明日は明日の風が吹く
Tomorrow is Another day

マーガレット・ミッチェル
Margaret Mitchell

PHP研究所
おすすめ本
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2002/4/28

「風と共に去りぬ」の著者マーガレット・ミッチェルは、1922年から1926年までアトランタ・ジャーナルで記者を務めていました。上流階級の娘であった彼女は、当初大した仕事を期待されていなかったのですが、蓋を開けてみると彼女の筆は冴えていて人気を博したようです。この本は、彼女の書いたその時代の記事をまとめたものです。

1920年代、時代はフラッパーと呼ばれる新しい女性を輩出し始めた時です。スカートは短くなり、髪の毛もボブスタイルになり、女性は活動的になっていった時代です。或る意味では、女性たちが解放され自己主張を始めた時代でもありました。社会進出して働く女性も増えて、価値観も変わっていった時代です。ただ、良いことばかりでもなく、年輩の人々は若者たちのマナーの低下を嘆くようにもなってきました。これはいつの時代にも繰り返されることではありますね。ただ、この変化は大変に急に訪れたようです。ただミッチェル曰くこの5、6年ぐらいであらゆることがひっくり返ったそうです。ちょうど、第一次大戦を挟んでの時期でしょう。戦争が若者の価値観を変えたことは間違いないようなのですが、それについての深い言及がもう少し欲しかったです。とにかく「さらばコルセット」という言葉に代表されるように女性はどんどん変わっていきました。今までは遊び惚けていた上流階級のご令嬢たちでさえ、働くことを志望するようになっていったそうです。一種の社会現象ですね。ただ、「することがなくてつまらないから」というのが働く理由だったりする人も多かったようなので、今のリストラ時代から見るとうらやましいような、ちょっと反感さえ感じてしまうのですが・・・。

選挙権は21歳以上の女性に与えられていました。でも、投票に行く女性はあまり多くなかったようです。政治に興味を持つ女性が少なかったことが多くの要因ですが、「女性が政治に興味を持つ必要はない」という男性側の意向もあったようです。また、21歳以上であることを知られたくない(!)という嘘みたいな本当の理由も立派に横行していたようで、やはりまだまだ女性にとって「若さ」の持つ意味の大きさが今よりずっとずっと大きかった時代なんですね。

ミッチェル女史は最初はファッション関係の記事を任されていて、大事な取材が「次のスカート丈はどのくらい?」というのが笑えます。ただ、たかがファッションと思うなかれ。誰もが流行に流されていった時代で、個性が埋没しかけていたことに対する警告の言葉が胸に響きます。流行が長いスカートでもそれが似合わない人もいる。流行が短いスカートでもそれが似合わない人もいる。それぞれが流行に流されないで、自分に似合ったスタイルを見つけることこそが大事なのだという話は、今の時代にも通じることですね。

この本には「女はすべてスカーレット」という副題がついているのですが、この副題は必要性がないように感じました。ミッチェル女史の記述にはスカーレット的女性を彷彿とさせるところはあまり出てこないし、第一、女性が全てスカーレットみたいだったら、なんて大変な世の中になることでしょう!強いていうなら、女性がスカーレット的な生きる強さを持ち始めたと言えるでしょう。でも、20年代フラッパーよりも、開拓時代の女性の方がずっと強さを持っていたのだろうと実は思います。フラッパーたちは女性に敷かれたレールを一部踏み外す勇気を持っていたのですよね。

この本のタイトル、ファンならご存じでしょうが、「風と共に去りぬ」のスカーレットのラストの名台詞です。とってつけたタイトルと言ってしまえばそれまでなんですが、ミッチェルと言えばやはりこの言葉を浮かべずにはいられないファン心理を見事に突いてますね。


☆マーガレット・ミッチェルって写真で見ると綺麗な人ですよね。でも、小柄で身長は150cmぐらいしかなかったそうです。


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