橋の下のこどもたち
The Family Under the Bridge

ナタリー・サベッジ=カールソン
Natalie Savage Carlson

フェリシモ出版
おすすめ本
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2002/8/25

パリの空の下に暮らすアルマンじいさんは、持ち物を全て乳母車に積み込んで好きな場所へ引っ越していく生活を送っていました。現在の住処は橋の下。何物にも束縛されない気ままな暮らしで、アルマンじいさんは自分の生き方に十分に満足していたのでした。しかし、ある日この橋の下にカルセ夫人と3人の子供たちに犬のジョジョまでが勝手にやってきて暮らし始めます。カルセ夫人の夫が亡くなったために家賃が払えなくなり、仕方なしに行くところがない彼らはここにやってきたのでした。平穏な暮らしをかき回されたアルマンじいさんは最初は面白くありませんが、カルセ夫人が昼間働きに行く間に子供たちに接して段々心を通い合わせるようになります。


アルマンじいさんはつまりはホームレス。でも、全く悲壮感がありません。家や家具やその他の物に縛られる生活が嫌いとみえて、今の気ままな暮らしを心の底から楽しんでいます。アルマンじいさん曰く「パリの空が天井で、パリはどこでも家」なのだそうです。
そのアルマンじいさんが家と定めた橋の下に、侵入者がやってきます。アルマンじいさんにしてみれば自分の領分に勝手に入り込まれて、怒りも湧こうというもの。でも、カルセ夫人の一家は大黒柱をなくしたために仕方なく屋根のない暮らしを強いられています。カルセ夫人はそんな境遇に陥ったのがたまらなく辛く、せめてプライドだけは高く保ち続けている人です。こんなカルセ夫人の気持ち、大人だったらわかりますよね。

でも、子供たちは屈託なくて、アルマンじいさんとの橋の下の共同生活をすぐに楽しみに変えてしまいます。そんな子供たちの影響を受けて、アルマンじいさんも少しずつ心を開いてパリの街を彼らを連れて歩き回るようになります。

パリと言えば花の都。華麗で洗練されていて文化的な街のイメージが大変強いのですが、アルマンじいさんの歩き回るパリは、下町の中の下町。人々は概して貧しく、互いに助けあって生きていく風習がまだ残っているところです。例えば、この頃のパリの市場では一日の終わりに鐘を鳴らし、売れ残った物を好きなだけ持っていくことが出来たという話。そんな大きな優しさが残っていた時代なのですね。
それから「奇跡の庭」と言われるところでは、夜になると今まで松葉杖をついていたり、包帯を巻いていた人々がそれらを放り投げて元気になるそうです(笑)。

アルマンと子供たちは、ロマ(ジプシー)たちの家にも行き、またひと味違った生活を体験します。それがカルセ夫人の怒りをかうのですが、やがて夫人も色々な人がいて色々な生活の仕方があるのだということを受け入れていくようになります。

貧しい人々を描いているのに、そこには全く悲壮感がなくとても爽やかで心優しい話です。挿絵はおなじみガース・ウィリアムズ。読後に優しさが残る素敵な物語です。


☆焼き栗、クレープ、パリの美味しいものは忘れずにでてくるのも楽しみです。

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