プリーストリー氏の問題

Mr.Priestley's Problem

A・B・コックス
A.B.Cox

晶文社
おすすめ本
(C)2001〜 2005 Paonyan?.
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2005/5/7

快適な独身男性用フラットに従僕と住む36歳のプリーストリー氏は、お金に恵まれ働く必要のない幸せな日々を過ごしていた・・・はずだった。しかし、婚約した友人のパット・ドイルは、恋の熱情に身をやつし、そんなプリーストリー氏の変わり映えしない生活を揶揄する。「君はキャベツだ!蕪野郎だ!ペポカボチャだ!」穏和な性格のプリーストリー氏もさすがにムッとしたが、心のどこかがうずき、日頃と違う生活をしてみようと食事に出掛ける。帰りがけに、見知らぬ美女と出会い助けを求められて一肌脱ぐうちに、とんでもない大騒動に巻き込まれてしまう・・・。


36歳独身、好人物だけれど見映えはしないプリーストリー氏。お金にも困らず、身の回りの世話をしてくれる使用人もいて、快適な生活を満喫していました。しかし、ある日友人にそんな生活を非難されて、彼の自信は揺らいで行きます。一方、非難した側の新聞記者パット・ドイルは、婚約者のドーラ・ハワードと共に、友人夫妻の家に出掛けます。ドーラの親友のシンシアは、ガイ・ネスビットという青年紳士と結婚し、幸せな日々を送っていました。他に、パーティにやってきたのは、ドーラの兄であり、ガイの後輩でもあるジョージと、ドーラの仲良しの妹ローラ。カクテルが進むうちに、ガイとパットは犯罪心理学の話に没頭してしまい、遂にあることを思いつくのです・・・。

さてさて、パットの言葉に触発されたプリーストリー氏は、ある日夕食を取りにレストランに出掛け、お酒の勢いもあってか、美女に声をかけます。その美女が、また曰くつきで、頼りなげにプリーストリー氏に頼み事をするのでした。窮地に陥った若い女性を助けようという使命感に燃えたプリーストリー氏は、大胆な行動に出ますが、思わぬ波乱が起きて大変なことに・・・。そして、何とプリーストリー氏と美女は、手錠でつながれたまま逃避行を続けることになるのです。

それぞれのいたずら心がちょっとずつずれて、とんでもない面倒を引き起こし始めるスクリューボール・コメディともいえる洒落たサスペンスです。20年代らしい遊び心に満ちた、生活に困らなくて暇を持て余している上流社会の紳士、淑女たちの大騒動。パッと見は冴えないプリーストリー氏が、とっても格好良く見えてくるから不思議です。勿論、ロマンスの香りもあちらこちらで漂い始めます。面白いのが、プリーストリー氏と美女の「手錠のままの逃避行」。その後は突然「或る夜の出来事」状態に突入。後年の名画に、いろんなエッセンスを提供したのかもしれないとさえ思われる作風は、一読の価値ありです。

作者のA・B・コックスは、アントニイ・バークリー名義で数々のミステリを発表しました。さらにフランシス・アイルズ名義でも、様々なミステリを発表。今回またもや名義を変えたのは、他の作品とは一風違った一種のユーモア小説だからでしょうか。

女性たちが活動的でちょっと型破りなのも、遊びがちょっと行きすぎている感もあって刹那的でさえあるのも、みんな20年代独特の風俗でしょうか。それでいて、昔ながらの節度はきちんと守られている、まだまだ良き時代。そんな時代考証も楽しめます。


☆フォスター氏が、何だか一番気の毒な気がする・・・。

も一つ☆30年代ハリウッド映画にありそうなストーリー。勝手に配役してみましょう。舞台はアメリカに置き換えて、年齢ももうちょっと高くして。主人公はハンサムに設定し直して(笑)、やっぱりケーリー・グラント。で、ローラがバーバラ・スタンウィック(単に私の趣味)。姉のドーラが、ちょっとイメージは違うけれど踊りを見せてもらうってことでジンジャー・ロジャース。ガイがちょっと軽妙に化けてもらってロナルド・コールマン。シンシアが品良くアイリーン・ダン。パットがロバート・モンゴメリーで、ジョージがこの頃いつも困らされ役だったラルフ・ベラミーってところでどうでしょうか。




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