ツバメ号とアマゾン号

Swallows and Amazons

アーサー・ランサム
Arthur Ransome

岩波書店
おすすめ本
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2001/5/20

 ジョン、スーザン、ティティ、ロジャのウォーカー家の4人兄妹は夏休みに小帆船ツバメ号を駆って、小さな島で子供たちだけのキャンプをすることになります。そこへ現れたのは同じような帆船アマゾン号に乗ったナンシーとペギーのブラケット姉妹。両者は戦争と称して、お互いの船の争奪戦を繰り広げ勝った方がリーダーとなって、ブラケット姉妹の叔父である通称フリント船長へさらに戦いを挑むことになりますが・・・。

一夏の冒険を描いた話は沢山ありますが、これはその中でも一番有名な物の一つと言っても過言ではないでしょう。子供たちだけのキャンプは良くある話なのですが、彼らが思いのままに帆船を操って孤島に上陸し、そこで生活するところが他とは違う斬新さを感じさせます(と言っても実際はここは湖でその中の小さな島です)。兄妹の父親が船乗りで、小さい頃から船の操り方を教えて貰っていたというのが伏線なのですが、一番大きい子でもせいぜい10を数歳まわったところでしょぅから、船出する子供たちも勇気があるけれど、それを見送る大人達も大した勇気です。船の用語が多いので、船に疎い私は最初読んだときは船の絵と用語解説に首っ引きでした。でもすぐ忘れてしまいました(笑)。だから細かいところは気にせずに冒険談を楽しみましょう。一戦交えるシーンなどなかなかの迫力です。

子供たちはみんな良い子です。自分たち以外は皆「土人(今だったら翻訳が変わっているのでは?)」と称して、一線を引いているけれど、基本的には行儀も良くさほど悪いこともしない。でも強烈な仲間意識で結ばれて、仲間内のことは決して他言しないところはさすが。海に生きる者の掟を小さいながらプライドかけて守っています。また、ナンシーだけはちょっと異質で強烈な印象を残しますね。叔父さんの屋形船の天井を花火で吹き飛ばしたりのかなりのお転婆娘。当時の女の子像(1930年に刊行)から考えるとかなりはずれたタイプだったでしょう。勿論そこが良い。

ウォーカー家の4人兄妹は悪く言ってしまうと、こういう冒険談、あるいはファンタジーのステレオタイプ。長男はリーダーで、長女はお母さん役で、妹と弟はかなり自由に飛び回る。どうしても逃れられない炊事を引き受けざるをえない立ち場に立たされる(もっとも本人は好きなようですが)スーザンが気の毒だ!たまにはジョンが炊事したり、ティティとロジャが2人で作ったりという場面があれば、スーザンだってもう少し自由に冒険を楽しめただろうに。弟や妹の世話もあるし、みんなの健康に気をつけなければならない立場だから、時々彼女のことを「土人的」と他の子が見てしまうのは可哀相ですよね。もっと家事分担しなさい!と言いたくなります。ま、こういうこと考えるのも、私が年をとって家事をせねばならない立場に立たされているからなんでしょうね。子供の時はそんなこと考えなかったから。スーザン本人は楽しんでいるのだから良いのでしょう。家に帰ればすべてから解放されるのだから(笑)。

ペミカンという食べ物が頻繁に文中に登場します。これは牛肉を乾かして混ぜ物をして固めた缶詰だそうです。コンビーフのような物なのでしょうか。実体を見ることなく、今に至っています。最初ペミカンは美味しくないというような発言があったのに、何故か何度もその後ペミカンを食べる場面が登場。ポテトをつぶしてペミカンを入れて焼いたペミカンケーキ(でしたっけ?)などというものまで登場。私の頭の中では「ツバメ号とアマゾン号」=ペミカンという図式が出来上がっていました(笑)。

「宝島」に「ロビンソン・クルーソー」ばりの楽しい夏休みも終わり。しかし、彼らの冒険はまだこれからも続くのでした。


☆ウォーカー夫人、「薬は持って行かなくていい。傷病兵はすぐ送り返されます」とおっしゃるが、虫さされや傷口の消毒薬、それに腹痛薬などちょっとした薬は持っていった方が良いのでは?夜や天候の悪いときなど、船が出せないときに病気にならないとも限らないのだから。
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