スーパーウーマンとスーパーガール

去年の暮れ、田舎で法事があり数年ぶりにいってきた。そのときの出来事です。
いとこの娘の恵理ちゃんにも数年ぶりにあった。まだ子供だと思っていた恵理も、もう高校生だ。
さすがに高2になると、かわいさの中にも大人の雰囲気が混じってきている。
しかしこの子、大人になっていたのはそれだけではなかった。見た目は普通の女子高生の少女なのに、村で一番の怪力娘に成長していたのだった。
うちの田舎では酪農が盛んでいとこの家でも乳牛を数頭飼っている。恵理が中学に入学したころ、田舎から1通の封書が届いた。それは恵理からだった。
「おにいちゃん、久し振りです。恵理で〜す。恵理は中学に入ったよ。恵理の中学はセーラー服だから、写真を撮っておくりますね。おにいちゃんも仕事にがんばってください。恵理より。」
そういった文面と1枚の写真が同封されていた。写真を見るとセーラー服の恵理。しかし、その上に上がった手の上には恵理の家の牛がのっていた。いや、それは恵理が持ち上げていたのであった。
「恵理ってこんなにすごい怪力少女なんだ…」
そういいながら、思い出したのは僕が高校のときに田舎にいったときのことであった。
いとこのあんちゃん一家とドライブに行った。あんちゃんの奥さんの恭子さんは、学生時代砲丸投げをやっていたパワーウーマンだった。あんちゃんのワゴンが山道で脱輪をしてしまった。すると恭子さんが車を降りてワゴンのバンパーに手を添えると軽々と持ち上げて脱出してしまったのだ。
「恭子さんって、すごい力持ちなんですね。ビックリというか、興奮しちゃった。」
「あら、いまのは片手で簡単に持ち上がるのよ。恵理だって、まだ小さいけど、両手で持ち上げるのよ。この車。」
「おにいちゃん。あとで見せてあげるね。」
恵理は僕にそういうと、ウインクをした。ませた怪力少女だった。スカイラインの駐車場につくと、恭子さんはまわりに誰もいないのを確かめて僕を呼んだ。
「ひろしくん、ほら、片手で軽々でしょ」
恭子さんはニコッと笑みを浮かべて車を持ち上げてくれた。
「さあ、こんどは恵理の番よ。」
「ママ、恵理も片手でやってみる。」
「まだ、恵理にはむりよ」
しかし、恵理は片手でバンパーに手を当てると持ち上がったではないか!
「ほら、恵理にだってできるでしょ。」
恵理が小学校3年のときのことであった。

