わが心のクリスマス
Once Upon a Christmas

パール・バック
Pearl S. Buck

女子パウロ会
おすすめ本
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2002/12/15

中国でのクリスマスの思い出を綴った「むかしあるクリスマスに」。夫婦の危機に陥った男女の心の機微を描く「クリスマス物語」など9つの短編を集めたクリスマス物語集。


パール・バックは両親が中国で宣教師をしていたために、中国で育ちました。中国の田舎で、質素な生活を続けたパールの体験が傑作「大地」へとつながったわけです。
この本の中でも、彼女が子供時代、また大人になってからも住んだ中国の地でのクリスマスの話がいくつか含まれています。

「むかしあるクリスマスに」では、クリスマスイブに突然中国人の男の子が現れ、家族として迎えられていく様が綴られています。教育も受け、立派な人格者となった彼は、中国人として祖国に留まる道を選びます。そして・・・。

「宿屋に部屋もなく」では、子供の頃に西欧人の子女のために催されたお金持ちの家でのパーティの話が懐かしく語られます。贅沢には縁のなかった宣教師の娘としての少女時代、れんが造りの立派な建物で開かれるパーティと、その家の夫人の温かいホステスぶりが素敵です。しかし、また同時に食べ物がない悲惨な地元民たちのクリスマスのことも語られるのです。ある日、母が言います。「クリスマスのご馳走はやめて、困っている人たちと食料を分け合って、贈りものをやりとりするお金でもっとお米を買いましょう」と。中国は本来肥沃な大地に恵まれた、豊かな食物を持つ地であるはずでした。しかし、その食料を一方から他方へと動かす政府を持ったことがないのだ、という一説が現代にも通じていて、何とも皮肉でやりきれません。

アメリカ人の父親とベトナム人の母親を持つ混血児の女の子を引き取った夫婦の話「クリスマスの秘密」もまた胸がジーンとなる話です。年の離れた弟の親代わりとして学費を出して、存分の教育を受けさせてやった兄。その愛する弟がベトナム戦争に行って現地の女性との間に作った子供を兄夫婦が引き取る話です。弟の方は子供がいることも知らない。兄は、ひたすら弟のホワイトハウスへさえ通じるかもしれない未来に汚点を残したくない一心で、自分たちだけの秘密にしておくのですが、彼ら夫婦には弟云々を越えた溢れる愛情が湧いてくるのでした・・・。

異国の地で、人生の多くを送った彼女らしく、肌の色も育ちも彼女にとってはものの数には入りません。親のいない子を引き取ることもしばしば。全てこの世に命を受けた者は、生き、それも愛されながら生きる資格があるのだ、という彼女のキリスト教徒らしい思想が充ち満ちている話ばかりです。


☆甘栗を詰めた七面鳥。スイートポテトにサラダ、グリーンピースの付け合わせ。それにスクラップルも付け合わせます。そしてデザートはプラムプディング。質素とは言っても、やはり美味しそうなクリスマスのご馳走の話もありました。

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