大草原の小さな家

Little House on the Prairie

ローラ・インガルス・ワイルダー
Laura Ingalls Wilder

福音館書店
おすすめ本
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2001/6/17

 大きな森を出て、インガルス一家は大草原を旅してインディアンテリトリーの肥えた土地に落ち着きます。父さんは丸太を切って家を建て、屋根をつけ床を張り、井戸も掘って一家の生活基盤が次々に出来上がっていきます。隣人のエドワーズさんやスコットさんもいい人で、一家は充実した生活を送りますが・・・。

テレビドラマ「大草原の小さな家」のパイロット版はかなり忠実にこの本を映像化しています。西に向かう幌馬車、命がけのクリーク越え、ジャックの行方不明などがスリリングに語られます。大きな森の平穏な生活を描いた前作とはかなり違い、今回は命の危険を感じる事件が次々に起こり、開拓生活の厳しさをとことん語り尽くしています。

何もない土地に、一から家を建てる。丸太を切って土台を組み、壁を積み上げ、家にしていく過程が詳細に語られます。次は屋根、そして床、家具が揃い、井戸を掘り上げ、生活の基盤が次々に揃っていくその嬉しさ。狼に四方を囲まれて過ごした夜の後、キルトをたらしただけだった戸口にしっかりしたドアが出来ます。父さんとジャックとドアがある。それだけで、もうすっかり家族は落ち着いて安心していられるのです。彼らが恐ろしいことと思っている中に、犯罪という物がほとんど入っていないところが驚くべきというか、うらやましいというか。
それに鍵代わりの掛けがねにかけた革ひも。誰も家に入れたくないときは、それを家にひっぱりこめば良いのです。それだけで、家はまるで要塞のように頑丈で安心なものになってしまうのですよね。でも、一家揃って外出するときは当然そのひもは外にたらしておくわけで、ご自由にお入り下さい状態ではないか!などと心配してしまう私はやっぱり現代に毒されているのかしら。

こんな人っ子1人いない大草原で暮らしていながらも、母さんのしつけに甘いところがないのは全く感心します。たとえ野原の真ん中で食卓などないところでの食事でも「お行儀よく食べなさい」。それから大人たちが話している時は、静かにしていて子供は口を挟んではいけません。・・・などなど、子供の頃から礼儀とマナーをしっかりとしつける様は全く頭が下がります。そしてその言いつけに良い子のメアリーは勿論ですが、おてんばなローラも文句を言わずに従うのも偉い。外国は日本などよりよほどしつけが厳しいのは知っていますが、この時代の大西部にしても例外ではないのですね。

「大きな森の小さな家」では読者を魅了してくれた食べ物の数々でしたが、この本では種類も限られているのはちょっと残念ですね。父さんが獲ってくる肉、ひきわりトウモロコシのパンというのが一番良く出てくる食事でしょうか。前作のメープルシロップのような甘い物もずっとご無沙汰でしたから、エドワーズさんがくれたクリスマスプレゼントのハッカのキャンディは何物にも勝るくらい光っていました。

エドワーズさんと言えば、テレビシリーズのイメージとはちょっと違って、背が高くて痩せた人でした。でも、例の噛みたばこの技は健在(笑)。そして彼の歌う「タッカー爺さんの歌」もちゃんと実在しています。姿形は違っても、イメージはドラマと酷似した愛すべき人ですね。

どうしても避けられないインディアン(原作通りの表記を採用させて頂きます)との問題ですが、これは一言で語ることが出来るようなものではないですね。父さんはインディアンに好意的ですが、結局はインディアンの土地に入り込んで、ここを自分の物にしようとしているわけですよね。勿論それが政府の政策だったからそれに従ったまでなんですが、結局居留地内ということで立ち退きを命じられることになります。家の土台から作り上げ、畑を作り、一から生活の基礎を築いた土地ですから、立腹するのは当たり前です。それでは、居留地に押し込められたインディアン達は・・・?これはもう、西部開拓の功罪で、開拓民達の罪とも言えないし、勿論インディアンには全く罪はなし。
差別的だということで、アメリカでは図書館からこのシリーズを除外しようという動きも広がっているようですが、こういう時代もあったのだということを、またそういう世の中の動きを作ってしまったのだという自戒と反省の意味を込めて、後々に伝えていって欲しいと私は思います。


☆メアリーとローラで一つのカップを共同で使っているシーンは有名ですよね。でも、一体お客さんが来たときにはどのカップで出すのでしょう。お客さんは自分のカップを必ず持ってくるとか!?それともお客さん用のカップは別にあって、子供たちは使ってはいけないことになっている?・・・そんなオルソン家でもあるまいし・・・。インガルス一家の食器事情を知りたいものです。
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