そんな思い出を思い出しながらハンドルを握り田舎にむかっていた。
インターを降りて国道を右に曲がるとコンビニが見えた。
「あ、腹へったなあ。おにぎりでも買って食べるか。あんちゃんの家には夕方着けばいいし。久振りだから、峠に行って、列車の写真でも撮るか。」
コンビニの駐車場に車を止めようとしたが、やってしまった。バックで車を入れるときに車止めを乗り越し、田んぼの中へ落ちてしまった。
「あ〜あ、どうしよう。しょうがないな、あんちゃんのところに電話するか。…あ、もしもし、ひろしです。いま、県道のコンビニにいるんですけど。あ、そうそう、国道を曲がって踏切の手前の。そうそう、ファミリーイレブンの。じつはねえ…」
「ったく、しょうがないなあ。あ、きょうって土曜だよな。もうすぐ恵理も学校が終わるなあ。おまえ、恵理の携帯のアドレス知ってるだろ。メールしてみな。」
「うん、わかった。じゃあ、またあとで。」
ひろしは電話を切ると恵理にメールを送った。
数分後、恵理から返事メールが…
「おにいちゃん、おひさ〜!じゃあ、これからそっちに行くから待っていてね。スーパーガールの恵理より」
待つこと数分。恵理が土埃をあげてこっちに走ってくる。ものすごいスピードだ。
「あ〜あ、おにいちゃん、やっちゃったね。まってて、いま恵理が車引きずり出すから…」
そういうと恵理はフロントバンパーに手をかけてしゃがんだ。
「せーの!ふん!ククク」
恵理がバンパーに手をかけて地面を踏ん張ると車がみるみるうちに引き上げられていく。
「はい、これでOKよ。あ、後ろのバンパー凹んでるよ。」
「このぐらい、いいよ。」
「あ、このぐらいなら元に戻せるよ。ほら!」
恵理がバンパーの裏側に手を入れて力を入れると「メコッ」と音がして元に戻っていた。
「恵理、おまえ学校まで走っていくのか?」
「うん、だって電車だと痴漢にあうし、走ったほうが速いもん。」
「そりゃあ、そうだな。」
「おにいちゃん、これからどうするの?」
「うん、ほんとうは峠に行って写真を撮ろうかと思ったけど、なんかすごいもの見ちゃったから、いいや。恵理、乗っていくか?」
「じゃあ、おにちゃんと競争よ。そのかわり、カバン載せて。いくわよ。ヨーイ、ドン!」
そういうと恵理は猛ダッシュをして、あっというまに見えなくなっていた。
「ひえー、120km出しても追い付かないや。」
ひろしは恵理の家に着いた。恵理はとっくに家に着いていて、着替えていた。制服を脱げばもう、大人の女性だ。
「もう、おじさんが死んで7年か。早いなあ。あ、恵理。PC買ったんだ。」
すると、台所から、あんちゃんの奥さん、そう恭子さんが顔をだして
「そうそう、こんどうちのHP作ろうと思っているのよ。ひろしさん、なにかいい知恵ないかしら?」
「あ、恭子さん、ごぶさたです。そういえば恭子さんって、全然、体型が変わらないですね。高島礼子みたいだ。」
「ちょっと、お世辞はやめてよ。」
「いやあ、マジでですよ。そうだ、今夜、みんなで飲むんでしょう。そのときに、みんなで考えましょうよ。」
「そうね。そうしましょ。」
「そういえば、恭子さんの昔の話って聞いたことないですよねえ。聞かせてくれませんか?学生時代の武勇伝」
「え〜、じゃあ、お昼食べたらアルバム見せてあげるわ。でも、そんなこと聞いて、どうするの?」
「いやあ、じつは最近、スーパーウーマンを主人公にした小説を書いているんですよ。チャットで知り合った人とお互いに書いたやつを送り合っているんです。こんどそれをキープしたやつでHPを作ろうと思っているんです。ちょうど、いい機会だから、恵理や恭子さんを主人公にした小説を書こうかなって、思って…」
すかさず、恵理が
「うわあー、私が主人公なんだ。で、どんな小説なの?」
「う〜ん、そうだなあ。恵理ならさしずめ困った人を助けるスーパー女子高生ってところかな?さっきの駐車場のできごとだけで、十分小説になるよ。しかも、ノンフィクションだ。」
「ひろしさん、あんまり強くしないでね。これじゃあ、私、ただの怪力女になっちゃうわ。」
「だいじょうぶですよ。あんちゃんから、恭子さんの学生の頃の話、聞きましたよ。高校の頃、スーパーガールって呼ばれていたんでしょ。おれがもし、恭子さんの同級生なら、即、憧れちゃいますよ。あ、これじゃあ、あんちゃんと同じかなあ。」
「さあ、お昼にしましょうよ。」
「はーい!いただきます。」
「じゃあ、遠慮なくいただきます。」
そして、にぎやかな昼食が終わり、僕は早速恭子さんにいろいろと聞いた。
「恭子さんって、いつ頃から力が強くなったんですか?」
「えー、もう質問攻め?そうねえ、私が力が強いのは生まれつきみたいよ。そうだ、このアルバム見てよ。」
「あ、これママの小さい頃からの写真だね。この小さい女の子がママ?」
「そうよ。これは3歳のころかな?この写真の下のほうに曲がった鉄棒があるでしょ。」
「このUの字に曲がったやつですか?」
「そうよ。これ、おじいちゃんが、そう恵理のひいじいちゃんね。ひいじいちゃんが、私があまりにも力が強いんで、試しに鉄の棒を渡したんですって。そうしたら、アメのように簡単に曲げてしまったんですって。」
「す、すごいすごすぎ!恭子さんてほんとうはスーパーウーマンなんでしょ?」
「そんなことないわよ。たしかに人並み外れた怪力だけど、スーパーマンみたいに空を飛んだり、透視をしたりはできないわ」
「でも、その怪力ぶりがハンパじゃないんだ。」
「まあ、そうよね。あんまりいじめないでよ」
「ちょっとまってくださいよ。恭子さんなんかいじめたら、こっちが殺されそうですよ。でも、恭子さんみたいに、普段はやさしい女性だけど、いざっていうときに怪力で困っている人を助ける人って、憧れの女性像だなあ。」
「おにいちゃん、それって私のこと?」
「そうだよ。きょうはほんとうに助かったよ。スーパー恵理ちゃんのおかげで。」
「そうだ、ひろしさん、HPのコンテンツ考えてよ。」
「じゃあ、家族の紹介から、いきましょうか?そのまえに誰が更新をするの?管理人は誰にします?」
「いっそのこと、ひろしさんにまかせてもいいかしら?」
「え〜、おれですか?じゃあ、おれがここの飼い猫ってことにして、そこから見た風に書いていきますか?」
「あ、それ、おもしろそう。」
「わあ、恵理も本物のネコ飼いたい!」

