ペギー・スー 
     魔法の瞳をもつ少女
Peggy Sue et les Fantomes-Le Jour du Chien Bleu

セルジュ・ブリュソロ
Serge Brussolo

角川書店
おすすめ本
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2002/9/15

14歳のペギー・スーは、<見えざる者>であるお化けたちを見ることの出来る地球上のただ1人の人間でした。だから、ペギー・スーの日常生活はトラブルばかり。変人扱いされて友達も出来ない生活に、普通の女の子になりたい、とペギー・スーは考える毎日でした。一家で移り住んだ田舎町ポイント・ブラフで、ペギー・スーに初めて友人が出来ます。それは彼女がずっと憧れてきた夢のような毎日でした。しかし、その幸せも長くは続きませんでした。ある日、村の空に青い太陽が輝いてそれを浴びると一時的な天才になることが解り、村の人々は競って太陽を浴びようとするようになります。それがきっかけで村はとんでもない大事件に巻き込まれていくのです・・・。


これは面白かったです!著者はフランスのスティーブン・キングと呼ばれているらしいですが、それもなるほど。確かにストーリーテリングの面白さは群を抜いています。

心の中は普通の少女なのに、特殊な能力を持っているがためにいつもトラブルに巻き込まれ孤独をかこつペギー・スーでしたが、ポイントブラフに来て初めて友人たちが出来ます。ペギー・スーにとってみれば夢に見た幸せ。でも、<見えざる者>たちは放っておいてはくれませんでした。
ある日ぽっかり浮かんだ青い太陽を浴びると、人々は急激に天才になってしまいます。村の図書館に押し寄せ、専門書などの難しい書物を取り合う始末。とにかく、どんどん知識を吸収しないではいられないのです。一時は、それを商売に利用して素晴らしい発明をして一生を安楽に暮らそうと考える人も出始めましたが、日光を浴びすぎた人々の皮膚は青くなり、やがて全ての記憶を失い廃人同様になっていくことがわかりました。一転して、太陽を浴びることが禁止され、村全体が昼夜逆転の生活が始まるのですが、昼間でも野放しにされている者たちがいました。ペットや家畜たちです。青い太陽を浴び続けた動物たちは、どんどん知恵をつけ、やがて人間に途方もない要求を突きつけるようになるのです。

これはファンタジーでもありますが、むしろSF色が濃いと言った方がいいかも。何ともスパイスが利いた上質なブラックユーモアでもあります。何と言っても、天才になりたいがために右往左往する人間の浅はかさが笑えるし、やがて知恵をつけた動物たちの取る行動に於いては、思わず唸るブラックさです。動物の言い分は確かに通ってはいるのですがね。このあたりに、拒否感を抱いてしまうとこの話は楽しめないかもしれません。動物たちの叛乱をどこまでブラックユーモアとして楽しめるかが鍵でしょう。ユーモアだけではない、現代社会に通じる警告が含まれていることも確かなのですが。

一見ごく普通の少女なのだけれど、小さい頃から自分の特殊能力と義務を知っていたペギー・スーの孤独な闘いが感動を誘います。それだけに、ラストは切ない・・・。

このフィーリングをつかめる人には絶対面白い一編です。是非、ご一読を!


☆どんどんエスカレートしていく動物たちの要求を見ていると、これからはベジタリアンになろうかな、と悩むこと請け合いです。


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