ムーミン谷の彗星
Kometen Kommer

トーベ・ヤンソン
Tove Jansson

講談社、講談社文庫
おすすめ本
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2001/7/16

平和なムーミン谷に住むムーミン一家の1人息子ムーミントロールは、恐ろしい彗星が地球を直撃することを知り、遠いおさびし山の天文台に観測に行くことになります。一緒に行くのは体も小さいけれど、気も小さい仲良しのスニフ。途中でキャンプをしていたスナフキンと出逢い、意気投合して一緒におさびし山に向かいます。彗星の激突を免れないことを知ったムーミントロールたちは、家の近くにある洞窟で惨事をしのごうと帰路を急ぎます。途中で、ムーミンと良く似た種族スノークと出逢い、その妹を恐ろしい植物から救ったのが縁で同行することになり、また切手収集を生き甲斐とするヘムレンさんも連れて一行はムーミン谷を目指して旅を続けます。

先日、トーベ・ヤンソンさんが亡くなられました。代表作ムーミンシリーズ8冊を書き上げて世界的に有名になった「彫刻家の娘」でした。

原作のムーミンシリーズは知らなくても、「♪ねえ、ムーミンこっち向いて〜」のあのアニメやキャラクターは日本ではかなり広く知られていますよね。かくいう私も、アニメ「ムーミン」を見て育ちました。あのイメージが強すぎて、最初原作を読んだときはちょっと違和感も感じたのですが、慣れてくると面白い。子供心には隣町の仲間ぐらいに感じていたムーミンたちでしたが、少し大きくなって原作を読むと、これは北欧伝説にのっとったファンタジーなんだ、ということがわかってきました。

子供の頃からお気に入りはスナフキンでしたけれど、原作を読んでもやっぱりお気に入りはスナフキン。あのハーモニカを吹いているシーンが好きだったんですが、やっぱり彼はハーモニカが何より大事。生き方も持ち物も至極シンプルで、「ものに執着しないこと」がモットーのちょっと冷めて落ち着いていて、浮き世離れしたところもある最高のキャラクターですね。スナフキンは人間だと思っていたのですが、彼はムムリクという種族だったのですね。

ムーミンはアニメでは主人公の名前になっていたけれど、原作ではムーミントロール。ムーミンパパやムーミンママはそのままです。
ノンノという名前だったムーミンのガールフレンドは、実はムーミンとはとても良く似ているけれど厳密には違うスノークという種族で、原作ではスノークのお嬢さんと呼ばれています。お兄さまは大げさなカツラをつけていないところが残念ですが、スノークのお嬢さんの前髪と足輪は健在です。体の色が色々変わるところは傑作。その時の色に合わせて、飾るお花もコーディネートしなくてはいけないから大変です!

あと妙に好きだったのが、切手収集家のヘムレンさん。多分私も小さい頃切手を集めていたからかな。おばさんのものだとかいう変なスカートをはいて、切手に異常な執着を見せるマニアックなところが楽しい。切手の価値をそれだけわかっているってことだから、現代社会にワープしてくると大金持ちになれるかも(笑)。

スニフはカンガルーだと思っていたけれど、そうではないんですよね。

あとニョロニョロ。これは顔を名前も苦手でした。「両手をふりながらずっと遠くを睨んで、どんどん進んでいくだけ。でもどうしても思ったところへ行き着けなくて、いつもどこかを憧れている・・・」そうです。ある意味、一番人間に近い動物かも。

読んでいる間中、どうしてもあのテーマソング「♪ねえ、ムーミンこっち向いて〜」が頭の中を流れていくのは、アニメを刷り込まれた世代としては避けがたいことかもしれませんね。

北欧の小さな谷の平和な一家と周りの仲間を描いたファンタジーですが、どこか達観したところがあってどこか現実的なところもあって、でも手にはつかめないフワフワした魅力が何とも言えません。
貴方も♪ねえ、ムーミン〜と歌いながらお手に取ってみて下さい。


☆画家としても活躍したトーベ・ヤンソンは挿し絵も自分で担当しました。ムーミンママの例のハンドバッグも描かれていますから、しっかり見ましょう。
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