ひろしは、恭子さんのメモを摂っているノートに書き出した。

渡邉ファームへようこそ!管理人@飼い猫、又丸(またまる)

家族の紹介です。
主人:渡邉行雄 年齢44歳 
   又丸から。ご主人は見てのとおりのヤサ男です。でも、ご主人には立派なパートナーがいて、このファームの経営をしているのです。だって、ここのファームにはスーパーウーマンとスーパーガールがいるんですよ。こうご期待!

奥さん:恭子 年齢41歳 
       奥さんは高島礼子似の美女です。しかし彼女にはすごい秘密が隠されています。ご主人は、奥さんの秘密に惚れてしまったんです。奥さんの秘密とは…
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長女:恵理 17歳 地元の高校に通う女の子。キレイな目元と太い腕が深田恭子に似ています。(バキッ!←恵理さんに殴られた音)家ではご主人の手伝いもやっています。恵理さんにも秘密があります。やっぱり奥さんの子供ですねぇ。
    ↑ここをクリック!

「ねえ、ひろしさん。この秘密って…」
「そうですよ。ここをクリックさせると、恭子さんの秘密が出るんです。そうだなあ、じつは恭子さんはスーパーウーマンだった!っていうのはどうですか?」
「で、どうするの?」
「たとえば、恭子さんにコスプレをやってもらうんです。牧場の仕事を一休みしている恭子さんが、ジャージを脱いだら、その下にスーパーガールのコスチュームだった。みたいな写真を入れるんです。あ、こんどスーパーマンのロゴが入ったTシャツ買ってきますよ。それをジャージの中に着て、チラッと見せるんです。」
「だったら、この写真、貼り付けちゃえば?」
「これって、恭子さんの高校時代の写真ですか?あ、スーパーガールだ!」
「えへへ、これ、ウチの主人が学生のときに撮ったものよ」
「へえ、いまと全然変わっていないや。でも、最近の写真ってないんですか?」
「じゃあ、これは?これは、恵理の中学の体育祭で地域対抗の仮装行列をやったの。それで内の人が恭子はスーパーウーマンにでもなったら?って言ったら、裏のおじさんが、恭子さんのスーパーウーマンか。それは傑作だ!だって。それでやるはめになったの」
「そうだ。仕事着の恭子さんが牛を持ち上げてるのってどうです?夏だったら、スーパーマンTシャツでバンザイをしてもらって、その手の上に牛を貼り付ければ、出来上がりですよ。」
「ああ、それでいいなら、この写真使っていいわよ。」
「この写真って…。あ″〜ホントに牛を持ち上げてる!」
「どう?だから、このコンテンツだとシャレにならないのよね。」
「じゃあ、恵理はどうしようか?」
「セーラー服のスーパーガールなら、このまえ撮ったよ。はい。これ」
「ん?これって、あんちゃんが写したの?」
「うん、中学の卒業記念だって。一歩間違ったら、アダルト写真だよね。」
「うーん、セーラー服の下のTシャツを脱げば…か。そういえば、胸デカクなったなあ」
「もう、やだ!おにいちゃんのエッチ!」
「うわ、痛てえ!恵理!手加減しろよ。片の骨が折れるかと思ったよ。」
「気をつけてね。ひろしさん。恵理はこのまえ同じことをやって、同級生の男の子の腕の骨を折ったのよ。このこ、中学のときに厚さ10cmのコンクリートの壁をパンチ1発で破ったのよ。私の中学時代より、力が強いわ。」

恵理と恭子のエピソードはまだまだ続いた。話のあとに牧場で写真を撮ろうということになった。恭子さんは牧場のトラクターを持ち上げてもらい。恵理には工事現場のユンボを持ち上げてもらった。恵理はユンボを片手で軽々と持ち上げていた。

