大きな森の小さな家
Little House in the Big Woods

ローラ・インガルス・ワイルダー
Laura Ingalls Wilder

福音館書店
おすすめ本
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2001/3/5

 ご存じ「大草原」シリーズの第一作。インガルス一家がウィスコンシンの大きな森に住んでいた頃の物語です。

 大きな森にはおじいちゃん、おばあちゃんや、おじさん、おばさんたちも住んでいて、時々行き来して助け合いながら暮らしています。

 物語は全編ズバリ食べ物の話題に彩られています。最初から、いきなり豚の解体の登場です。メアリーとローラが交互に豚のしっぽをあぶったり、膀胱をふくらませて風船にしたり(!)、もうホラーとしか思えませんでした。初めて読んだときは仰天して、それ以来忘れられません。子供にはショック度高かったなあ。

 憧れNo1はメイプルシロップでした。今でこそ、ポピュラーになってきてるけれど、当時はメイプルシロップなんてお目にかかることがなくて、どんな味なのか、どんな香りなのか、一度食べてみたいと熱望していました。後年ケンタッキーフライドチキンのビスケットにメイプルシロップをつけて売り出したときは、勿論買いに行きました。今でもとっても好きな食べ物です。新しい真っ白な雪にぽとりと落として、固めて食べてみたいものですね。

 それからヒッコリーでいぶしたハム。「ヒッコリーでいぶしたハムは最高だからなあ」という父さんの口癖は頭の中でこだまし続けました。でも手に入らないですね。桜の木でいぶしたソーセージはあるけれど。デパートなどの高級店ならあるかしら。

 他にジョニー・ケーキという名のひきわりとうもろこしのパンとか、カボチャやレーズンのパイとかおなじみの豆料理。実に豊富な食べ物の数々は、遙か昔のアメリカ開拓地をすっかり憧れのレストラン化してくれたものです。勿論当時はそれを作るのがどんなに大変か、なんて考えていませんでしたから。

 父さんの鉄砲の手入れや、弾を作るシーンにも驚きました。西部劇で銃を連発している姿に慣れていた身には、こんなに大変でそれも一発しか撃てないのか、と驚愕に近い思いを抱いたものでした。連発銃がポピュラーになるのは、もっと後なんですね。良かったのか、悪かったのか。

 のどかなウィスコンシンの森と思いがちですが、森の中には豹(ピューマでしょうね)や熊がいて、時には遭遇して怖い思いをします。ただ父さんはやたら発砲しようとはしないで(銃を持ってないときも良くあるのですが)、様々な方法で接触を避けようとするのです。殺すのではなく、互いが互いの領分を守って共存しようという姿勢が感じられました。

 おじいちゃんの家のダンスパーティはとても素敵で、おばさん達の身支度の場面はとても心惹かれます。キャラコにカメオ、ろうで作った薔薇のブローチ、きれいにまとめられていく髪・・・どの時代もおしゃれは女性のエネルギーの素ですね。母さんが東部の洋装店で仕立てた「あの薄モスリンのドレス」を着ている姿をドラマで見てみたいものです。

 食べ物の話ばかりしましたが、外は厳寒の雪景色、獣たち、でも丸太の壁に囲まれた家の中は暖かくて、居心地が良くて、父さんのバイオリンが響いている・・・。インガルス一家の物語の根幹を為す家族愛と、暖炉のような温かさは最初のこのストーリーからしっかり息づいています。

 それにしても大きな森は親しい人たちも近くにいる居心地の良いところでした。インガルス一家も、裕福とは言えなくてもそれなりに豊かな暮らしをしていたようです。それをすべて捨てて新天地を目指していく父さんの男のロマンは、大地から湧いてくるエネルギーと同一のものを感じます。でもそれについていく母さんが一番大変なんですよね。

☆チーズを作るために子牛を殺さなくても、何か代用品を考えられないのかな、と考えるのは自然の摂理に反してるかな。
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