ここはウルラ大陸の街、ダンバートン。
城壁に囲まれた、大規模な商業都市である。
その片隅の路地裏に寝泊りする少女が一人。
これはそんな少女の物語。

彼女の名前はメイファ(meihua)。
齢はまだ10歳と、まだまだ幼さが残る。
基本的にはダンバートンの各商店でアルバイトをして生計を立てている。
今日も、少々無理して買ったリュートを片手に一日を精一杯生きていく。


音楽を志すものは、三つの能力が要求される。
作曲、楽器演奏、そして音楽知識である。
作曲や楽器演奏の本は比較的安価で提供されている。
しかし音楽知識の初級である『音楽概論』だけはそうはいかない。
「っていうか8万Gって・・・ボッタでしょコレ。」
ぼやいてみるが金はないし値段も変わらない。

しかし、書店の前を歩いているとひとつ耳寄りな独り言が聞こえてきた。
音楽概論の本を仕入れたはいいが誰も買ってくれない。
書店のアイラは確かにそう言った。
「・・・ニヒヒ。チャンスじゃんねぇ。」
生活費を削りに削って書店のアイラに世界の詩集やルービックキューブなどをプレゼントする。
彼女にとっては決して安い額ではない。
「でもまぁ、8万Gなんて貯めるよりよっぽど楽よねぇ。」
今日も書店の配達を終えた後に雑貨屋により、ひとつプレゼントを買っていく。

そんな日々が続いたある日。
「音楽に関心があるんですね。良かったらこれ読んでください。」
彼女の思いが通じたのか、アイラは笑顔で一冊の『音楽概論』を手渡してくれた。
「ちょ、mjd!? 8万Gっしょ!?(演技)」
「どうせ売れ残っている品ですから。それでしたら必要としている人に読んで頂きたいです。」
いい娘だ・・・


そういえばもうすぐ誕生日。
つまり10歳の日々はまもなく終了となってしまう。
何かこの10歳の日々にやり残したことはないだろうか・・・

「・・・10歳で、熊を倒した・・・か。」

10歳で熊を倒したとなれば名が売れること請け合いである。
となればこの10歳の日々を締めくくるのには十分な成果となるのではないか。

早速彼女はダンバートンの路地裏から這い出て城門を抜け、南を目指す。
森の近くには熊が出没したはず。
「うーん、いい感じに幼い熊がいてくれればいいんだけど・・・ん?」
そこにいたのは幼い黒ヒグマ。
10歳の彼女には黒でしかもヒグマであるこの生物がどれだけ恐ろしいかを知らない。
「アタックチャーンス!」

そして彼女は、宙を舞った。


宙を舞ってはダンバートンに運ばれ、ダンバートンに運ばれては再び南を目指す。
そして再び宙を舞う。
何回そんなことを繰り返しただろう。
見れば体中負傷だらけ。
「でも悲しいけど、これって戦争なのよねぇ・・・!」

何度も訪れた熊の森。
見ればそこにいる幼い黒ヒグマも大分傷を負っているようだ。
「なぁに、もう死ぬのはなれてしまったさ。」
そうつぶやき、再び黒ヒグマに向かって駆けてゆく。

突き刺した剣から伝わる、確かな手ごたえ。
黒ヒグマはとうとう、力なくそこに倒れた。
「・・・・・・ふぅ。」
ため息ひとつ。
そして突き刺した剣を引き抜く。

「『10歳で熊を倒した meihua』ねぇ・・・」
己の称号をつぶやいてみる。
三秒ほど考えて、
「語呂が悪い、やっぱり『サボリ魔 meihua』ね。」
結局もどした。

もっとも、称号が『サボり魔』とは言え、熊を倒したのは事実。
次なる目標は・・・

「なんだったっけ・・・うーん。Wiki見るか。」
どうやって。
そんなことはどうでもいい。

「風の噂(Wiki)によると・・・」
視線を北に向ける。
遠くの空を見上げ、
「『ゴーレムを倒した』、ね。キアダンジョン・・・遠いなぁ。」
ぼやきつつも歩き出した。
っていうかまず負傷直しなさい。

