くまのパディントン
A Bear Called Paddington

マイケル・ボンド
Michael Bond

福音館書店
おすすめ本
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2002/2/17

ある暑い夏の日、パディントン駅に娘を迎えにきたブラウン夫妻は一匹のくまと出逢います。「航海中入用手荷物」と書いたスーツケースの上に腰掛けた茶色の小さなクマで、つばの広い奇妙な帽子をかぶっていました。彼はペルーでルーシーおばさんと一緒に暮らしていたのですが、おばさんが年を取って老グマホームに入ることになったので、一人で密航してきたのでした。おまけに首には「どうぞこのクマのめんどうをみてやってください。おたのみします」と書いた札を下げていたのです。すっかり同情したブラウン夫妻は、彼を家に連れ帰って面倒を見ることにします。出逢った地にちなんで彼の名はパディントンとつけられます。マーマレードが大好きで、正義感が強くて、出かけると必ず何か騒ぎを起こすパディントンでしたが、彼はブラウン家になくてはならないクマとなっていくのです。


キャラクターの絵が有名な「くまのパディントン」です。名前の由来はブラウン夫妻と出会ったパディントン駅。しゃれてますね。ウォータールーで出逢ったら、「くまのウォータールー」、リバプールで出逢ったら「くまのリバプール」になっていたのかな?

この話の面白いところは、クマであるパディントンがペットとしてではなく、完全に家族の一員としてブラウン家で暮らしているところです。ブラウン夫妻にとっては、ジョナサンとジュディに続く3人目の子どもと言える存在です。早速衣類を整えにデパートに行ったり、一緒に劇場に出かけたり、海に出かけたり。お小遣いももらって、好きな物を買えますし、お手伝いに買い物にも出かけます。読んでいるうちにパディントンがクマだってことを忘れそうです。

でも、彼はれっきとしたクマなのです。マーマレードが大好きで、お風呂が苦手。ところが不思議な絵の才能があるらしくて、ひょんなことから描いた絵が入選したり、有名な俳優とお近づきになったり。でも、劇場ではパンフレットがいくら、コーヒーがいくら、オペラグラスがいくら、といちいちお金を取られることに憤慨する大変経済観念の発達したクマです。

クマというとグリズリーやヒグマなど怖いものというイメージもありますが、またテディベアに代表されるようにフカフカの毛並みが心地よい癒し系のイメージもありますよね。パディントンはまさにこの癒し系。おまけに頭も良いし、礼儀正しいし、手品までしてくれる楽しいクマとなったら、誰でも好きになりますよね。でも、やっぱりどこかずれていて、必ず何かしら騒ぎを起こすところがまた楽し。デパートのショーウィンドーで缶詰積みをして、お客さんの拍手喝采を浴びたり、突然舞台でスクリプトボーイを務めてしまったり、パディントンは人を惹き付けてやまないところがあるようです。

パディントンの出身地はペルーなんですが、それを「暗黒のペルー」なんて言って良いのかな?これだけはかなり気になりました。アンデスから来たとか言ったほうがずっと好感が持てるのに。思わずバックに「コンドルは飛んでいく」を流したくなりますが。

とてもほのぼのとした心がほんわか温かくなるストーリーです。とっても良い人たちなんだけれど、ほのぼのしすぎていてこれで実社会を渡っていけるんだろうか?と心配してあげたくなるようなブラウン夫妻のキャラクターも良いし、しっかり者の家政婦さんのバードさん(この家にはクマと鳥が同居ですね)も素敵です。実際この人がいなかったら、どうなることやら。
読み終わって心が温かくなること請け合います。



☆パディントンはペルーから来たのに、どうしてこんなに英語が得意なんでしょうね。学校で何年習ってもなかなか英語を使えない日本人向けに「パディントンの速習英会話」って本でも出したらどうでしょう。



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