「そういえば、あんちゃんから恭子さんが大学時代にバイトやっていた話を聞いたんですけど、それ、詳しく聞かせてくれませんか?」
「あ、強盗の話?」
「そうそう、それ。恭子さんがやっつけたんでしょ?」
「あれはねえ、イレギュラーなのよ。東駅の前にあるコンビニあるでしょ。あそこでバイトやっていたの。ほんとうは10時で終わりだったんだけど、交替の子が、あ、その子は男よ。来るのが遅れたの。いっしょにいた男の子は、試験が近いから先に帰って私1人になったの。そうしたらねえ。強盗が入っちゃったのよ。コンビニに。だって、店番してるの私1人だけよ。こんなきれいな女の子が1人で。」
「強盗も運が悪いなあ。よりによって、スーパーウーマンが店番をしてるコンビニに入るなんて」
「ちょっと、話の腰を折らないの!最初は私もじっとしていたわ。まあ、どこかで隙を見つけて逆襲するつもりだったけど。それで、強盗が私にピストルを向けたの。そのときどうしたと思う?私、無意識のウチにピストルの銃身を持って、曲げてしまったの。そうしたら強盗が逃げようとしたんで襟首をつかんで持ち上げてやったわ」
「おにいちゃん、いま何kgある?」
「うーん、最近、太ったからなあ。86kgぐらいかな?」
「ママ、こんなかんじでしょ」
そう言うと恵理は、ひろしのベルトをつかんで片手で軽々と持ち上げた。
「おい、いきなりなにするんだよ。しかし、恵理の怪力も凄いなあ。さっきは120kmで追いかけても、逃げられたし…恭子さんも走るの速いんでしょう?」
「そうね。この子をお守するときに、あそこの高架で新幹線と競争したこともあったわ。新幹線の乗客が私の方を見て目を白黒させていたわね。そりゃあそうよ、赤ん坊をおんぶした女の人が新幹線よりも速く走るんですもの。でも、さすがに今は、恵理の方が速いわ。」
「ってことは?」
「さっきは、全速の1/10よ」
「えーっ!じゃあ恵理はマッハで走れるんだ」
「うん、このまえ東京まで30分で行けたよ。道なんかなくても、大きい川だって飛び越えるし、テレビ塔のてっぺんまでジャンプできるよ」
「そういえば、私、ひろしくんにジャンプしたの見せたことあったわよ。」
「えー、覚えていないなあ。」
「ほら、ひろしくんが高校のときに泊まりにきたじゃない?」
「あ、思い出した。洗濯物が風に飛ばされてサイロの避雷針にひっかかったんだっけ?あのときの恭子さんカッコよかったなあ。ねえ、またジャンプするの見せてよ。」
「そういえば、恵理はこのまえの正月に凧を取ったんでしょ。」
「あ、そうそう、おにいちゃん。恵理ね、正月に子供にいいことしたんだよ。うらのおじいちゃんの孫が遊びにきていてね、たこあげをしていたの。たこの糸が切れて飛んで行っちゃったんだ。それでたこを捜しにいったら、新幹線の架線に引っかかっていたの。あぶないから、恵理が取ってあげたんだよ。あそこの、高架線で。」
「ねえ、ひろしさん、恵理が誘拐にあったことがあったの知ってる?」
「え、そんなことがあったんですか?恭子さん」
「そうなのよ。もっとも、この子も無事だったし、すぐに解決したから、表沙汰にはならなかったけど…」
「あ、そのこと詳しく聞かせてくださいよ。」
「恵理がまだ、小学6年の頃なんだけど、学校の帰りに誘拐されたのよ。なんでも、町の若者が私たちの家は大きな農場を経営しているから、お金がいっぱいあるだろうと思っていたらしいの。恵理もまだ小学生だから、若者にママが町のスーパーで待っているから、迎えに来てって頼まれたって、うそをついて恵理を誘拐したの。」

