世にも不幸なできごと
A Series of Unfortunate Events

レモニー・スニケット
Lemony Snicket

草思社
おすすめ本
(C) 2002 Paonyan?. All rights reserved



2002/9/8

お金持ちのボードレール家で両親の愛に包まれていた14歳のヴァイオレット、12歳のクラウス、赤ちゃんのサニーは海辺で遊んでいるときに、ある不幸な知らせを受ける。家が火事で全焼し、愛する両親が亡くなってしまったのだった。その日から、ボードレール姉弟の苦難は始まる。遺産管理人で両親の遺言執行者のミスター・ポーによって、新しい後見人のところに連れていかれるが、その後見人たちは揃いも揃って変わり者。おまけに遺産を狙うオラフ伯爵が子供たちの行くところすべてに現れて、子供たちを自分の手中に収め遺産を横取りしようと企む・・・。


児童文学の王道としては、不幸な目にあった子供たちは、最後には幸福に包まれてめでたしめでたし、となるものですが、このシリーズには全くそんな部分はありません。著者自らが、毎回「楽しい物語が読みたいならこの本は手に取らないように」と書いているくらいです。でも、そう書かれたら読みたくなるのがまた人情というもの。

何不自由ない生活から、一転して孤児になってしまった3姉弟は親の遺言で親戚の後見人の家を結果としてたらいまわしされることになります。最初に後見人になったのが、オラフ伯爵でこの人がまたとんでもない悪党。ボードレール家の莫大な遺産を横取りしようと、色々策をめぐらすのです。このオラフ伯爵が、このシリーズの姉弟の最大の敵となります。

その後も姉弟は色々な後見人のところを回されます。見事にその後見人たちは変人揃いです。爬虫類学者のモンティおじさんは世間で言う変わり者ですが、優しい人で楽しい時を束の間過ごすことになります。その後のジョゼフィンおばさんもやはり変わった人で、火をつけるのが怖いから冷たい物しか食べない、などの恐怖心に囲まれて生きています。それでいて、文法マニアで子供たちの文法遣いの誤りにうるさい。次なる材木工場のオーナーは言うならばケチの固まり・・・。とまあ、あらゆる奇人変人揃いなのです。

さて、肝心の主人公の子供たち。長女のヴァイオレットは発明好きでいつも何かを発明しようと考えている女の子。長男のクラウスは本が大好きで大変な物知り。赤ん坊のサニーは歯が強くて噛むことなら誰にも負けない子。3者3様の特技を活かして、次から次へと襲い来る苦難に力を合わせて挑むところがこの話の見所です。

絵に描いたような悲劇の連続なのですが、この話に悲壮感は何故かないのです。ここまで運が悪ければ、もう笑うしかない、といった人間の心境をついているとしか言えません。

文が大変面白くて、難しい言葉が出てくると、いちいち作者がその言葉の解説をしてくれます。この解説の仕方がいとおかしいのです。それから、このシリーズの重要な要素は図書館で、行くところには必ず家に図書館がある(但し、普通の本が揃っているわけではない)。子供たちはそこでいつも沢山の知識を得るのです。そして必ずそこで得た知識は彼らを助けるポイントになります。言葉解説といい、図書館の本の重要性といい、作者は本を宝物のように思っている人なんだろうか、と想像してしまいます。

何とも不運な子供たちの話なのですが、やめられません。ボードレール姉弟に幸いあれ!


☆遺言執行人のミスター・ポー、良い人なんだけれど頼りないのね。彼がしっかりしていれば全ての苦難は逃れられたはずなんですが、勿論それでは話が成り立ちません。


第一巻  最悪のはじまり
第二巻  爬虫類の部屋にきた
第三巻  大きな窓に気をつけろ
第四巻  残酷な材木工場

以下続刊


Ads by TOK2