十二番目の天使

The Twelfth Angel

オグ・マンディーノ
Og Mandino

求龍堂
おすすめ本
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2001/6/24

 若くして大企業の社長に抜擢されたジム・ハーディングは、それを機に故郷の街に戻り熱烈な歓迎を受ける。順調な仕事と地位、愛する家族、そして再び訪れた故郷の地とすべて揃ってジムは幸せの絶頂にいた。しかし、その幸せは長くは続かなかった。最愛の妻と息子が突然の交通事故死。1人残されたジムは絶望の中、自殺を考える。銃に手を伸ばさんとしたまさにその瞬間、ジムの幼なじみのビル・ウエストが訪れ、街のリトルリーグの監督をしてくれないかと持ちかける。そのチーム、エンジェルズはかつてジムも所属して楽しい少年時代を過ごしたチームだった。不承不承引き受けたジムだが、少年達の一生懸命さにいつしか引き込まれるようになる。エンジェルズにはティモシーという人一倍体が小さく、プレーも下手だが、いつも精一杯練習に励み、チームメイトへの声援を忘れない少年がいた。ジムは彼に亡き息子の面影を見て、個人指導を行い彼の技術を磨こうとする・・・。

現在ベストセラーに入っている本です。人生の絶頂にいた男性が、あっという間に絶望の底に転落。幸せのはかなさを感じる話でもあります。自殺を思い詰めた彼を救ったのは、幼なじみの親友であり、彼を通して知り合ったリトルリーグの少年たち。人は何か打ち込める物が必要なのだというお手本のような話でもあります。

巷の評判では「感動」と「涙」ばかりが評判になっているような気がします。確かに感動します。泣けます。でも多分この話はそれだけではないと思う。

作者は人生哲学者作家で、過去の哲学思想がそこここに散りばめられているのです。例えばティモシーは人一倍野球が下手なのですが、どんな失敗にもめげず努力を重ねる。これは私なんかには真似出来ないこと
です。そのティモシーが座右の銘にしていつも繰り返す言葉が「毎日、毎日、あらゆる面で私はどんどん良くなっている」。それから、「絶対、絶対、絶対、あきらめるな!」。これはティモシーの野球哲学であり、彼の人生哲学にもなっています。

気持ちが大事だとか、その気になれば出来るとか、それらは良く聞く言葉ですが、言うは易し行うは難し。だから日々自分の心に言い聞かせて、悪く言えば洗脳して強くなろうという哲学者達の考えであります。別に珍しい話でもないのですが、この本の中で改めて読んでみるととても納得できて、心が洗われるような気になりました。

それにしてもアメリカ人ってどうしてこんなに野球が好きなのでしょう(笑)。たかだかリトルリーグなのに、街を挙げて応援しているんですよね。ま、高校野球に熱狂する日本列島と同じでしょうか。プレーする選手達も監督、スタッフも真剣で、恐らく監督やスタッフはボランティアで無報酬なのでしょうが、熱の入れようが違う。この野球へのひとかたならぬ愛情だけでも野球好きの人にはたまらないでしょう。

ティモシーが野球が苦手である理由の一つがとても私には面白いんです。彼はヨーロッパで育って、向こうでは子供たちはサッカーに夢中だから野球なんてしたことがなかった(笑)。今は変わってきているとは言っても、根本的にアメリカはサッカー不毛の地であることだけはサッカーファンには淋しいです(苦笑)。

感動と哲学を両方楽しめる本です。旬のうちにどうぞ。


☆表紙裏に書いてある著名人の推薦文で、スポーツキャスターのマーリン・オルセンの文が載っているのですが・・・もしかして・・・「大草原の小さな家」のガーベイさん!?
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