黄金の羅針盤
The Golden Compass

フィリップ・プルマン
Philip Pulman

新潮社
おすすめ本
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2001/8/6

ぱおー。ここ数年で読んだなかではいちばんおもしろくて、いちばんすごかったファンタジーです。古典的名作はたくさんありますが、モダン・ファンタジーとしては最高傑作のひとつと言ってもいいのではないでしょうか。もっとも、そんなにファンタジーを読んでるわけではないのですが。でも、カーネギー賞を受賞していることから見ても、優れた作品であることはわかると思います。

舞台はイギリスのオックスフォードからはじまります。実際にある地名が出てくるのですが、どうも現実の世界とはどこかずれている。人間には必ず守護精霊のダイモンというのがくっついていて、ある程度の距離まではなされると気分が悪くなったりします。ダイモンがいなくなった人間は長く生きていられません。

主人公はライラという11歳の少女。勝ち気でおてんばだけど、どこか淋しがりや。それもそのはず、両親が事故で死んだので、オックスフォードの学寮に住んでいて、おじさんのアスリエル卿に面倒を見てもらっているのです。アスリエル卿はダストという不思議な現象を研究していて、その謎のカギを握っています。そのころ、子供が連れ去られるという事件が頻発していました。そして、アスリエル卿もダストの謎を追う組織に捕まってしまいます。ライラはおじさんを救うために、世の中のすべてを解き明かして導きを与えてくれる「真理計」をたよりに、北極へと向かいます。

アスリエル卿を捕らえた組織はとても恐ろしい研究をしており、その中心人物もあっと驚くような人物。水上生活者のジプシャンたちの助けを得、鎧に身を包む熊の戦士たちとともに敵と戦いつづけて、ライラの冒険は途方もない展開を見せます。とにかく、圧倒的なストーリー・テリングです。とくに、クライマックスの戦闘シーンはものすごい迫力。まさにハラハラドキドキで、ページをめくる手が止まりません。

この作品のもう一つの魅力は、なんと言っても豊富なキャラクター。水上生活者ジプシャン、熊の戦士、気球乗り、気高くて美しい魔女たち、そしてライラのダイモンであるパンタライモン。それだけでもうわくわくしちゃいます。ちなみにボクのお気に入りはクマさんたち。ものすごい力持ちで、強くて、歴戦の勇者で、しかも心やさしい。表紙もライラとクマさんですね。やはりクマさんたちがいちばん印象的なキャラクターなのでしょう。美しい魔女たちも捨てがたいのですが、男としては勇者であるクマさんたちにあこがれてしまいます。

この作品は全3巻。続編の「神秘の短剣」も日本語版が出ています。でも第1巻とはがらりと違ったストーリー展開。やっぱり第1巻のようなド迫力のストーリーにしてほしかったと思うのは無い物ねだりでしょうか。もちろん、つまらないという意味ではありません。第1巻が本当にすごすぎたので、ついついそれ以上のものを期待してしまったのであります。

☆第3巻はまだ日本語に訳されていません。発売が待ち遠しいなあ。それにしても、こんなに間があくと以前のストーリーを忘れてしまいそうになります。翻訳者さんと新潮社さんにもがんばってほしいものです。
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