サークル・オブ・マジック
Circle of Magic

デブラ・ドイル&ジェイムズ・D・
マクドナドルド
Debra Doyle&James D. Macdonald

小学館
今週のおすすめ本
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2003/3/16

時は中世。伯父の統治するドーン城で騎士としての見習いをする少年ランドルは、ある日城に現れた魔法使いマードックに魅せられる。心の命ずるままにマードックを追いかけたランドルは、魔法使いになるためにスコラ・ソーサリエ(魔法学校)に入学することになる。魔法学校の寄宿舎で新しい生活を始めたランドルは魔法界の大御所のさまざまな先生の教えを受けるが、なかなか上達しない自分の魔術に悩む。しかし、ニックやリースという新たに得た友人に励まされながら精進するランドルにラーグという若いが偉大な魔法使いが個人教授を申し出る・・・。


夫婦作家により1990年に発行された「サークル・オブ・マジック」シリーズです。良くある魔法もの、まして舞台は魔法学校といえば、今や雨後の竹の子のようにある話、と言ってしまえばそれまでですが、この話は舞台が中世というところが良いですね。騎士になるべくお城で修行を積んでいた少年が、自分の中に眠る魔法の才能に目覚め魔法使いになるべく果てしない旅に出る話です。ドーン城で従兄のウォルターと騎士修行を積んでいたランドルは、ある日偉大なる魔法使いのマードックと出逢ったことで人生が変わります。それまで立派な騎士になることだけを夢みて励んできた日々。それが・・・いきなり目標が魔法使いに変わってしまう!ほとんど大した疑問も持たずに。随分、ぶっ飛んだ設定とも言えます。でも、中世の摩訶不思議なムードが何となくそんないい加減さも許してしまうところが不思議です。

魔法学校に入ってからの話は、何となくヨーロッパの寄宿舎物を彷彿とさせます。学校にいたいばかりに何度も自ら留年を重ねているニックなど、まるでどこかの少女マンガの世界にいるような(失礼!)キャラクターです。でも、とても気の良い愛すべき人。
ジャン・バルジャンの如く空腹のあまり一片のパンを盗んで逃げているところをランドルにかくまわれ、親しくなるリース。過酷な運命を乗り越え、リュートを奏でながら美しい声で歌う歌姫です。まだ少女ながら、世間がわかっていてランドルには頼もしい友人となります。

従兄の騎士ウォルターも、第2部とも言うべき後半から再登場して大活躍を見せます。たくましき騎士に成長したウォルター。剣の腕が滅法強いだけではなく、正義感や優しさをも備えた根っからの騎士です。あちらこちらで開かれる騎士のトーナメントに参加するために、旅をしているという設定が大変面白いです。

魔法使いは嘘をついてはいけない、例え自分の身を守るためであっても武器を用いてはならない、などの制約があるところがミソ。この規則を守るためにランドルは四苦八苦するのです。例え規則を破ることになったとしても、自分や仲間の命を守る方が大事だろうに、と思う場面も多々あるのですが、ランドルの頑固なまでの正直さが偉大なる魔法使いになる才能の一つなのかもしれませんね。

中世ものが好きな私には、楽しく読めました。時代ものがお好きな方は是非チャレンジしてみて下さい。一風変わった魅力が楽しめると思います。


☆ウォルターの出るトーナメント。馬上槍試合もあるのかしら。

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