キアにたどり着く。
女神の祭壇にとりあえずバイトで手に入れたスタミナポーションを投げ入れる。
すると、ダンジョンの中にテレポートする仕組み。
謎である。
「まぁ何はともあれ・・・」
階段を下りればそこは戦場。
熊を倒した剣「アイリ」を片手に通路を歩く。
「Mission Start、ね。」
部屋に置かれた宝箱を開いた。

まず見えたのは人影。
しかし肌は緑色。
本で見たゴブリンであろう。
早速手近な一匹に狙いを定め切りかかる。

風を切る音が聞こえた。
「ぁー・・・そういやゴブリンアーty」

彼女は本日何度目とも知れない空中浮遊を体験するのであった。


「っていうか。」
通りなれてしまった通路を歩く。

「女神像って可愛いよねあれ。」
どうでもいいことを呟きながら、いい加減遠くなってきた目的の部屋まで歩く。

「ふつう石像ってもっと写実的なモノよねぇ。」
ようやくたどり着いた部屋の扉を開く。

「そう思わない?」
返事はない。
「まぁ、蜘蛛はしゃべらないか。」

彼女は延々、気絶しては女神像前に戻り再び部屋まで歩くというゾンビアタックを繰り返していた。
この部屋はもう何部屋目か数えるのも面倒になってきたあたりの部屋。
いつもどおりの箱を開けたら出てきたのは蜘蛛。
遠距離攻撃がないだけ楽である。

と思ってたら蜘蛛の巣にかかってしまった。
「ぁー。これはあれか、エロ展開。」
蜘蛛が覆いかぶさってくる。
「さようなら貞操、こんにちは新境地アッーーー!」

そしてまた女神像から歩き出すのだった。


そんな戦闘を繰り返し、とうとう地下三階も大詰め。
明らかにえらそうな鍵がかかった部屋。
「つーかこれあれだよね、SFCのゼ●ダの伝説。」
なんで知ってる。
「まぁとりあえず。」
荷物を圧迫する明らかにサイズがおかしい鍵を差し込む。
「・・・・・・このサイズまわすのムリゲーじゃんねぇ。」

通りすがりの緑のおにーさんと紫のおにーさんに手伝ってもらって扉を開ける。
ちなみにお礼として三回宙に舞った。

扉の中には、メタルスケルトンとゴーレム。
なんとも人工生命体くさいチームである。
「メタスケ・・・は面倒だからいいや。」
さらっとすごい事を言ってゴーレムに走っていく。
剣を突き刺し、そして逃げる。
案の定ゴーレムはすごい勢いで追いかけてきた。
部屋の外まで運び、スケルトンと分断すればこっちのm

そして宙を舞う。

ナオに助けてもらったりしながら何度も挑み続ける。
サービスでもらった爆弾を利用しながら延々切り続ける。

「いい加減死んでもよさそうなのにねぇ。」
一向に倒せる気配がない。
いつもと違う手ごたえに、剣を見ればもはや刃こぼれだらけで、しかも軽くヒビまで入っていた。
「ぁー・・・こりゃ3/20ってとこね・・・」

一回素手で殴ってみた。
「・・・いや、痛くね?」
「うん、痛いね。」
ゴーレムに心配された。


「でも一向に決着付かないからってエロゲやりながらはないと思うんだ。」
バレました?

切りつけては走るそんな生活。
FantasyLife。
「いや、ねーよ。」

「・・・あれ?」
「?」
もう普通にゴーレムと会話してるメイファさん。
「ここの傷なくなってね?」
「ほら、自然回復。」
「ちょ、ねーよwwwwww道理で死なないわけだwwwwwww」
メイファが壊れた。

「っていうか、もうダメかもわからんね。」


夜が明ける。
日が昇る。
そして沈んでいく。
再び訪れる夜。

来る日も来る日も戦い続ける二人。

そして、ついに。



【サーバーとの接続が切断されました】

「・・・はぁ。」
「あー・・・」
なんともあっけない幕引きであった。
そして彼女は誓った。
もっと強くなって次は絶対見返してやると。


July 18, 2008
   完

当初の日記↓
みくしぃ


マビメイメニューへ   ギャラリーメニューへ   GO TO TOP PAGE!