…ある日のこと、恵理は学校の帰り道で知らない若者に声をかけられた。
「恵理ちゃん、ママに町のスーパーで待っているから迎えに行ってきてって、頼まれたんだけど、お兄ちゃんの車でスーパーにいこうよ」
恵理は、若者の言葉にだまされて、車に乗ってしまった。
睡眠薬を嗅がされ気を失い、恵理は気がつくと港の倉庫に監禁されていた。
「お嬢ちゃん、目がさめたみたいだね。ママは忙しいからあとで来るって言っていたから、もう少しおとなしくしていてね。」
「お兄ちゃんたち、うそついてるでしょ!なんでママを待ってるのにロープで恵理を縛ってるの?」
「うるせえな!クソガキ!だまっておとなしくしてれば、いいんだよ!」
そのとき、恵理は顔を紅潮させ全身に力を入れていた。すると恵理を縛っていたロープがちぎれ初めていた。
「な、なんなんだ、このガキ。ロープをちぎっているぞ!怪力娘だぁ」
「おにいちゃんたち、運が悪いみたいね。よりによって私みたいなスーパーギャルを誘拐するなんて…」
すると、恵理の言葉に逆切れしたロン毛の男が鉄パイプで殴りかかった。
「この、クソガキ!静かにしてろ!」
バコン!倉庫の中に鈍い音が響いた。恵理を殴っているはずの男が倒れていた。
男の鉄パイプを恵理がツカミあげ、パイプごと放り投げていたのだ。
もう1人の男は恵理の怪力に恐れをなし、逃げようとしていたがこんどは恵理の逆襲だ。恵理はドラム缶を放り投げた。ガン!ドラム缶は男に命中し、気絶した。
バーン!中からロックをしていた倉庫の鉄扉が破壊された。
「恵理、無事だったのね!」
その扉を破壊したのは恭子ママだった。
「あ、ママ!恵理頑張ったよ。ほら、あいつらが犯人よ」
「そう。恵理頑張ったわね。犯人が逃げるといけないから、そのパイプで縛っちゃおうか。恵理、この手の跡はあなたの?」
「うん、このロン毛の人が恵理を殴ろうとしたから、恵理がパイプにぎって、よけたの。」
恵理はそういうと、パイプを持って犯人の腕に縛りつけた。ピーポーピーポー!警察がきた。
「渡邉さん、お嬢さんは無事ですね。」
「はい、わたしがここにきたときは、もう娘が犯人をやっつけていました。」
「奥さん、この扉はどうやって開けたんですか?なんか道具がなければこんな開け方できませんよ。」
「え?あ、あー。なんか、ちゃんとロックしていなかったみたいですね。このドア」
「あれ、このパイプは、だれがやったんですか?」
「それは…」
「それに、ロープもちぎれている。見たかんじでは、刃物も見当たらないし、この切れ方は、ものすごい力で引っ張ったような切れかただなあ?」
「お嬢ちゃん、どうやってロープから逃げ出したの?」
もう1人の警官が聞いた。
「それはねえ…」
「しぃーッ!」
恭子は恵理の口を押さえた。
「おい、まさか、この子が自分でロープを引きちぎって、逃げ出そうとしてないよなぁ?」
「そうすると、この鉄の扉は奥さんが素手で開けたの?まさか。スーパーウーマンの奥さんと、スーパーガールのお嬢さんかい?おい、おい、テレビの見すぎだぞ」

こうやって、恵理は無事開放されたのだ。…

「ふーん、この誘拐事件だけで、十分物語りになってるなあ。よよよさんにこのことを送ったら、すぐにでもこっちに来るんじゃないかな?」
「だれ?その、よよよって人」
「あ、この人が自分と競作で小説を書いている人なんだ。」
「おにいちゃん、こんどその人に会わせてよ。恵理が怪力見せてあげようか?」
「恵理、そんなこと見せたら、よよよさんに結婚して!って、プロポーズされるぞ。」

「ただいまー!おう、ひろしか。車だいじょうぶか?」
「あ、あんちゃん。お帰り。スーパーガールの娘さんに助けていただきました。ありがとさんです。しかし、恭子さんといい、恵理といい、あんちゃんの家族ってすごいね。」
「ああ、恭子がいなければ、牛の世話もできないしな。」
「あんちゃん、なんか秘密があるの?」
「ああ、いつも、牛が逃げ出すと恭子が担いで帰ってくるんだ。まあ、最近は恵理がその役目をやってるけどな。」

すると、奥の台所からいい匂いが…
「さあ、夕食よ。ひろしさん、遠慮しないで食べてね。あ、ひろしさんの車、3階の物置の前に移動したわ」
「移動って、おれキー預けていないよ。」
「ハーイ、私が担いで上げました。」
「おい、恵理!」

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