アンの青春
Anne of Avonlea

ルーシー・モード・モンゴメリ
Lucy Maud Montgomery

新潮社、講談社、集英社他
おすすめ本
(C) 2002 Paonyan?. All rights reserved



2002/10/21

アンはアボンリーに残り自分がかつて通った学校で教鞭を取ることになった。生徒たちの中にはかつての自分の後輩もいるし、新しい生徒たちもいる。その中でアメリカ人のポール・アーヴィングは利発で夢みることを知っている少年で、アンは自分の同類であることを見抜きお気に入りになる。一方、グリーンゲイブルズではマシュウ亡き後とりあえず平和な日々が流れていたのに、にわかにそれが変わろうとしていた。まずは、隣に引っ越してきたハリソン氏。牛のいざこざを通して嫌な人と最初アンは思うが、付き合っていくうちに意気投合するようになる。そして、マリラは親を亡くした親戚の双子の男女デイビーとドラを引き取ることになる。大人しいドラに比べて、腕白なデイビーは大変なトラブルメーカー。アンとマリラはすっかりデイビーに翻弄されることになる。またアンはダイアナやギルバートたちとアボンリー改善会を結成し、アボンリーの景観などを美しくすべく活動を始めるが、綺麗にしようと思った公会堂がとんでもないことになり・・・。アボンリーに根ざしたアンが、教職という新しい仕事を始めながら過ごす楽しさもいっぱい波乱もいっぱいの2年間。


「アンシリーズ」の第2巻です。グリーンゲイブルズもマシュウが亡くなり淋しくなりました。マリラは目を悪くし、失明の危機も迎えました。そんな中でアンはアボンリーの学校で教鞭を取り始めるようになり、大人としての第一歩を踏み出します。

グリーンゲイブルズの平和な生活もこの巻では随分変わってきます。まずは隣に越してきた変わり者のハリソン氏。男所帯で、アン曰くぞっとするような台所と、船乗りの弟の形見である口の悪いオウムのジンジャーを持ちながら、気は悪くない人です。誰とでも友達になる才のあるアンは、最初こそハリソン氏ともめるもののすっかり仲良くなります。この口の悪いジンジャーと、ハリソン氏には最後にオチ(ジンジャーには可哀想なんだけれど)が用意されていて、今回注目の人物の1人です。

そして、マリラに引き取られるデイビーとドラの双子。アンはあくまでも双子と縁が切れなくて、またまたアンの生活に双子の登場であります。しかし、アンのおかげで少しは頭が柔らかくなったマリラが翻弄されながらも双子の世話に一生懸命になる姿に、リンド夫人でないけれど「マリラも変わったなあ」という思いを抱かずにはいられませなん。もっとも、マリラ曰く「アン、あんたは悪い子でなんかなかったよ。確かにあんたは困ったことばかりしでかしたに相違ないけれどその動機はきまっていいことばかりなんだもの」ということで、アンのしでかしたあれこれを思い出して思わず肯いてしまうのでした。でも、ドラを閉じこめたことだけは、嘘をついたことだけでなく、閉じこめるという行為の善悪、もし長い時間見つけてもらえなかったらドラはどうなる?ということを、デイビーにお説教した方が良かったのではないかと思うのですが。

今回の話にはもう1人素敵なアンの同類が登場します。その名はミス・ラベンダー。「山彦荘」という名の素敵な家にこもり、シャーロッタ4世という名のメイドさんと持ち前の想像力を友にして世間から離れた生活を送っている女性です。40代半ばを過ぎ、世間でいうオールドミスという年の女性なのですが、髪の毛こそ白い物が混じっているものの、アンに負けないくらい少女らしい思いを抱いている素敵な人です。いつもお茶の用意をして空想しているところも、可愛くもあり、切なさも感じます。ミス・ラベンダーは若い頃の悲しいロマンスを抱えた人だというところも興味を惹くのですね。この種の話は、モンゴメリーの大のお得意なのです。年の差こそあれ(年の差はアンには全く重要性がないことですが)、アンとミス・ラベンダーは互いに通じるものを感じすっかり仲良しになります。メイドのシャーロッタ4世も可愛いですね。アンを崇拝して、鏡の前でアンの真似をしてみたり・・・。この楽しい名前の由来は読んでのお楽しみです。

アンとダイアナとジェーンとプリシラがある晴れ渡った日に、ピクニックに出かける場面はとても好きです。「今日を本当に楽しい一日にしましょうね。いつ思い出してもうれしいような日にね」というアンの言葉が素敵。若い娘4人が笑いさざめいてご馳走と共に過ごす一日はまさしくそのような日でした。一行はこのピクニックの途上で、ヘスター・グレイの庭を見つけます。体が弱いけれど、花を愛したヘスターが丹精した庭。夫との愛の日々を過ごし、若き命を病のために散らしたヘスターの魂が宿っている庭です。この庭を見たあとの彼女たちの会話がまた秀逸なのです。

「あたし、いつだったか、魂は花のようなものだと書いてあるのを読んだわ」とプリシラが言った。
アンは「それならあんたの魂は金色の水仙よ。それからダイアナは赤い赤いバラだし、ジェーンのはりんごの花。ピンクで健全で優しいのよ」
「それでは、あんたのは、芯に紫の縞が入っている白すみれよ」とプリシラが結んだ。

ここを読んだ時はとても感動して、私の魂は何の花かしら?と考えたものです(笑)。でも、素敵な花を思い浮かべてもどうしても私には似合わず・・・出てくるのはペンペン草とかそんなのばかり・・・。

それから、プリシラの伯母である人気作家のモーガン夫人がグリーンゲイブルズを訪問する騒動も見所ですね。モーガン夫人のヒロインは白モスリンのドレスを着ているから、とアンもダイアナも白モスリンの服に身を包んで、客間は花で飾り、ご馳走は山ほどテーブルを埋めての大ハッスル。ロマンティストで本を愛するアンにとって憧れの作家に会うというのが、どれほどの憧れと喜びを伴うものなのか、しみじみとわかります。

アボンリーは本当に美しい地です。しみじみこの本を読んでいるとそれを感じます。アンはすっかり(かどうかはわかりませんが・・・)大人になって、膨らんだ袖のドレスのことで悩むよりもうちょっとやっかいなもめ事にも巻き込まれていくようになります。しかし、成長してもいつも想像力はアンの最良の友達です。このシリーズを読んでいると、失われた自分の想像力を少しだけ取り戻せたような気になるのです。


☆モーガン夫人歓迎メニューのダイアナのお得意のレタスサラダって、何を入れるのでしょう?ドレッシングは?これならもしかして作れるかも・・・って思うのですが。

Ads by TOK2