アブダラと空飛ぶ絨毯
Castle in the Air

ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
Diana Wynne Jones

徳間書店
おすすめ本
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2002/6/

主人公はラシュプート国の若き絨毯商人のアブダラです。ある日、空飛ぶ魔法の絨毯を手に入れて、寝ているうちに突然絨毯に連れて行かれた夜の庭で、美しい「夜咲花」に出会い恋に落ちます。駆け落ちを決行しようとした夜、アブダラの目の前で「夜咲花」は巨大な「ジン」にさらわれてしまいます。彼女を捜す旅に出るアブダラでしたが、「夜咲花」の父親であるスルタンに追われたり、盗賊に捕らわれたりと前途は多難。そして、たまたま手に入れた魔法の瓶の中の精霊は一日一つの望みを叶えてくれるはずなのに、一筋縄ではいかない天の邪鬼。また滅法喧嘩に強いのに、動物にはメロメロの兵士も仲間に加わり、魔法の絨毯に乗っての珍道中が繰り広げられます。


「空中の城」の第2巻です。
主人公はすっかり変わりますが、魔法使いハウルとソフィーやその家族などおなじみの顔ぶれもちゃんと出てきて、前作を知っている方がより楽しめるでしょう。

今回は空飛ぶ絨毯に象徴されるようにすっかりアラビアン・ナイトの世界です。お金がなくて気が弱い、夢見ることだけは知っている青年アブダラが、絨毯に連れて行かれたところで出会い、恋に落ちた「夜咲花」の後を追って大冒険を繰り広げます。「夜咲花」なんて、まるで「源氏物語」に出てきそうな姫の名前ですね。一夫多妻制の世界を舞台にしているところも似ているかも。

今回も登場人物は一筋縄ではいかない人ばかりです。
まずこの魔法の絨毯。せっかく手に入れたのに、魔法の呪文がわからなくて何故かその上で寝てしまうと移動出来るという不思議な代物です。おまけに美辞麗句が大好きで、「色鮮やかにして精巧を極めている」だの「優美な魅惑のつづれ織り」だのと、歯の浮くようなお世辞を並べ立てるほど早く飛んでいくというかなりのうぬぼれ屋さんです。
旅の仲間となった兵士は、どうも性格がつかめない人。喧嘩が強くて、油断ならないところがあると思いきや、猫に夢中になって後先が考えられない面を持ち合わせています。
願いを叶えてくれるはずの魔法の瓶の精霊は、すごい皮肉屋でちょっと意地悪で、願いを叶えつつも必ずついでに厄介の種を蒔いてくれるという助けになるのかならないのかよくわからない代物。
おまけに主人公のアブダラは、まさしく金も力もなかりけり、のただの色男。でも、頭と口だけは回るのは幸いでこの二つで厄介ごとを乗り切っていくのです。

「夜咲花」は花嫁収集癖のある悪いジンの企みで、他のやんごとなき姫君たちと一緒に空中の城に閉じこめられていました。魔法使いハウルの住処であったあの空中の城です。このお姫様たちも、蝶よ花よと育てられた非力な姫君たちかと思いきや、さにあらず高貴だけど強くて頭の回る方たちの結集であるところが面白さに拍車をかけます。

前作の面白さをまた違う形で昇華させています。もし、前作を読まれた方は是非これも。


☆ちなみに前作「魔法使いハウルと火の悪魔」はスタジオジブリで映画化されるという噂を聞きました。




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