グリーン・ノウの子どもたち
The Children of Green Knowe

L.M.ボストン
L.M.Boston

評論社
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2002/5/5

父親と2度目の母が遠い国にいるために一人で休みを過ごしていた7歳のトーリーは、その休みを亡くなった母の祖母であったグリーン・ノアのオールドノウおばあさんの家で過ごすことになります。そこは、大変古い家で、おばあさんも相当のお年だったために、トーリーはとまどいますが、子供の心を持ったおばあさんとすぐに親しくなり、楽しい毎日を過ごすようになります。そして、トーリーはこの屋敷に何百年も前に住んでいた子供たち、トービー、アレクサンダー、リネットの幽霊を目にするようになり彼らの昔の話を聞くにつけ、彼らと親しくなりたいという思いが募っていくのでした・・・。


築後何百年も経っている豪壮な古いお屋敷。そこでは、代々の生活が営まれ、様々な命が生まれては消えていきました。グリーン・ノアの館で何百年も前に楽しい時を過ごしたトービーたち兄妹もそんな人たちでした。こういう話は、とにかく長い長い館の歴史があってこその物語だし、アメリカではどうしても作れない物語の典型でもありますね。

寄宿学校の休みを初めて親戚の大おばあさんと過ごすことになったトーリーの列車の旅から物語は始まります。目的地についていきなり出逢ったのが大洪水。トーリーはそこの地名とひっかけて「ノアの箱舟」みたいと感じます。こんな風に簡単に水がつく地というのはどのあたりなのでしょう。いくら豪壮な館といえども、度々の洪水の被害などを受けていたら家の土台が痛んでしまうのではないか、などと余計な心配をしてしまいました。

おばあさんはお年を相当召しているけれど、気むずかしいところなどなくて子供の気持ちを良くわかってくれます。特にトーリーの孤独な気持ちをすごく理解してくれます。どうやらおばあさんも孤独な時代を過ごしたことがあるのが、その理解のポイントみたいです。そして、ごく当たり前のように何百年も前に生きたトービーたちが館に出没することを受け入れているのですね。こういうおばあさんって、希少価値です。大体、子供にだけ幽霊が見えて大人には理解出来ないというパターンが多いですから。

おばあさんはトービーたち3人の昔話を良く知っていて、トーリーに語って聞かせます。私は特にトービーと馬のフェストが妹の病気のために嵐の中を医者に呼びに行く話に心打たれました。トービーとフェストはいつもとても心が通い合っているのに、その時だけはどうしてもフェストは木で出来た橋を渡ろうとせずに川の中に飛び込みます。トービーがいつも決してしたことのないのに言うことを聞かせるためにフェストをムチで叩いても駄目でした。そしてトービーとフェストが川を渡ろうと苦心惨憺しているところで、橋が壊れるのです。フェストは動物の本能なのか危険を察知してトービーを守ったのでした。この馬のフェストは、トーリーもとても惹かれているのですが、とても魅力的な馬として書かれています。

最後に迎えるクリスマスのシーンも厳かであり、食べ物の魅力もあり素敵です。やはり、児童文学で描かれるクリスマス風景には深い憧憬を感じてしまいます。


☆ヒワってどんな鳥?

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