青空のむこう
The Great Blue Yonder.

アレックス・シアラー
Alex Shearer.

求龍堂
おすすめ本
(C) 2002 Paonyan?. All rights reserved



2002/7/21

ある日突然、トラックに轢かれて亡くなった少年ハリーは、死者の国に着く。そこでは、入り口で人々が長い行列を作って受付手続きを待っていた。手続きを終えたハリーは、自分に起こったことがよくわからないまま死者の国をさまよい、150年前に死んだ少年アーサーと出会う。アーサーは、自分を産んで亡くなったまだ見ぬ母を150年間捜し続けていた。何か心残りがある人は、死者の国をさまよい続け、その先の「彼方の青い世界」に行けない。ハリーもまた心残りがあった。家を飛び出す時に姉のエギーと喧嘩して酷い言葉を投げつけたままだったのだ・・・。この心残りを何とかすべく、ハリーは自分が元いた世界に幽霊として帰っていく。


人は死んだらどうなるのだろう?子供の頃からずっと考えていたことです。この世とは違うパラダイスみたいな世界があるのか、あるいは虚無的な世界があるのか。あるいは、すべての思考がなくなってやはり無に帰すだけなのか。
あの世を描いた作品は沢山ありますが、この本もそんな一冊です。ハリーの着いた「死者の国」はいわば死の通過点であり、更にその先に「彼方の青い世界」が存在します。そこに行くか否かは本人の自由意志。ある者は迷わずそこに向かいますが、ある者は愛する者に出逢うまで死者の国をさまよい続け、ある者は自分の元いた世界に幽霊としてとりつき続けます。街灯に登って愛犬を探し続けるスタンさんや、映画館で新作映画を見続ける幽霊たち(私もそうなるかな?)がそうです。彼らは何かしらの心残りを残して来た人たちです。

「心残り」・・・死を迎えるにあたって、何一つ心残りのない人というのはそうはいないでしょう。問題はそれがどの程度尾を引くものであるか。
ハリーの場合、短い人生だったにも関わらず、自分の人生は幸せだと思える生き方をしてきたのですが、ただ1つの心残りは姉と交わした最後の言葉でした。姉と喧嘩別れしたまま突然最期を迎えてしまったハリーは、姉がどんな気持ちでいるかを心配して、自分自身もどうしても彼女と仲直りしたい気持ちでいっぱいです。それを果たすまで、「彼方の青い世界」には行けない・・・。だから、ハリーはこの世に戻ります。
ハリーのいないこの世では、ハリーの思っていたよりずっと時間が流れています。ハリーの通っていた学校、教室には新入生が入り、ハリーの席に座り、先生も友達もハリーがいなかったかの如く時間を過ごしていることを知ったハリーのショック。わかりますね、この気持ちは。自分は特別な存在だと思っていたのに、そうでもなかった。でも、残された人々はその後も日常を過ごしていかなければならないのです。ハリーも徐々にそれがわかってきます。でも、ハリーは見つけるのです。教室の後ろに掲示された自分の追悼コーナーを。そこに書かれた作文の数々。親友の言葉。犬猿の仲だったいじめっ子の言葉・・・。このあたりで、涙がツーと頬を伝い落ちますからご用心。

ハリーを見ていると、いつ突然最期の時がやってくるのかわからないのだから、親しい人と喧嘩したまま別れるのだけはやめよう、とか、気になることを残しておかない方がいいな、とかつい死後の心得をしてしまいます。まあ、私の場合今心してもすぐ忘れてしまうのですが。

「死は怖くないんだよ」というのがこの本のコンセプトの1つと言えるでしょうか。一種の癒し系かも?でも、一番言いたいことは、後腐れなく毎日を生きることが大切だよ、ってことですね。


☆映画館の寒いのは幽霊がいっぱいいるから・・・って、そんな話を聞いたら怖くて映画館に行けなくなるではないですか。

Ads by TOK2