モリー・ムーンの世界でいちばん不思議な物語
Molly Moon's Incredible Book of Hypnotism

ジョージア・ビング
Georgia Byng

早川書房
おすすめ本
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2003/1/5

田舎町ブラアーズビルにあるおんぼろの孤児院ハードウィックハウスで暮らす女の子モリー・ムーンはいつもへまをして、ハードウィックハウスを牛耳るミス・アダーストーンに怒られ罰を与えられ、孤児院の他の子たちにもいじめられる毎日だった。しかし、一緒に育った男の子ロッキーだけはモリーの親友で、2人はいつも一緒だった。ある日、図書館でドクター・ローガンが書いた催眠術の本を手に入れたモリーは、早速その効果を試してみる。するとたちまちみんなモリーの言うとおりに。モリーには催眠術をかける天賦の才があったのだった。アメリカ人の夫婦に養子にもらわれていったロッキーに逢いたい思いの募るモリーは、催眠術の本を片手に大冒険に出発することになる・・・。


孤児院でいつもみんなにいじめられ、大人には目の敵にされる冴えない女の子モリー・ムーン。しかし彼女はある日催眠術の本に出会ったことで、その隠れた才能を開花させることになります。催眠術を使えば人はモリーの好きな様に動いてくれて、何でも手に入り何でも出来る。まさに天下を手に入れたようなものです。かくなる上は望みは一つ。アメリカに養子に行った仲良しのロッキーに再び逢うことでした。そこで、モリーははるばるニューヨークにまで向かいます。そこでも、モリーは催眠術の効果を思う存分発揮して、豪華なホテル生活を始めます。しかし、モリーの秘蔵の催眠術の本を狙っている自称教授のノックマンがモリーの素性を突きとめたからさあ大変!

分厚い本ですが、ジェットコースターのようなスピーディな展開にあれよあれよという間に読めてしまいます。孤児でルックスも冴えない女の子が、催眠術という手段を駆使してお金持ちになりスターになるいわばシンデレラストーリー。しかし、彼女の催眠術の才能を使って大もうけをしようとする詐欺師に捕まってしまい、思わぬ展開になっていくのです。

モリー・ムーンは虐げられてきた女の子。だから、自分が新しい能力を手に入れた時当然有頂天になります。自分を今までいじめてきた人たちに仕返しをし、お金を手に入れ、自分を素敵と思わせる。そうして過ごしていくうちに、いつの間にか外見は磨かれ本当に段々素敵になっていくところが女の子ですね。でも、やがて気づくのです。自分を好きな人たちは、自分が催眠術で好きになるようにし向けたからではないか?と・・・。

催眠術といえば目の前に揺れるものをぶら下げて「段々眠くなる〜」というあの古風な方式を思い浮かべますが、モリーは典型的な現代っ子。また天賦の才のおかげで、鋭い眼光一にらみで相手を意のままに操ることが出来るようになります。離れた相手でも平気。電話に、テレビ、マスメディアの威力を使って人々の心を捕らえる方法はまさしく現代の申し子と言えるでしょう。途中、モリーがいつもロッキーと孤児院で歌っていたコマーシャルソングの威力に気づく場面がありますが、ここなど実に現代の情報コントロールへの皮肉が効いていて面白いです。

女の子版ハリー・ポッターとのふれこみですが、こちらは悪との闘いではなく、自分自身の心に潜む闇の部分との闘い。それだけに主人公たちの成長ぶりが微笑ましく感じられます。


☆ケチャップサンドイッチって一体中に何が入っているんでしょう。ホテルのルームサービスでまで出てくるんだから、ポピュラーな食べ物?


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