やかまし村の春・夏・秋・冬
MERA OM OSS BARN I BULLERBYN

アストリッド・リンドグレーン
Astrid Lindgren


岩波書店
おすすめ本
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2001/12/23

これは「やかまし村の子どもたち」の続編です。最初はクリスマスシーンから始まるので、珍しいスウェーデンのクリスマスということで、敢えて続編をご紹介します。

やかまし村は北屋敷、中屋敷、南屋敷の3軒の家が建っているだけの小さな村です。それぞれの屋敷には、ラッセとボッセとリーサの兄妹、ブリッタとアンナの姉妹、オッレと生まれたばかりの妹のケルスティンが住んでいます。ケルスティン以外は年が近い子どもたちは、時々男の子たちと女の子たちに別れて、色々やりあいますが本当はとても仲良し。大抵一緒に遊び、一緒に時を過ごしています。そんな子どもたちが小さな村で過ごす春夏秋冬の小さな冒険やちょっとした出来事を綴ったお話です。


まずはクリスマスで幕が開きます。やかまし村のクリスマスはショウガ入りクッキーを焼く日に幕を開けます。子どもたちはそれぞれに粉をこね、型で抜き、クッキーを沢山焼き上げます。その後はお父さんたちと子どもたちが揃って、クリスマス・ツリーを切りに出かけます。お母さんたちは料理づくりで大忙し。そうして迎えたクリスマス・イブはじゅうたんまで新しくなっていて、素敵なのです。ツリーの飾り付けをした後は、子どもたちがクリスマスの小人に化けてプレゼントを配るのです。そう、サンタクロースは万国共通かと思っていたのですがそうではないのですね。北欧ではトムテという小人が家に住み着いて人々の幸せを見守ってくれているという言い伝えがあり、このトムテがクリスマスには赤い帽子と白い髭のいでたちでプレゼントを持ってやってくるということになっているそうです。サンタクロースの小人版ですね。北欧はよりサンタクロースのイメージが強いだけに、このトムテのプレゼント配りのエピソードはちょっと意外で大変興味深いものでした。

それからクリスマスにはショウガ入りクッキーというのも大変に面白いですね。クリスマスはケーキという思いこみが激しい日本人としては、クッキーではあまりにささやかに過ぎるとも思いますが、子どもたちが自分で思い思いに焼くクッキーはそれはそれで特別なんでしょう。おまけにディナーにおかゆっていうのも・・・。ケーキやパイを食べたがるのは、やっぱりアメリカなんでしょうか。フランスもブッシュ・ド・ノエルというケーキですよね。イギリスは何と言ってもクリスマス・プディング。色々な国のクリスマス・ストーリーを読むと、所変わればクリスマスの食べ物もずいぶん違うものだということがわかってとても面白いです。

さてさて、クリスマスを過ぎても彼らには楽しみが満載です。日付が変わるまで起きていたいおおみそかや、先生までだましてしまうことが許されるエイプリルフール。そっと人の背中にはり札をつけて喜ぶ復活祭など、楽しみは尽きません。でも、こういった季節季節の行事も楽しいけれど、彼らの普段の生活そのものが楽しみの連続ですね。

笑ってしまったのはリーサとアンナの買い物のエピソード。3軒全部のお母さんから買い物を頼まれて、忘れないように特に全員に頼まれたあぶりソーセージの歌まで特別に作って歌いながら行ったのに、次から次へと買い忘れをして、挙げ句今度こそと帰路に着く途中肝心のあぶりソーセージを忘れてしまった話です。最初からメモを持っていけば良かったのにね。

それから、人に親切をしようと躍起になる話。北屋敷の目の見えない老いたおじいさんを「親切に」散歩に連れ出して疲れされてしまったり、病気の人の元に行って散々「親切に」歌を歌ってあげたり・・・。もう爆笑です。「親切」もほどほどに(笑)。

北屋敷に住むおじいさんは、目が悪くて高齢なこともあってひっそりと暮らして時折子どもたちが訪れてくれるのを楽しみにしている人です。彼はブリッタとアンナのおじいさんなんだけれど、やかまし村の子どもたちみんなのおじいさんなんですよね。犬や猫がいるのも素敵。でも、一番良いのはおじいさんがいること・・・って前作でリーサが言ってましたっけ。

男の子たちは腕白そのもので、よく飽きないなと思うくらい冒険や遊びを考え出します。彼らもまた一種の自然児ですね。女の子たちはそれにつき合いつつも、将来はブリッタとラッセが結婚して中屋敷に住み、ボッセとアンナが結婚して北屋敷に住み、オッレとリーサが結婚して南屋敷に住んで、誰もやかまし村を出ることなく一緒に暮らすんだっていう計画をしっかり立てているあたり、やっぱりませていますね。微笑ましいです。そうなると良いですよね。

ハリウッドですっかり有名になったラッセ・ハルストレム監督が前作とこの続編を映画化しています。これにはリンドグレーン自身が脚本で参加していて、なかなかの傑作に仕上がっています。子どもたちも生き生きしているし、自然が綺麗。合わせて鑑賞されることをお勧めします。


☆新しいぼろ織りの絨毯というのが時々出てくるんですが、どういう風に織ってあるんでしょうね。織りっていうくらいだから、パッチワークではなくて、ぼろ布を細いひもにして織り込んでいくのかな。さぞかし大変な作業でしょう。


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