天才アームストロングの
たった一つの嘘
The Truth Machine

ジェイムズ・L・ハルペリン
James L. Halperin

角川文庫
おすすめ本
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2001/2/26

  ランダム・ピーターセン・アームストロングは完全記憶能力を持つ天才少年でした。

 彼が5歳の時、弟のレオナルドが誘拐され殺されるという事件が起きます。心に傷を持ったまま成長したランダムは、12歳でハーヴァードに入学。エリートコースをまっしぐらに歩き始めます。

 ランダムの願いは弟を死に追いやったような犯罪がこの世からなくなることでした。その夢を実現させるために、的中率100%のトゥルースマシン(嘘発見器)の開発レースに参加します。情熱と才能のありったけをマシンの開発に傾け、遂にマシンは完成。しかし、そのマシンにはある秘密が隠されていたのでした。

 これはSFです。時は1991年から2050年の未来社会までを描いていて、その年に起こった出来事も併記してあります。と言ってもそれは勿論空想上のことなのですが、海底都市を造る計画が浮上したりしている反面、相変わらずユーゴやイスラムやバスクやIRAのテロは激しさを増している、また親になるには試験にパスしなければならない、などかなり皮肉性の高い出来事が並んでいます。2000年にはゴア大統領が誕生しているという設定も今となっては笑えますね。

 でもハードでついていけないSFというわけでもなく、マシン開発レースはビジネス小説を読んでいるようです。スピード感も抜群で、天才ならではの駆け引きも楽しいです。

 ランダムというキャラクターもただのエリートとは一線を画していて、大変興味深く描かれています。彼の根本にあるのが弟を失った悲しみだけに、ちょっと切なくて人生の悲哀もたっぷり感じさせてくれます。

 とにかく面白いです。SFはちょっと・・・という向きにもこれは十分に楽しめます。結構分厚いのですがページを繰る手が早くなること請け合いなのでご心配なく。

☆犯罪,刑罰その他について思いっきり考えさせられます。社会的SFとでも言うのでしょうか。
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