ジェイン・オースティンの
読書会


The Jane Austen Book Club

カレン・ジョイ・ファウラー
Karen Joy Fowler

白水社
おすすめ本
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2006/7/17

ジェイン・オースティンの小説を読んで感想を話し合おうという目的で立ち上げた「ジェイン・オースティンの読書会」は女性5人に男性1人の小さなグループ。リーダー格のジョスリンは、50を過ぎた独身女性で、学生時代からの親友シルヴィアも会に参加している。毎回の討論を通して浮き上がってくるそれぞれの人生・・・。


「ジェイン・オースティンの小説を読んで感想を話し合いましょう!」。何とも素敵な企画です。『高慢と偏見』『エマ』、オースティンの代表作を中心に、登場人物がああだこうだ、あの人は何故ああしたのか、などなど、皆がそれぞれの立場で意見を述べ、それに反論があり、活気溢れる討論が進みます。何とも素敵な時間です。参加するのは、熟年に足を踏み入れた独身のジョスリン、その長年の親友で夫のダニエルとの離婚問題に心が揺れるシルヴィア、67歳ながら華やかで恋多き人生を送るバーナデット、優しい夫のディーンと暮らす27歳の教師プルーディ、そしてシルヴィアの娘で独身のアレグラ、30歳。さらに、たった一人の男性グリッグもいます。グリッグは30代くらい?

でも作品中、ずっとオースティンの小説の論評をしているわけではなくて、回想形式で彼女たち、彼のそれまでの人生が語られます。特に、親友として長い時を過ごしてきたジョスリンとシルヴィアは交わる点も多くて、シルヴィアの夫ダニエルをも含めた彼女たちの青春時代の話は、ちょっと切なさを感じさせます。バーナデットは、小さい頃からダンスの才能を見いだされてファイブ・リトル・ペッパーズというダンスグループに所属して、ショウビジネスとしてタップダンスを踊っていました。まさしく舞台と共に歩んだ多感な少女時代だったのです。その古き良き昔(良いことばかりではないけれど)を懐かしむ話は、オールド映画ファンなら嬉しくなってしまいます。子どもの頃から華やかさの中で生きてきたバーナデットは、年齢を重ねてもどこか少女の心を残し、恋多き人生を送ってきた人でもあります。若いプルーディとアレグラは、日々のちょっとしたあれこれに傷つき、悩み、若い女性の生き様を等身大で見せてくれます。そして、ただ一人の男性のグリッグ。姉3人に囲まれた家でもただ一人の男の子だったグリッグの、男らしさを求められながら悩み、姉たちの強さの庇護を受ける少年時代の姿は一番リアルでもあります。長じて、SFファンだった彼がジョスリンに出会い、ジェイン・オースティンに挑戦することになるのです。ジョスリンには、ル=グウィンを推薦しながら。

とにかく、ジェイン・オースティンの小説に関する話がディープです。何の説明もなしに、ミスター・ダーシーがどうのこうの、ナイトリーがどうのこうの・・・と、次から次へと登場人物の名前が出てくるので、『高慢と偏見』『エマ』ぐらいは読んでいた方が楽しく読めるでしょう。でも、たとえオースティンを読んだことがなくても大丈夫。読書会の名を借りたそれぞれの人生の過程と、新たな出発を巡る素敵な話なのです。


☆大学生でもなく、研究者でもない、ごく普通の市井の人たちがこんな風に読書会を開いているのって素敵ですね。



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