メグ・アウル

The Megowl

ギャリー・キルワース、
スーザン・プライス、
ジリアン・クロス他



パロル舎
おすすめ本
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2003/12/14

「クリスマスにゴーストストーリーを語り合う」という慣習に基づいて作られた5人の著者による短編集です。書いているのは、ジリアン・クロス、ギャリー・キルワース、ジル・ベネット、テッサ・クレイリング、スーザン・プライス。4作は、イギリスのごく普通の家庭のクリスマス風景です。そのうち二つは、再婚家庭というところが現在のイギリスを象徴していると言えるでしょうか。実の姉弟に、義理の姉妹、実の親に義理の親、色々入り乱れて悲喜こもごものクリスマス。幸せを装うその中に潜むちょっとした嫉妬やねたみ、意地悪が思わぬ事件を呼ぶ怖さが描かれています。

表題の「メグ・アウル」はその名の通りのフクロウです。中世ではフクロウは「夜の魔女」という異名を取っていたそうで、ふとしたことで拾った卵から孵ったフクロウが少年の心を浸食していくさまを何とも恐ろしく描いています。

ただ一つ、他の作品とは時代背景も設定も違う「荒れ野を越えて」が私には一番面白かったです。他の作品が現代の恐らくは中流に近い家庭を舞台にしているのに比べて、この作品は1900年代前半の炭鉱地帯が舞台です。そこで働く貧しい若い青年とその妹が、もらったお給料でクリスマスのご馳走を買って家路に着く途中で出逢った恐怖。ゾクゾクするような怖さが迫ってきました。立ち向かうのは力か機知か?この作品は、子供の頃に読んだあるマンガを思い起こさせて(マンガと比べてスミマセン、でも想い出の作品なので)、何故かとても懐かしい気持ちになってしまったのでした。

ファーザー・クリスマス、ヤドリギクリスマス・プディングなど、クリスマス特有のあれこれが沢山出てきて別の意味でも楽しめます。クリスマスと言えば心温かくなるお話が普通なのに、敢えてゴーストストーリーという試みが面白いですね。その心を是非知りたいものです。


☆ミンス・パイは一度食べてみたい。美味しいのでしょうか。中に入れるミンスミートの代表的なものは二つだそうです。一つは、干しぶどう、レモンとオレンジの砂糖漬け(オレンジピールのこと?)、クルミを刻んで洋酒につけ込んだもの。もう一つは、刻んだリンゴ、プルーン、干しぶどうなどに香辛料を加えて煮詰めたものだそうです。両方食べたい。

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