800番への旅
Journey to an 800 Number

E.L.カニグズバーグ
E.L.Konigsburg

岩波少年文庫、岩波カニグスバーグ作品集
おすすめ本
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2002/9/29

母親が再婚して新婚旅行に出かけたために、夏休みを別れた父親の元で過ごすことになった少年マックス。父親はラクダのアーメッドをあちらこちらの展示会に出すためにトレーラーで移動する生活を送っていた。マックスも一緒に旅生活をしながら、あちらこちらの展示会に顔を出す。そこで出会った少女サブリナは、母親と一緒に旅行業者の大会に出席していた。次の展示会に向かったマックスたち。そこでもまた彼はサブリナと顔を合わせることになる・・・。


母親が再婚する相手はお金持ちで、彼のおかげで新学期から名門校に通うことになったマックスは、誇らしげにその学校のブレザーを着て、実の父の元を訪れます。しかし、ラクダと一緒に旅から旅への生活を続ける父や彼の知り合いの世界の中でマックスは浮いてしまいます。そんな生活の中で知り合った少女サブリナは母親と、業者の大会に出席することが趣味(?)のような少女。なぜなら大会では高級ホテルに泊まって、パーティに次ぐパーティでゴージャスな生活を満喫出来るからです。しかし、彼女は「規格外」のものを集めるのが好き、という変わった一面を持っています。「自分ではないもの」を容易に受け入れるサブリナと、学校のブレザーに執着することによって自分にしがみつこうとしているマックスの対比が大変面白いです。

元々、マックスの父親と母親はヒッピー生活を送っていて、母親はお金持ちとの再婚によって安定した生活を手に入れようとしますが、父のウッディーはラクダのアーメッドと別れられないままに放浪生活を続けています。今や、ハイソの仲間入りをしようとしているマックスは、そんな父の姿に落胆と恥ずかしさを感じて、旅の途中で出会う父の友人たちとも摩擦を起こしてしまいます。今までの生活から脱却して安定志向を目指すマックスの子供ながらも切実な気持ちと、自由に暮らす人々の解放感のどちらも身の丈で感じられるだけに何とも複雑な気持ちになってしまう物語です。

表題の800番とは、通信販売のカタログなどに表示されている受注センターの電話番号の最初につく番号のことです。つまり800番がつけば通話料金無料で電話がかけられるのですが、どこの誰につながるのかはわからない。このシステムはなかなか意表をついていますし、比喩として実に面白いです。この意味するところは読んでのお楽しみというところでしょうか。

アメリカの町中や道路を悠々とラクダが闊歩するのを想像するだけで笑えてしまいます。まして、展示会にゲストとして招かれたり、ラクダに乗っていくらという商売をしたり・・・。アメリカとラクダ・・・これぐらい異質の組み合わせもそうありますまい。


☆初めて読んだ時はサブリナ親子のバカンスに本当に驚いたものでした・・・。

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