オ・ヤサシ巨人BFG
The BFG

ロアルド・ダール
Roald Dahl

評論社
おすすめ本
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2002/6/23

孤児院に住む少女ソフィはある夜、巨人を目撃してそのままベッドからさらわれてしまいます。しかし、ソフィをさらったのはオ・ヤサシ巨人BFGという人を食べることなど出来ない優しい巨人でした。ソフィはすっかりオ・ヤサシ巨人BFGと仲良くなります。しかし、仲間の巨人たちは「ニンゲンマメ」と称する人間たちを世界中に毎晩狩りに行って食べる生活。ソフィとオ・ヤサシ巨人BFGはそんな彼らの蛮行をやめさせたくて、一計を案じます。


巨人仲間の中の変わり種というべきオ・ヤサシ巨人BFGと、ひとりぼっちの少女ソフィの心温まる交流話です。しかし、作者はロアルド・ダール。ただ感動するだけの話だと思ったら大間違いです。
まず、このオ・ヤサシ巨人BFGは学校に行けなかったために言葉遣いの間違いが非情に多いんですね。「テレハクション」「ゴジラ」「ラジゴ」「カンタクズのつまったあたま」などなど、自ら学校に行かなかった為と言っているので、ここは笑っては失礼とは知りつつもやっぱり笑えます。可愛い間違いですけれどね。

それから、このオ・ヤサシ巨人BFGは仲間の巨人たちから比べれば小さいんですね。だから、巨人同士の喧嘩になると勝ち目なし。でも、小さいとは言ってもやっぱり巨人。涙の一粒がバケツいっぱいで、泣こうものならあたり一面が水たまりになってしまう・・・。そんな巨人の夢は、何と象に乗って散歩することなんです!いくら象が大きいからといって、果たして巨人を乗せられるものでしょうか!?しかし、同じ大きい物同士としてきっと親近感を抱いているんですね。

夜な夜な「ニンゲンマメ」を漁りに行く仲間の巨人たちを止めるためにオ・ヤサシ巨人BFGとソフィは一計を案じます。この方法が私にはちょっと意外でした。ロアルド・ダールと言えば、その子供時代の学校経験からも権力が大嫌いで、大人や権力者を徹底して揶揄するのが持ち味だと思っていました。でも、この話はちょっと違うんですね。うーん、これは新発見です。「あの人」はダールにとっても特別なのでしょうか。それとも、もっと読み込んでいけばダール流のエスプリを発見出来たのでしょうか。

オ・ヤサシ巨人BFGは「夢」をコレクションしていて、寝ている人々に夢を吹き込めるという設定はとても素敵です。私もオ・ヤサシさんに素敵な夢を吹き込んで欲しいものです。

でも、のんびりしているようで、オ・ヤサシさんの目はやはり鋭いですね。「巨人は共食いしない。他の動物たちだって共食いしない。ニンゲンマメたちだけが殺し合う」という台詞は、グサッと来ました。全く、その通りで反論の余地なしです。

言葉遊びが好きなロアルド・ダールの真価が発揮された一冊です。オ・ヤサシ巨人BFGを貴女も好きになること請け合いです。


☆おばけキュウリだけは食べたくないですね〜。
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