シャーロットのおくりもの
Charlotte's Web

E.B.ホワイト
E.B.White

あすなろ書房
おすすめ本
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2001/4/24

 私は野生児とは縁遠く、虫が大嫌いです。ですから、シャーロットも実は苦手の最たる物の一つでして、偏見はいけないと知りつつもこればかりはどうにもなりません。しかし、その苦手意識がいっぱいというハンディをもってしてもこれは確かに良いお話であることを否定出来ませんでした。

冒頭いきなり小さく弱く生まれついたために殺されそうになる子豚が登場します。小さな少女ファーンは必死に父に抗議して、子豚を救うことに成功しウィルバーという名をつけて自分で育てることにします。この冒頭はかなりショックです。小さく生まれついたというだけで殺すなんて、人間のエゴ丸出しと腹立つことしきりなんですが、これは農家の宿命なんでしょうね。弱肉強食は自然の掟。自然と折り合っている農家の厳しい現実を目の前に突きつけられる思いです。

一度は救われたウィルバーですが、少し大きくなって今度はファーンのおじさんの家にもらわれていき、やがてまたハムにされる運命が待ち受けることになります。嘆き悲しむウィルバーを何とか救おうと知恵をめぐらせるのが親友のシャーロット。しつこいですが、シャーロットに出逢ったら私は逃げ出してしまうと思いますが、「ごきげんうるわしくていらっしゃる?」なんて言って出てくるセンスは私好みです。シャーロットは上品でとても頭が良くて、ある作戦を思いついてそれを実践したところとりあえず大成功。でもハムになるのがちょっと延びたぐらいでしかないので、もっと確実に第2、第3の作戦を考えます。さて、ウィルバーの運命はいかに!?

農場には他にも楽しい仲間がいます。勝手に住み着いている食いしん坊で計算高いネズミのテンプルトン。そのテンプルトンの扱いをきちんと心得ている羊さん。何でも3回繰り返して話さずにはいられないがちょうの夫婦。

ファーンも毎日のように訪ねてきて、彼らの仲間入りをします。ファーンのお母さんは、ファーンが動物たちとしか遊ばないことを大変気にします。しかし、話が進むにつれて彼女は単なるオブザーバーになり、やがては農場に通う回数が減っていくのです。それは彼女の成長を表すものです。ちょっと悲しい成長ですが、動物たちはそれを嘆かないんですね。ファーンに育ててもらったウィルバーでさえ。やっぱり人間とは一線を引いている様が感じられてちょっと悲しみを覚えます。でも成長著しいファーンだって、いつまでも8歳の時のままではいられませんよね。品評会に行ったお父さんが、子供たちだけで遊びに出して「こどもはいずれは成長しなくてはならんのだ」というセリフがヒシヒシと感じられます。

全編を流れているのは生と死です。残酷なくらい死がいつも近くに感じられる話です。それだけに自分の運命は恐らく最初から悟っていただろうに、ウィルバーの若い命を救おうとするシャーロットの崇高な友情がきらきら光ります。彼女の巣と同じように。

☆ウィルバーも牧羊犬になろうと努力していたら、ハムになる心配をしなくて良かったかな?
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