドクターは、そろそろハイジをしっかりした学校に送るべき時だと決意しました。ハイジがやってきたのは、ローザンヌの外れロージアスにあるホーソン寄宿学校。クララも在籍した学校でしたが、年上のクララはハイジと入れ違いで卒業してしまい、ハイジはとても心細い思いで学校に向かいます。しかし、先生たちは皆優しく、楽しい友人たちも出来て、バイオリンのレッスンも受けられて、ハイジには思いがけない楽しい日々がそこでは待っていたのです。やがて迎えた夏休み。ハイジは一番の仲良しであるジャミーと共にドルフリの村に帰ってきます・・・。


ご存じ「ハイジ」の作者はヨハンナ・スピリです。彼女はハイジの続編を残しませんでしたが、ハイジを訳し、深くハイジの物語を愛したシャルル・トリッテンが書き記したその後のハイジの物語がこれです。時は一気に飛び、ハイジは14歳になっています。今もハイジはアルムの山々が大好きで、おじいさんやドクターやペーターや、愛する人々と山羊たちに囲まれて送る生活が楽しくてたまりません。ドルフリの村の学校ではきちんとした教育も受け、ドクターの提案でフランス語もバイオリンも習うようになったハイジは、以前とは違い教養も深い少女になっています。でも、自然を愛し何より好きなのがアルムの山であることは変わらないのです。そんなハイジに転機が訪れます。もっとしっかりした教養を身につける必要を感じたおじいさんとドクターが相談して、ハイジを寄宿学校にやることに決めたのです。再び山、そしておじいさんから離れなければならなくなったハイジは、哀しい心と、でもちょっとだけ期待を秘めて村を出ます。以前、クララの家に行った頃から比べればハイジは確実に大人になっていました。自分のすべきこと、人生の目標を既にしっかり持って、そのために勉強が必要なことを自分でも納得して学校に行ったのです。その学校はハイジが危惧したほど恐ろしい場所ではなく、規則こそ厳しいものの、ものわかりの良い先生と素敵な友人たちに恵まれた場所でハイジは楽しい日々を過ごすことになるのです。夏休みにハイジは、仲良しのジャミーと一緒にアルムの山に帰ります。ジャミーもまたすっかり山に魅せられ、ハイジは自分がいかにこの山とおじいさんを愛しているかを知るのでした。それがハイジにある決断をさせます。どんどん大人に成長していくハイジが下した自分の人生に関する決断とは・・・?

作者とは全く違う人物が、有名な小説の続編を書くのは良くある話です。それを是と思うか、非と思うかは人それぞれでしょう。続編の出来にもよりますし。ただ、私はそういう作品を発見するとつい読みたくなってしまうのです。幼い頃、自分でも好きな小説の続編を勝手に書いていた名残でしょうか。良いか悪いかわからないけれど、とにかく読んでみたい。少なくともそれを書いた作者が、本編をとても愛していたことだけは確かなのでしょうから。

この作品で、ハイジはアルムを飛び出して寄宿学校に行きます。かつてクララの家に行った時はすぐにホームシックになってしまったハイジですが、時の流れはハイジをも大人にしました。それでも、やはり心にあるのはいつもアルムの山とおじいさん。ハイジが学校で勉強したいと思うにはそれなりの理由があったのです。さすが、故郷を愛するハイジだけあります。ペーターは昔と違って落ち着きが出てきて、正しい行動が何たるかをしっかり自分で考えるようになりました。クララも年頃の娘という年に近づきつつあって、華やかな夢に憧れています。若い人を段々大人にしていくこの年月の流れは、しかしながら年老いた者には加速度を増していきます。しっかり者で温かいちょっと頑固なおじいさんは相変わらずではありますが、ちょっと気が弱くなってしまっているところがとても淋しい思いがしました。ドクターはやっぱりハイジのご意見番。この二人に見守られて育つハイジに悪いことなど起きないだろうという安心感があります。

全編を流れるアルムへの愛。山羊の雪ちゃんも健在で、懐かしさいっぱいの設定に思わず嬉しくなることは請け合いでしょう。好きか嫌いかは別にして、一度目を通してご覧になってはいかがでしょうか。


☆ハイジの学校生活で、勉強シーンがあまりに少なかったり、矢の如く日々が過ぎてしまうのはちょっと淋しかったですね。


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