魔法のアイロン
All You've Ever Wanted他
ジョーン・エイキン
Joan Aiken

岩波少年文庫
おすすめ本
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2002/3/10

昔話風のファンタジーが詰まった短編集です。

叔母さんから毎年贈られてくる誕生日の詩の願いが必ず本当になってしまうマチルダの苦労を描いた「めいわくな贈りもの」。例えばある年には、「毎朝新しい友達ができて・・・」という詩をもらったために、その年365人の友達を作る羽目になり、こんなに沢山の友達なんていらないのに・・・と思ったり、「長く退屈な道をさまようとも・・・」という詩をもらった年には、毎日どんな天気でも長くてくたびれる散歩に出かけなくてはならなくなるのです。マチルダが就職した年のお祝いの詩は「あなたの歩む道が花で飾られますように」というもので、おかげでマチルダが歩いたあとは花だらけ。職場でも電車でもどこでも彼女の歩いた跡には花が咲く。聞いているだけなら素敵なファンタジーに聞こえますが、現実に起こったらたまらないですね。人は良いんだけれど、ちょっと考えなしの魔法使いの叔母さんに散々な目に遭わせられるこの話は、この短編集のなかでもベストを争いますね。

それから宝くじであてた魔法のアイロンを、うらやましがって盗んだ隣人がアイロンのためのコンセントを作ろうとしてとんでもない目に遭う「魔法のアイロン」。

「ブレーメンの音楽師」のその後を描く「失業した音楽師たち」。

最後の「三つめの願い」はよくある三つだけ願いが賭けられるという話と、「夕鶴」が合体したようなとても美しい話で感動してしまいました。三つの願いを賭けられることになったものの、自分の持っている物だけで満足している男性がたった一つ願ったことは孤独を癒す相手が欲しいということ。すると翌日美しい女性が現れて2人は結婚して幸せな生活を送るのですが、実は・・・というもの。欲のかけらもないこの男性の願いのかけ方と、人生観に感心して感動することしきりでした。
でも、願いというと何故大抵三つなんでしょうね。三という数字には何かあるのかな。

ちょっと良い話、ちょっと弾けた楽しい話など、色々な種類のファンタジーが入った玉手箱のような本です。


☆マチルダの叔母さん、詩の才能はあるんだけれどねえ・・・。






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