農夫ジャイルズの冒険
Farmer Giles of Ham etc.

トールキン
J.R.R.Tolkien.

評論社
おすすめ本
(C) 2002 Paonyan?. All rights reserved



2002/7/

ブリテン島の真ん中にあるハム村の通称ジャイルズは最初は普通の農夫だった。しかし、ある日飛び抜けて大きいけれど間が抜けた巨人が道に迷ってジャイルズの農地にやってきた。さあ、大変!ジャイルズは旧式のらっぱ銃を手に巨人に闘いを挑み、見事撃退したことから一躍英雄に。そして、今度は竜退治を命じられることになってしまう・・・。


表題作をはじめ、3作を収録したトールキンの小品集です。どの作品もそれぞれに趣が違うので、いろいろなテイストを楽しめます。

「農夫ジャイルズの冒険」は平凡だった農夫が、巨人を退治し、遂には竜退治にまで出かけることになる顛末を面白おかしく描いた作品です。巨人や竜と言えば、この手の話では悪の権化みたいに描かれることが多いものですが、巨人はちょっと間が抜けているし、火を吐く恐ろしい筈の竜も、力より駆け引きで勝負している知恵もの。さすがに黄金をため込むだけのことはある抜け目のなさです。
おまけに登場人物もみんな計算高かったり、欲深かったり、嫉妬深かったり・・・とバラエティ豊かです。ジャイルズに竜退治を命じる王様も・・・かなりの問題あり。

言葉遊びというか、言葉にこだわっているのはオックスフォードの言語学教授であったトールキンならではですが、この作品を全編貫くのは笑いと諷刺でしょう。

これに比べて「星をのんだかじや」などの他の作品はもっと重厚な作品になっています。
料理番が焼いた大きなケーキの中に仕込まれていた妖精の星を呑み込んでしまった少年がその後どうなるか、という話です。

どの話が好きか、それは皆それぞれ。

私は、今回は楽しく笑えた「ジャイルズ」が良かったですね。その日の気分で読む作品を決めるのもよろしいでしょう。


☆竜の持っている宝物をいかにして分けるか、でケンケンガクガクの論争を繰り広げる農民たちがいとおかし。いつの時代も人の欲望は変わりませぬ。
Ads by TOK2