村の百年祭
Village Centenary

ミス・リード
Miss Read

日向房
おすすめ本
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2003/7/13

フェアエーカー村の小学校校長を務めるミス・リード。奇しくもその年は村の小学校の創立100年記念に当たる年だった。百年を祝うのにふさわしい行事を行おうとミス・リードは頭を悩ます。そして、学校の百年の歴史を子供達が劇で演じることを思いつく。しかし、いつもの通りフェアエーカーは平和なようで騒がしい。果たして百年祭行事は成功するのか?行事に向かって邁進するミス・リードの一年間を描く。


おなじみフェアエーカーシリーズです。今度は、ミス・リードが校長を務める小学校が創立100年を迎えることになり、その記念行事に頭を悩ますミス・リードの姿を描きます。勿論、村はいつもの通り何だかんだと問題が起きて、ミス・リードの周辺は相変わらず騒がしいのでした。

今回、村の学校が百年を迎えることを指摘するのはミス・クレア。かつてこの学校で教師を務めた村の学校の生き証人のような人です。30年代に行われた50年祭のこともしっかり覚えている人です。その時は子供達を日帰りでロンドンに連れて行ったとか。乗り物は馬車!それが引き金となって、ミス・リードは百年祭に何をするかを延々と考え続けることになります。今は、昔と違って子供達にとっても遠出は日常的になっている。だから、昔のような遠出はなし。コンサートはどうか?ページェントはどうか?悩みに悩んで行き着いた結論は、学校の百年の歴史を子供達が劇で演じるというものでした。それも時代時代に合った衣装を着て、というかなり手の込んだもの。ミス・リードは忙しい日常の他にこの百年祭の準備にも奔走することになります。

今回も様々な登場人物が彩りを添えてくれます。新しくやってきた女教師のミス・ブリッグスは授業が終わった1分後に校門から出ていくという強者。当然ミス・リードとはソリが合わず彼女の存在も悩みの種。学校は雨漏りで大規模修繕が必要になりますが、修理を請け負ったレグ・ソーンののんびりぶりたるや頭が痛くなるほど。村の住人ジョーン・ベンソンが家を売って出ていくことになり、同居していたミリアムの身の振り方に村の住民達は関心を寄せます。ミス・リードの親友エイミーは、相変わらず優雅で詩人を招いての夕食会を催したり、自分の伝記を書くことを思いついたり。そして、やっぱりこの人、ミセス・プリングル!姪のミニーは相変わらずフラフラしていて、とうとう夫ともめて子供達を連れてミセス・プリングルの家に居候を決め込んだから大変!しばらくは我慢したものの、堪忍袋の緒が切れたミセス・プリングルはミニーの夫と暮らす女性の家に単身殴り込みをかけます。

特に大事件が起きるわけではありません。小さな村に住むごく普通の人々の日常を描く小説です。でも、その中にはユーモアがいっぱいで心が温かくなるのです。

圧巻はミス・クレアの語る学校の歴史。第一次大戦で戦死した生徒の名を次々に挙げて、村の年輩の人々の胸をいっぱいにし、豊かでなかった時代の貧しい食事や家の貧困。でもそんな中でごくささやかなものー遠足や収穫時や開花したばかりのサクラソウを見つけた時ーなどに見いだした喜びを語る場面が熱い感動と共に迫ってくるのでした。


☆独身でいる幸せに浸っているミス・リードが、それでも定年後の行く末に思いを馳せるあたりの心境はすごく良く理解出来ます。そんなミス・リードにウルトラCが訪れたのには本当におめでとうと言ってあげたくなってしまう。

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